2020年12月30日水曜日

出張!ONCBN従軍記 #9 壮絶な削りあい

デルヴが燃えているのと同様、TESTのエソテリアなども燃えている。クエリアス、キャッチ、ピリオド・ベイシス・・・なんだか、南西部のあたりは丸焼けという様相である。そんな中、Imperiumのケルベロス艦隊は戦闘の予感を胸に飛んだ。

速足でたどり着いたのはデルヴ内のすでに領有権を奪われた星系。敵のジャンプゲートが建設中であり、ケルベロス艦隊はそれを攻撃した。さすがにナメプである。TESTのアラズが浮いており、防衛艦隊のドロップからの艦隊戦か!?と身構えてはいたが、ジャンプゲートはあっさりと破壊された。


これで終わりかと思ったが、艦隊に遅れて参加した人が「遅かった?」と聞いたのに、即答で「No」である。前菜か。


そしてケルベロス艦隊はワープを繰り返し、今回の戦闘の舞台となったE-VKJV星系へとやってきた。ここはクエリアス・リージョンだが、デルヴに食い込む形で存在する飛び地だ。本拠地にも近い防衛の要衝、そのため早々に敵の手に落ちた星系である。今回Goonswarmはここに足掛かりとなるアシュトラハスを設置しようとしており、これは当然のように敵艦隊によって攻撃を受け、ケルベロス艦隊はその排除のために駆け付けたというわけだ。Panfamを中心とした混成ムニン艦隊。強敵である。駆け付け1発、良い位置からの狙撃に相手が引き、こちらが構造の直衛に入ったところで再度ランディングし攻撃してくるというお決まりのやりとりで戦闘が開始された。

ムニン艦隊はプロジェクタイルのボレーダメージが痛い。決まれば強襲型巡洋艦とて無事では済まない。ケルベロスはそれに対して射程距離で優越しているが、ミサイルが100kmを飛ぶのに時間がかかるという欠点を抱えている。それを踏まえて艦隊司令官がとった作戦は「引き撃ち」だった。ケルベロス艦隊はこちらのターゲット可能距離ギリギリのところを維持しながら、マイクロワープドライブを燃やして距離を取ったのである。明らかにケルベロスが優位な場であるが、ムニン艦隊はそれを追うしかないのだ。


ケルベロスが撃ったミサイルはのんびりと飛んでいるが、追いかけてくるムニン艦隊がそこに突っ込んで当たってくれるような状態。マイクロワープドライブを炊いているという点もあり、実質的な射程距離は非常に短い。追いかけてくるムニン艦隊は面白いように落ちた。しかしこちらも逃げ遅れた艦船が食われ、壮絶な削りあいになる。


敵と味方の残骸が艦隊のルートに沿って渦を巻き、敵艦隊の支援艦を一掃したケルベロス艦隊は指揮型巡洋戦艦に手をかけた。ムニン艦隊の要、情報戦コマンドリンクを積んだクレイモアだ。これがターゲット距離を伸ばしているので落とす、落とす、何隻も落とす。クレイモアですら、支援が追い付かずケルベロス艦隊のミサイルの集中で落ちていく。正直なんでこんなにクレイモアいるの、というくらい落とした(この時点で4か5隻くらい、最終的にこれらは15隻を超えた)。友軍のムニン艦隊も奮闘し、こちらを追う敵艦隊を叩く。

ある一点で敵艦隊が離脱すれば、ケルベロスや友軍艦隊はそれを追う。そしてまた引き撃ちをして敵艦隊を削っていく。しかし敵側もそれに対応して、ある時は至近距離にワープし、ある時は左右から挟み撃ちにしてケルベロス艦隊を追い詰めた。お互いにボロボロと船が落ちる。そしてその船はお互いのステージングから再度ジャンプブリッジを通って出撃してくるのだ。


増援のジャックドー艦隊がフォームアップした。この時点でわりと忘れがちではあるが、今回の目標は味方ストラクチャ―を設置させること。防衛戦である。こちらとやりあう傍らで敵艦隊は都度都度目標となるアシュトラハスにワープしては、ドローンでHPを削って行く。リペアタイマーは進んではいるが残りHPは3割もなく、遊撃する艦隊が必要だった。

ここで敵艦隊の動きが変わった。目標をケルベロス艦隊の迎撃から完全に切り替え、アシュトラハスの破壊に専念し始める。必然的にアシュトラハスの傍から離れず、ケルベロス艦隊の狙撃をもろにくらう形になるのだが、敵の司令官もさるものだ。おそらくこう指示が出た、というのは見ていればすぐにわかった。

「ターゲットされたら攻撃が来るので、即味方ストラクチャにワープせよ」

こちらのターゲット指示が出ても攻撃が到達する頃にはワープアウトしてしまうことが増え、ミサイルの攻撃は有効性を失いつつあった。それでも何隻かは落ちたが、それは淘汰である。攻撃を重ねるごとに指示は浸透し、相手はよく逃げた。ジャックドー艦隊はまだ来ない。ワンチャン、適当にターゲットしてやれば逃げるんじゃないかと思ってランダムターゲットしてみたら本当に逃げた奴もいたくらいである。結局、ダメージを抑えきれなかったストラクチャは落ちた。ジャックドー艦隊は来たが時すでに遅しである。

損害を重ねた敵艦隊はそれ以上の戦闘を放棄して引きあげ、ストラクチャ防衛戦は終わった。ケルベロス艦隊は敵艦隊が残したドローンと残骸を全て破壊し、帰路についたのだ。


https://zkillboard.com/related/30004028/202012291300/


ワンショット、ワンキル。撃ち損ねたものもいるが、それでも100隻以上を撃った。これで損害額で負けていたら嘘だろう。たったアシュトラハス1基のために双方にこれだけの被害が出るのは、さすが戦略の要衝である。

しかし気になるのはやはり自領を荒らされ続けるTESTを始めとしたLegacy陣営の動きが鈍かったことだ。このままLegacyの離脱で鎮静化するのか、それともImperiumとLegacyが共倒れになり、長いPandafamの天下が来るのか。泥沼化したWWBⅡは、それでもまだ終わらない。

2020年12月20日日曜日

翻訳記事: 事例研究ナイアルジャ:皆既食 ~原題[ARC] Case Study Niarja: Totality~

元記事

https://forums.eveonline.com/t/arc-case-study-niarja-totality/273186

※ この記事はナイアルジャ陥落後の変化を研究したカプセラによる報告です。

EVEのロールプレイの楽しみ方の一つとしてこういうものもあるということをご覧ください


Haria Haritimado

親愛なるカプセラの皆さんへ、


同僚のGiesta Nimbelainが先日アナウンスしたように、ついに皆既食がニューエデンを襲いました。私は今、Niarja(あるいはNiarjaだった場所)から現状を報告しています。まずはそこで最初に目撃した光景と、その印象を共有したいと思います。もしよろしければNiarjaのケーススタディについて、引き続き検証と議論にご協力ください。


150kmから撮影したNiarjaの恒星:




20kmから撮影したNiarjaの恒星:



新しいゲートのような構造物が出現しました。NiarjaからRaravossHarvaへの2つの出口ゲートの中央には、トリグラビアンの黒玉が置かれていました。この構造物の名称には「Svarog Vyraj Anchorage」とあります。




以前使われていた三つの出口ゲートは現在、機能を停止しており、「妨害されたゲート」という名称になっています。ゲートに結晶状の物質が集合している点にご注目ください。MADKAAゲートでは、はっきりとその様子が観察できます。結晶集合の進行状況は、MADゲートにおいては著しく悪化しています。






最初の現状報告によりますと、ローカルチャットは今のところワームホールのように基本隠された状態になっています。Dazh Liminality FocusDazh Porevitium TransmuterStellar Fleet DeploymentWorld Arkは現在もシステムに存在します。今のところ、システムにflashpointは残されておらず、大小問わずconduitも存在しません。SanshaDroneアノマリは今もシステムにあり、同様にセレスチャル(celestial)、税関(custom office)、そしてもちろん、超光速通信網(faster-than-light communication)も健在です。


加えて、ニューエデン当局は懸案のスターゲート再起動について、広域通信で次のような通達を発しました:




お知らせ履歴

https://forums.eveonline.com/t/war-journal-triglavian-collective/250400/183

一時的な時空干渉が発生しております

スターゲート網は再起動中です


以上で報告を終わります。

2020/10/14


Haria Haritimado

Niarjaのワームホールについてのアップデート

手短にワームホールの情報を共有いたします。見たところ、Niarjaでは今もワームホールの出口が生成されています。ヌルセクのザ・スパイア(The Spire)K162(訳注:ワームホールの出口)が通じているワームホールは、通常通りのシグネチャとして出現していました(このときはQTZ-496という名称でした)。しかし、ワームホールはIsogen-10の結晶体がぎっしりと敷き詰められた場所に出現していました。加えて、トリグラビアンの存在を全く気にも留めず、ローグドローンがワームホールの出口を見張っています。探索する方は十分に距離を離した場所にワープインして状況を観察することを推奨します。


2020/10/14



Haria Haritimado

トリグラビアンの勢力図に関するアップデート

皆既食の起こるシステムがニューエデンのスターゲート網から分断されたために、地図上に新たなリージョンが誕生しました。侵略者たちによって、そのリージョンはPochvenと名付けられました。リージョンに含まれるシステムは三つのコンステレーション(Krai)に分断されています。それぞれのコンステレーションはPerunSvarogVelesによって統治されていると推測されます。そのため、コンステレーションはKrai PerunKrai SvarogKrai Velesと名付けられました。


侵略の最終段階でセキュリティが良好な青いシステムが全体的に残る結果となったため、私たちの使い慣れたk-空間全体マップの中で新しいリージョンは地図上部にかぶさる形で広がっています。



赤線は皆既食の起きたシステムと接続しているシステムを表しています。


Niarjaは新しく形成されたPochvenリージョンの中のKrai Svarogコンステレーションに属しています。トリグラビアンのスターゲートはNiarjaHarvaRaravossを結んでおり、その2つのシステムもまたSvarogによって管理されています。

2020/10/14



Haria Haritimado

トリグラビアンの係留物に関するアップデート

Svarog Vyraj Anchorageを調べた結果、この建造物はある種のステーション、法廷、あるいは政治的ランドマークとしての機能を果たしていることが分かりました。この係留物は最初、トリグラビアンの設置したゲートだと思われていましたが(もちろんその見立てはある程度正しかったわけですが)、この建造物はキャピタル級やそれ以上の船舶、すなわちWorld Arkなどを収容する能力があることがはっきりしました。




加えて、この三角形の係留物の頂点は、トリグラビアンの3つの勢力であるSvarogVelesPerunそれぞれのためにあるように見えます。3つの頂点には異なる紋章が掲げられており、それ以外の三角形の辺にあたる部分はほぼ同じ構造をしていました。



そこでは私がこれまで見たことのない現象が起きており、実際に科学的見地から調査することができました。zero-point物質と思われるものが目の前で形成される模様が確認できたのです。トリグラビアンは一切隠そうともせず、彼らの洗練された重力操作の技術を披露していました。我々は思わずその様子に見入ってしまい、固形の物質が特殊な設計のもとに重力トラップへと変換されていく様をただただ眺めていました。その様子を撮影してきましたので、是非ご覧ください。



話を少し実際的なことに戻しますと、GilaBasiliskで構成されたローミングフリートがシステムに出没するようになりました。過去にローグドローンやトリグラビアンの船舶が出現するようになったのと同じ歴史をたどっているように思われます。


これと関連してMaira Blackfireによるフィールドログ(リンク)についても言及したいと思います。彼女もOtanuomiというシステムにて同様の調査を行っています。


それでは皆さんの航行の安全を祈ってます!


追記:Svarog Vyraj Anchorageはデッドスペースポケットと同じように、オングリッド上に非常に強力な重力を作用させているようで、アンカービーコンへのワープを全て引き寄せてしまいます。ワープイン地点周辺には、すでに遺体や残骸が散乱しています。探索を予定している方は、デッドスペースポケット同様、十分警戒しながら進んでください。

2020/10/14



Bravo Atruin

これって……質量を直接エネルギーに変換して動力にしているって事かな?

(訳注:相対論的には質量とエネルギーは等価のものであるため、物質を消滅させることで質量を莫大なエネルギーに変換して動力源としているという話。通常、物質にとっては質量を有する形態の方が非常に安定しているため、物質が勝手にエネルギーに変換されることはなく、また物質をエネルギーに変換するのは決して容易なことではない。ちなみに小規模な形であれば、これと似た発電技術はすでに存在している。原子力発電は、ウラン等の不安定な原子核が崩壊するとき、原子核が有していた質量の一部がエネルギーに変換されるのを利用した発電方法である。一方、水素原子が融合してヘリウム原子になる際に質量の一部がエネルギーに変換されることを利用した核融合発電は、活発な研究が進む現在も実用化の目途は立っていない。このように現在の地球の技術水準では、質量のごく一部をエネルギーに変換することさえ大変苦心しているのが現状である。いわんや、質量を直接エネルギーに変換する科学技術なるものは、想像を絶するほど遠く高度な技術だと言える。)

2020/10/14



Haria Haritimado

Atruin船長、

これまで私たちが調査した限りでは、どうやらその可能性が高いと言えます。もちろん、この調査は実験室で行っているのではありません。仮説を検証するために何か必要なデータがありましたら、お知らせください。私はそろそろ、より実用的な観察に取り掛かろうと考えています。今のままだと、ずっとパッシブセンサーに張り付かないといけないですし。


それとひとつ加えておきたい情報があります。これまで12時間ほど、Niarjaでは新たなCosmic Signatureが生成しなくなりました。残されたアノマリは3つ、World ArcStellar Fleet Deploymentサイト、そしてmineral fieldだけです。

2020/10/15



Haria Haritimado

Niarjaにおけるワームホールの接続に関するアップデート

あれから約36時間後、Niarjaでひとつの新たなワームホールが確認されました(K162, LAS-402)。これはヌルセクのペリゲン・フォールズ(Perrigen Falls)につながっていました。ここに現れたローグドローンの数は顕著に多く、現地のカプセラたちは私のオングリッド上で今も戦っています。ワームホールの入り口にはトリグラビアンの姿も確認され、戦闘を仕掛けたり仕掛けられたりしています。


ローグドローンの船舶の中には、Overmindや他の大型艦の存在が確認されます。






(引用コメントここから)

Uriel Paradisi Anteovnuecci

ここで観測される現象によって、トリグラビアンは臨界現象を起こしており、我々は行動範囲を制限されています。同じ現象はアビサルの建設現場で建造中のWorld Arcが発見されたときにも起こりました。


この係留物は、彼らのより深淵な計画のために動き始めたばかりなのではないかと思います。いずれにしろ、Domain of Bujan(訳注:トリグラビアンの本拠地だと推測される場所)Pochven、この2つを結ぶ直接の通航手段を彼らが欲していたと考えられますが、どうでしょう。





2020/10/16

(引用コメントここまで)


Urielさん、

重要な考察をありがとうございます。思わずはっとさせられました。そして2つの地域を結ぶ彼らの計画は始まったばかりであるという意見には、私も同意です。彼らの係留物に話を戻しますと、ワープインを引き寄せる重力の影響は約10,000km先まで及んでいます(正確には、800015,000kmの範囲に影響力があります)

2020/10/16


翻訳:渋丸



2020年12月13日日曜日

EVE Online 初心者向けマーケット利用ガイド

・前説:初心者がマーケットだけで稼ぐのは難しい


 当初、「初心者がマーケットで稼ぐためのガイド」ということで執筆依頼をいただいたのですが、このお題についての結論は「初心者がマーケットだけで稼ぐのは難しい」となります。

 そもそも、マーケットの取引だけで稼ぐのは、採算率の面で原理的に不利です。というのも、マーケットの取引だけで稼ぐには、商品を仕入れて、それを売却する、という手順をとる必要があります。この場合の利益は「(売却額)ー(購入額)ー(各種経費)」となります。入手に現金(isk)が直接かかるため、商品を他の手段(採掘など)で入手する競合相手と比べると、採算率で不利になります。また、採算の合う価格で購入・売却しなければならないため、何らかの理由で採算性を度外視して購入・売却する競合相手がいた場合は、そもそも該当する商品の取引によって利益を出すことはできません。


 それでもマーケットの取引だけで稼ぐとなると、「手数を増やす(=扱う商品を増やす)」「タイミングを見て売り買いする」「何らかの付加価値をつける」「取引相手を騙す」といった手法を使うことになります。これらは「資金(isk)」「時間」「キャラクターのスキル」「プレイヤーの知識」などが必要になります。いずれも初心者にとって不足しているリソースばかりですので、初心者にとってはさらに不利な条件となります。

このような悪条件にも関わらず、マーケットを活動の中心に据えて稼ごうとしている……物好きなプレイヤーは筆者を含めて既に多数存在します。先行しているプレイヤーは既にマーケットについて知識と経験を蓄えているわけで、そこに知識も経験も乏しい初心者が割って入って稼ぐのは難しいと言わざるを得ません。

以上のことを踏まえると、初心者がマーケットだけで稼ぐのは難しい、という結論になります。


 そこで本稿では発想を切り替え、マーケット以外で学んだり経験したりするべきことがいっぱいある初心者の人向けに、「マーケットは現金(isk)とアイテムを交換する手段である」と割り切って、最小限の現金と時間のロスで有効活用してもらうための指針について書いていきます。

なお、それでも自分はマーケットだけで稼ぎたい・稼げると思う方を止める気はありません。実際、無根拠な自信はトレーダーの重要な資質だと思います。ただ、そのために役立つ情報はほとんどここに載っていませんし、茨の道であることは覚悟してください。


 本題に入る前に注意。本稿は現役トレーダーが執筆しているため、筆者への利益誘導と取られかねない内容も記載されております。恣意的な利益誘導の意図はありませんが、そのように取れる内容や結果的に筆者への利益誘導となる内容が含まれることをあらかじめご了承ください。また、当然ですがマーケット関係を含むゲーム内の操作については理解しているものとして原則的に記述していません。


・マーケットの仕組み・前置き:オーダー(注文)は誰が出しているのか?

マーケットを使うためには、マーケットの仕組みを知らないといけません。ですので、順を追ってマーケットの仕組みについて簡単に説明しておきます。

キャリアエージェント(いわゆる10連ミッション)を一通りやったプレイヤーなら、1回くらいはマーケットの画面を見ていると思います。そこにある「売りたい」「買いたい」というオーダーの多さに驚いた方もいるかも知れません。マーケットでの商品の取引(現金と商品の交換)は、まずマーケットにオーダーが発行されて、誰かがそのオーダーに対応した反対のオーダーを発行することで初めて成立します。つまり、商品をマーケットで取引するには先に誰かがオーダーを発行しないといけない、ということです。では、そのオーダーを発行しているのは誰なのでしょう?

これらのオーダーのほとんどは、他のプレイヤーによって発行されています。つまり、オーダー一つ一つの向こうには生身の人間がいて、それぞれの意図(あるいは欲望)があってオーダーを出している、ということです。これは初心者がマーケットだけで稼ぐのが難しい理由の一つになっています。

実際にオーダーを出して商品を売買する手順については、もう少し先で改めて説明します。というのも、それ以前に理解しておかないといけない事柄が残っているからです。



・マーケットの仕組み・その1:マーケットに配達サービスはない!


 注意しなければいけないのは、「買ったもの(売ったもの)は自動的に買った人のいる場所に移動しない」という点です。なぜかというと、マーケットでの売買が成立した場合、商品の位置は変わらずに所有権のみが移転するためです。これが意味するのは、「自分が行けない場所で売られている物を買っても実際に利用できない」ということです。「高額なアイテムを格安で買ったらローセクにあった」「買った物をローセクに取りに行ったら売主に撃墜された」、いずれもよくある話です。


 従って、マーケットで買い物をする時は、商品が自分の行ける場所にあることを確認して、できれば現地に行ってから買うのが確実です。売る時も同様で、他の人が取りに来ない・来れない場所で売っても意味がありません。いずれの場合も、より多くの人が集まって取引の多い場所の方が良い条件で取引が成立しやすくなり、資金と時間のロスが防げます。


 余談気味になりますが、より多くの人が集まれる場所という観点から、アップウェルストラクチャ(いわゆるプレイヤー設置ステーション)でのマーケット利用には注意が必要です。というのも、所有者が入港制限をかけている場合があるためです。上手に使えば便利ですが、その辺がよく分からない初心者のうちは注意して利用してください。

では、行きやすくて人が多く集まって取引も多い、そんな都合の良い場所が本当にあるのでしょうか?あります!それが次に説明する「商業地」と呼ばれる場所です。



・商業地はどこか?


 基本的に初心者はいわゆる「商業地」と呼ばれる場所に行ってマーケットを利用するべきです。なぜかと言うと、商業地と呼ばれるところであれば、初心者が必要とする物のほぼ全てが、大抵は妥当な金額で購入・売却できるからです。

現在ハイセクで商業地と呼ばれる場所は5箇所ありますが、そのうち初心者でも使いやすい場所は以下の4箇所、四大国それぞれに1箇所ずつあります。

・カルダリ連合:Jita IV - Moon 4 - カルダリ海軍組み立て工場(Caldari Navy Assembly Plant)(通称:ジタ)

・アマー帝国:Amarr VIII (Oris) - 皇族 学院(Emperor Family Academy)(通称:アマー)

・ガレンテ連邦:Dodixie IX - Moon 20 - 連邦海軍組み立て工場(Federation Navy Assembly Plant)(通称:ドディクシー/ドディク/ドデ)

・ミンマター共和国:Rens VI - Moon 8 - ブルートー部族 宝物庫(Brutor Tribe Treasury)(通称レンズ)


 4箇所いずれのステーションも最初の星系や10連ミッション地から数J程度の距離にあるはずなので、初心者の人でも(ちょっと頑張れば)簡単に行くことができます。

上記の場所は、場所によって差はあるものの取引量が多く、どこに行っても初心者が必要とするものは大抵購入(売却)できるはずです。ちなみに、上記のリストは取引の多い場所を先に書いています。筆頭のジタは「商都」とも呼ばれ、「ジタで手に入らないものはハイセクでは手に入らない」と言われるほどの商業地です(五大商業地全てを「商都」と呼ぶ人もいますが、本ガイドではジタのみを商都とします)。


 参考のために書いておくと、これらの商業地は運営サイドによって商業地として指定されたわけではなく、プレイヤー達の活動によって自然発生的に商業地として認識されるようになった場所です。商業地だから取引が多いのではなく、取引が多いからプレイヤーたちから商業地と認められるようになった、ということですね。


 また、これらの商業地の近辺(大抵1Jの場所)には、市場取引の多いアップウェルストラクチャが建っている場合があります(例:ジタ1Jのペリメーター(Perimeter)にあるTTT)。プレイヤー設置のストラクチャなので若干注意が必要ですが、上手に使えば商業地本体よりもお得に取引できる場合があります。慣れてきたら商業地と併せて確認するといいでしょう。


 よくカルダリ以外に住んでいる人に「買い物はジタで」と言っている人がいますが、筆者は居住時近隣の商業地を使うことを推奨します。というのは、まず移動にかかる時間がもったいない(20J以上になることもある)ことと、他国とジタの間にはゲートキャンプの名所があり、船を撃墜される危険がやや大きいためです。先ほども書いた通り、各商業地は自然発生的に成立している、つまり昔のプレイヤー達が必要だと思ったから成立し、現在のプレイヤー達も必要だと思っているから商業地になっているわけです。そのあたりを初心者プレイヤーが無視するというのは賢くない、極端に言えば無謀な選択であると思います。繰り返しますが、多少ジタより高価でも、買い物は近隣の商業地を使うべきです。(なお、トリグラヴィアンの侵攻による影響のため、本記事執筆時点ではアマーからジタ(カルダリ連合)への移動は非常に大変であることを付記しておきます。どこのアライアンスのせいでしょうねぇ……)


 場所の話のついでに買い物に使う船の話もしておきます。小容量の買い物であれば探索型のフリゲート(マグニートー/ヘロン/イミュカス/バースト)が便利です。鉱石の輸送ならベンチャーを使いましょう。いずれも荷物がそれなりに多く積める・ワープが早い・挙動が軽快という優秀な船です。10連ミッションで貰えるので、ほとんどの人が持っているはずです。必要ならば輸送艦(これも10連ミッションで貰えますね)を使わなければいけませんが、商業地付近は初心者と輸送艦を狙う輩がよく出没しますので、十分注意しましょう。まぁ、落とされる時は落とされるので、運が悪かったと思って出直して下さいね。(あとガレンテ出身の方、10連ミッションで貰えるカタリストに乗って商業地に行くのは辞めましょう。それは輸送艦とかを撃墜する時によく使う船です)


 商業地の話と若干逸れますが、本記事を読んでいる初心者の方の中には、すでにどこかの会社に入社してお世話になっている方もいるかと思います。その場合、特にローセク・ヌルセク・WHに居住している場合、マーケットの利用などについて会社の指示がある場合は指示に従いましょう。近隣に地元住民しか使わない商業地がある可能性もあります。「買い物はベテラン社員にお願いして下さい」ということであれば遠慮なくお願いして、節約した時間で会社に貢献したり様々な経験を積んで成長した方が喜ばれると思います。指示の理由が分からなければ理由を聞いてみるといいと思います。逆に現在入社先を探していて、ロー/ヌルセク奥地やWHなどの簡単にハイセクの商業地に行けそうにないところで活動する会社を検討している方は、面接などの時に買い物はどうするのか聞いてみるといいかも知れません。


 さらに会社の話が出たついでに書いておきますが、会社によっては社内買取/販売制度がある場合があります。その場合は積極的に利用することをお勧めします。担当者の人は他の人の便宜のために自分の時間と労力を割いているわけですし、他の社員が社内買取/販売を利用しているか結構気にしているはずです。ついでに言うと、担当者は誰が利用している/いないかについて、ある程度把握しているのが普通でしょう。利用条件に不満や疑問があったら、担当者の人にできるだけ具体的に聞いたり意見を言ってみるのもいいと思います。


・マーケットの仕組み・その2:基本は即時売買


 荷物の積める船に乗って商業地のステーションに入ったら、いよいよマーケットの画面を開いて実際に売買することになります。

ここでもう一度マーケットの取引が成立する仕組みを思い出しましょう。「まずマーケットにオーダーが発行されて、誰かがそのオーダーに対応した反対のオーダーを出すことで初めて成立」する、でしたね。ということは、マーケットで何かを売買するためには、次の二つのうちのどちらかの種類のオーダーを発行することになります。

・マーケットにオーダーを発行し、誰かが受けるのを待つ(オーダーを置く)

・すでに発行されたオーダーに対応した反対のオーダーを発行する(即時売買)

どちらを使うかですが、初心者はオーダーを置くのは避け、即時売買のみを行うべきです。なぜかと言うと、即時売買であれば必要な商品や現金がすぐに手に入りますが、オーダーを置いた場合は手に入るまで時間がかかりますし、永遠に手に入らない場合もあります。初心者がマーケットを使うのは商品や現金が今すぐ必要な場合のはずですから、オーダーを置くのは目的に合わない使い方でしょう。


・実際の売買手順:取引前に市況を確認しましょう


 ただ売り買いをするだけだから簡単じゃないか、と思われる方もいるかと思いますが、EVEのマーケットはシステム自体罠だらけで、そこにプレイヤー達がさらに罠を仕掛けている場所、というのが日常的にマーケットを使っている立場としての実感です。罠に不用意にかからないためには、マーケットで売買をする前に該当商品の市況チェックを必ず行うことです。即時売買だけなら慣れれば難しくはないので、順を追って説明していきます。


 商業地に来る前に何をいくつ買いたい(売りたい)のかは決まっていると思いますので、実際にマーケットの該当商品の情報を開いていきましょう。商品のアイコンや商品名のリンクを右クリックして開くと便利です。


 マーケットの商品データは複数のタブに分かれていますが、初心者が即時売買する分にはマーケットデータのタブだけ見ておけば問題ないと思います。操作方法や詳しい見方については煩雑になるので割愛します。


 では、すでに商業地に到着した状態を仮定して、商品を購入する場合を例にとって説明していきます。商品を売却する場合についてはその後に説明していきます。


 商品を購入する場合は売却オーダーを確認することになります。この際にに注意しなければいけないのは、(標準の設定では)「現在地以外で売られているオーダーも表示されている」ということです。EVEのマーケットの仕様上、基本的にリージョン(星系の集まりの単位の一つ)内のオーダーは全て見えるようになっています。本記事に従っている限りは厄介な仕様ですが、これは慣れてもらうしかありませんし、慣れてしまった方がいいですし、そのうち慣れてしまうでしょう。

リージョン内のオーダーが基本的に全て見えるということは、商業地以外で安く売られている掘り出し物を見つけられるということでもありますが、先述した「買ったものをローセクに取りに行ったら撃墜された」といった事件が起きる原因にもなります。マーケットウィンドウの左上にある歯車マークからフィルター設定でハイセクのオーダーしか見えないようにできるので、必要に応じて設定しましょう。もっとも、「孤立ハイ」、つまり「ハイセクでない(=ロー/ヌル/WH)星系を通過しないと到達することができないハイセク星系」のオーダーも見えてしまうので完璧ではありません。ちなみに、フィルター設定で売られている場所までのジャンプ数を制限することもできますが、将来のことを考えれば設定しない方が良いでしょう。


 現在いるステーションで売られているオーダーの見つけ方ですが、一番左のジャンプ数欄が「ステーション」(Station)にいるオーダーが、現在いるステーションで売られているオーダーです。「システム」(System)になっているオーダーは現在いる星系の別のステーションで発行されて(売られて)いるオーダーです。特に英語表示の場合はこの二つを見間違えやすいので少し注意が必要です。ジャンプ数欄がが数字の場合は、そのジャンプ数ゲートジャンプした先の星系で売られています。このジャンプ数は最短距離なので、ハイセクのみで移動する場合はさらにジャンプ数が増えたり、到達不能な場合があるので注意しましょう。

ひとまず、今確認するべきは、ジャンプ数欄が「ステーション」になっているオーダーだけ、ということになります。


 では、ジャンプ数欄が「ステーション」になっているオーダーのうち、どれから買うべきでしょうか?もちろん「一番値段が安いオーダー」、ですね。ということで、一番値段の安いオーダーを見つけやすくするために、オーダーを価格の安い順に並べ替えましょう。その上で、ジャンプ数が「ステーション」になっているオーダーを上から順に探していくことになります。


お目当てのオーダーが見つかったら購入です。

 該当のオーダーを右クリックして、「これを購入」(buy this)を選択しましょう。新しく小さいウィンドウが開くはずです。色々書いてあると思いますが、設定すべきは購入する数量だけです。購入したい数量を入力してウィンドウ下の「購入」ボタンを押せば、支払いが行われて商品があなたのものになります。オーダーの全数を買いたい場合はその数字を入力しても大丈夫ですが、オーダー記載の数量を超えた数字を入力すると(エラー音が鳴って)自動的に最大数になるので少しだけ楽ができます。また、数字を0にすると(エラー音が鳴って)数字が1になります。

最初のオーダーでは必要数に足りない場合ですが、2番目以降のオーダーから必要数をまとめて買おうとすると損をします。マーケットの仕様の関係上、(価格的に)2番目以降のオーダーに必要数を入力して購入すると、(最初のオーダー分も含めて)右クリックしたオーダーの価格が指定した数量の全数に適用されるため、オーダーに記載された価格より高い価格で購入することになるため、結果的に損をします。若干面倒ですが、最初のオーダーを全数買ってから次のオーダーで残りを購入する、という手順を繰り返すことで現金の無駄な損失を防ぐことができます。


 商品の売却についても、基本的に一部の単語を入れ替える(例えば、「高い」と「安い」を入れ替える)だけで考え方自体はほぼ同じです。ただし、一部操作などが異なる部分がありますので説明していきます。

まず、即時購入でない購入オーダーを発行する時には、オーダーを発行したステーション外の一定範囲内の場所で売却されたものも買い取る、という指定ができます。ということは、そのオーダーに対応して売却したい場合は、今いる場所が買い取ってくれる範囲内であるか確認しなければいけないということです。難しそうに思えますが、この確認方法は実に簡単です。自分が購入範囲内にいる場合はオーダーの地の色が黒以外(標準設定では緑)になっていますので、オーダーを価格が高い順に並べて地の色が黒でないオーダーを探せばよいのです。

もう一つ注意すべきが「最小数量」欄です。ここは「売却数量が指定した数量未満の売却オーダーは受け付けないよ」という(個人的な見解では)無粋な指定です。売却予定の数がこの数量に届かない場合は(このオーダーとの)取引は成立しません。ほとんどは指定されていない(=最小数量欄が1)のですが、たまに指定されていることがあります。右端の方にあって見落としがちですし、この欄を利用した詐欺もありえますので、お得な購入オーダーを見かけた場合は念のため確認しておきましょう。


 売却時の操作ですが、オーダーを右クリックしても売却手続きはできません。売却するアイテムを右クリックして売却画面を出しましょう。指定すべき場所は3箇所に増えます。上から「数量」「単価」「期間」です。順番が逆になりますが、下から順に説明します。

「期間」欄は選択式になっているので、「即時」を選択してください。それ以外はオーダーを置くときに使うもので、今は必要ない選択肢です。

「価格」欄ですが、「期間」欄が「即時」になっていれば、指定した数量の即時買取が成立する最大の価格になっているはずです。ここで先ほど確認したオーダーと価格が同じであることを確認しましょう。違っている(価格が安い)場合は予定したオーダーとの取引が成立しない状態ですので、そのまま売却すると予定していたオーダーとの取引が成立せずに損をする可能性が高いです。「購入オーダーの数量より売却予定数量の方が多い」「売却予定数量がオーダーの最小数量の指定値よりも少ない」「希望する購入オーダーの買取対象範囲外にいる」あたりが考えられる理由なので、何が問題なのかを確認しましょう。


 「価格」欄に問題がなければ「数量」欄を変更する必要はないはずです。予定していた購入オーダーの数量より売却予定数量の方が多かった場合は「数量」欄を修正して購入オーダー記載の数量に変更しましょう。「価格」欄が予定していたオーダーの価格に変わると思います(変わらない場合は「期間」欄で「即時」を選び直せば変わるはずです)。最近は購入オーダー上位に数量の少ないオーダーが増えてますので、ここで確認を怠ると大損する可能性があります。よく注意して確認しましょう。


 基本的な売買の手順については以上です。少々煩雑ですが、無駄な損をしないためにも初心者のうちは上記の手順を守った方が間違い無いと思います。

以下は細々とした補足です。


・使うために必要な物を買うときは値段を気にしすぎない:モジュール類の適正価格について


 初心者の人が買い物をするのは大体艦船を組むための船とモジュール類だと思います。実際にモジュール類を買いに行って、販売価格のあまりの高さ(と買取価格の安さ)に驚いた方もいるかと思います。結論から言ってしまうと、実際に船に装着して使うつもりのモジュールなら、多少高くてもすぐに購入してしまい、いっぱい使って元を取るのが正解だと思います。

マーケットの仕組みの説明で気づいた方もいるかと思いますが、EVEのマーケットでは基本的に定価というものはありません。取引価格はマーケットに参加する人の意思と(駆け引きと)合意によって成立しています。ですので、販売価格と購入希望額が数桁離れている商品が発生したりするわけです。


 では適正価格はいくらなのか?どうやって適正価格か見極めればいいのか?という疑問になるわけですが、これは現役トレーダーにとっても難しい問題で、ましてや初心者が判断するのは無理だと思います。


 以下、初心者の人が一番気になるであろうモジュール類について話しますが、個人的には一番適正価格が分かりにくいのがモジュール類であろうと思います。というのも、適正価格は取引市場に参加している人によってそれぞれ異なるため、市場全体での適正価格の判断が困難だからです。

モジュール類を買う人は大きく分けて二つ、「モジュール類を装備して使用する人」と「何らかの素材として使用する人」です。前者は使用することで利益を得られるので購入価格が多少高くても問題ありませんが、後者にとって購入価格は基本的に安ければ安いほどいい、という考え方になります。販売している人は前者向けに売却オーダーで高く売ろうとしますし、後者は購入オーダーを出して安く買おうとしますので、商品によっては売却オーダーと購入オーダーの価格差が大きくなる、というわけです。


 ですが、初心者プレイヤーがこの辺りを深く考えるのは時間の無駄だと思います。初心者が経験すべきことや理解すべきは他にいっぱいありますので、マーケットの価格決定の仕組みについて頭を悩ませる必要はありません。必要なものが決まっていて、それが今目の前で売っているのであれば多少割高でも買ってしまい、実際に使って経験を積むべきです。仮にそれが割高な商品だったと後で気づいたとしても、笑い話のネタとして回収すればよいのです。

ただ、ごく稀ですが本当に高すぎるオーダーしかない場合があるのも事実です。あまりにも高すぎると思った場合は所属会社の人やヘルプチャネルなどで「何々がいくらなんですが高すぎるでしょうか」などと聞いてみるのも一つの手です。価格について意見がもらえるかも知れませんし、そもそも組もうとしているfitが不適当で、購入予定のモジュールがニッチなモジュールだったりベテランでも使わない超高級モジュールだったりする場合も考えられます。大雑把な目安ですが、初心者が使いそうなモジュールに関してはBS(戦艦)用のモジュールでも20Misk未満が適正価格でしょう。BC(巡洋戦艦)以下用のモジュールならもっと適正価格は低いです。例外はSoEのコアランチャー類ですが、これを使うことを検討している時点で既に初心者とは言えないような気もします。


 余談ですが、モジュールの購入の話が出たついでに、モジュール類を含むルート品やサルベ品の売却について個人的な意見を書いておきます。

モジュール類は種類が多い上に各アイテムによって買取価格がまちまちなため、売却するための仕分けはかなり手間、つまり作業時間がかかります。その割に高く売れないものが多いので、結果として売却総額が高くなりにくく効率は良くありません。一方、サルベージで回収できるサルベ品だけを分けるのは簡単ですし、買取価格競争が激しいので購入オーダーは割と適正な価格(と充分な数量)で出ていることが多いです。


 したがって、「サルベ品だけ売却して、それ以外のルート品はとりあえず保管しておく」のが初心者の人にとって一番効率がいい処理方法だと思います。ルート品を保管しておくと、新しい船を組むときに必要なモジュールが過去のルート品の中から見つかって費用を節約できた、なんてこともあります。


 ルート品をアイテムハンガーに直接置くと整理が大変なので、コンテナを用意してその中にルート品を入れておくと良いでしょう。大容量のコンテナをいくつか持っておくとアイテムハンガーを整理するときに便利です。


・手間を惜しむと損をする?:マルチセル/バイには注意が必要


 本ガイドでは商品を一種類ずつ売買する手順しか説明していませんが、複数のアイテムをまとめて売却/購入する方法もあります。まとめて購入する機能については「大量買い」という名前がついているようですが、売却する機能については特に名称がないようです。大量買いという訳語に違和感がある(「まとめ買い」が妥当か?)こともありますし、本ガイドでは英語表記にならって、両方まとめて「マルチセル/バイ」と表記することにします。

複数の商品をまとめて売却/購入できるマルチセル/バイ機能は大変便利そうに見えますが、使用時には注意が必要です。というのも、妥当な価格で全商品を全数売却/購入できる保証はどこにもないからです。


 そもそも対応する購入/売却オーダーが全くない場合は問題ありません。取引が成立せず、指定した商品が売却/購入できないだけだからです。問題になるのは、指定数を取引しようとすると、いわゆる「ぼったくりオーダー」に引っかかってしまう場合です。

「ぼったくりオーダー」というのは、妥当な価格帯より極端に高い売却オーダーや極端に低い購入オーダーのことです。例をあげるとT1モジュール1個の売却価格が900Miskだったことがありますし、1iskや0.01iskの購入オーダーが出ている商品は数え切れないほどあります。特に購入オーダーはぼったくりオーダーが多く、少数の取引しかないような商品にぼったくりオーダーが出ていることは珍しくありません。


 マルチセル/バイに限った話ではありませんが、即時売却/購入の際に指定数が妥当な価格帯のオーダーの合計数を超えた場合、指定した全数がぼったくりオーダーの価格で取引されるのは先述した通りです。つまり大損するということです。


 このような損をしないためには、各アイテムごとのオーダーを確認して妥当な価格帯のオーダーの合計数だけ取引に出せばいいわけですが、それだったら既に説明した通り、商品を一種類ずつ売却/購入すれば済む話です。


 そんなわけで、本ガイドではマルチセル/バイは非推奨としますので、手順などについては説明しません。興味のある方は攻略wikiなどを参照してください。実際、筆者はマルチセル/バイを使ったことがありません。


 あと、マルチセル/バイに限った話ではありませんが、商品を売却するときは必ずリパッケージする(しないとマーケットで売却できません)とともに、同一アイテムを1スタックにまとめてからオーダーを出すようにしましょう。売却オーダーは1スタックごとに1オーダーとなるようですので、1スタックにまとめないとオーダーの本数が無駄に増えてしまいます。実際、同一アイテム同一価格で数量1の発行オーダーがほぼ同時に数本発行されている場合は案外多く見られます。普段から使わない商品はリパッケージして1スタックにまとめておく習慣をつけると良いでしょう。いずれもアイテムハンガーで右クリックを使えば一瞬の手間で済む作業です。


・最後に:本ガイドは破られるためにある


 ここまでEVE初心者の皆様を対象に、余計な時間と現金の損失を防ぎつつ、効率よくマーケットを利用するための方法について説明してきました。「あれをやれ」「これはやるな」の連続で、大変窮屈な内容だったと思います。しかし、経験豊富な魑魅魍魎が跳梁跋扈するEVEのマーケットを初心者の方が安全に利用するにはこのくらいの注意が必要だと思いますし、逆に本ガイドの内容を守っていれば、不注意などでミスをしない限り大きな損失は発生しないはずです。

マーケットに深入りしないプレイスタイルであれば、本ガイドからの逸脱を考えなくても良いかも知れません。しかし、ある程度マーケットの仕組みを理解して、本ガイドに記載した指示の裏にある理由が分かってきたら、「この部分はこう逸脱しても大丈夫じゃないか、逸脱した方が自分自身にとって正解ではないか」という判断に至るかも知れません。そのときは各自の判断と責任において、本ガイドの指示に違反してしまって問題ありません。


 本ガイドはマーケットのシステムに関する説明は極力避け、具体的な手順のみを記載するように心がけて執筆しています。今すぐマーケットを利用する必要に迫られた初心者の人を対象に、最小限の知的負担で現金と時間の損失を抑えてマーケットを利用してもらうためのガイドだからです。プレイを続けて金銭的にも知識面でも余裕のできたプレイヤーが本ガイドの指示を守り続けなければいけない理由は、実のところ全くないのです。事実、筆者は現時点において、本ガイドの内容をほとんど守っていません。


 繰り返しますが、将来あなたが充分な知識を得て、本ガイドの指示に違反するのが自分にとって正しいと判断したなら、自らの判断と責任において本ガイドの指示に違反してしまって差し支えありません。その時あなたはもうEVEのマーケットの初心者ではありませんし、本ガイドの指示を破ることがあなたがマーケットだけで稼げる人になるための第一歩かも知れません。

そういう意味において、本ガイドは破られるために存在している、そう考えています。




2020年12月6日日曜日

EVEのネタ動画を勝手に紹介

 



ネタなEVE動画があなたの明日をかえる、EVEビアな記事にようこそ。

この記事では、ムラクバトラーが見てきたEVE関連の動画からプレイに関して基本的に役に立たないネタ動画や面白動画を勝手に紹介していきます。

英語ばかりですが、だいたい直感や字幕で楽しめるものを選んでいます。



それでは、まいりましょう。最初はEVEを語る上では外せない、この動画です。



元動画が面白いのもありますが、アライアンスロゴをつけただけなのになぜか笑ってしまうEVEのアライアンスロゴの破壊力を痛感できます

この動画は、Panfamとよばれるコアリションがどう生まれたかをテーマにしていますが、全く意味がわからない動画になっています



Let it Beeの替え歌ですが、クオリティの高さからEVE Onlineのファンイベントでは参加者全員で歌うということが起きたことがあるぐらい海外では有名なパロディソングです。



EVEOnlineの動画投稿者のネタ枠ともいえるXtra Squicyの動画。彼の動画はMemeやプレイ動画が多いのですが、この動画のように動画のプレイを集中して見れないノリと勢いに任せたものが多く、実際すごいことしてるのに凄く感じないものなど多数存在します。

彼のネタ動画はかなりブラックジョークが強いものや、ある程度知識を知らないと楽しめないものも多いですが、総じてクオリティが高めなのでお勧めです。


EVE Onlineのパロディソングの中で高いクオリティを誇るFuck Goon。EVEでの嫌われ者、帝国、様々な異名をもつGoonをネタにしたパロディソングですが、クオリティの高さから某海外ガイドではお勧め動画に抜粋されているほどです。



もうなんとなくですべて理解できてしまうEVE動画。



よくある死に方を紹介しているパロディソングのEVEver。EVEをある程度プレイしてると「あるわー」ってなるものばかりです。



Imperiumのネタ動画やプロパガンダを担当するMinistry of Truthのパロディソング。
歌のクオリティも歌詞のクオリティも高い。



いわずとしれたQueenの名曲、ボヘミアンラプソディのパロディソング。
筆者であるムラクの一番のお気に入りであり、歌詞のディスり具合が最高です。





CCP公式バンドであるPermabandのPV。ネタ動画ではなく、本当にCCPスタッフが歌ってPVをとってやっているものです。この曲は大型アップデートCitadelのテーマソングにもなり、ファンイベントでもよくつかわれる名曲です。

EVEOnlineはこのようにネタも全力投球される例が多く、動画に限らずクソコラやMeme、ネタ画像も大変多くそういう面でも楽しめるゲームです。

みなさんも真面目な部分だけではなく、こういう面も楽しんでみてください






2020年11月18日水曜日

出張!ONCBN従軍記 #8 はぢめてのウェビファイヤープローブ

 WWB2の戦況は悪い。TESTの本格的なピリオド・ベイシス侵攻は苛烈を極め、ほぼ全域を制圧した上で、デルヴを削っている。今回Imperium側のムニン艦隊は、敵性勢力の一角であるPandafamのフェロックス艦隊がタタラを撃っているという報を受け、現場に駆け付けた。

驚くべきことに2倍3倍、ひどい時には5倍超の戦力差がつく最近の戦闘シーンでは珍しく、およそ100隻のムニン艦隊に対して相手のフェロックス艦隊も100前後。Ranger Regimentのケルベロス艦隊も現着しており、圧倒的に有利な状況だ。実際、初戦はそうだった。タタラを削るフェロックス艦隊に中距離から仕掛けたムニン艦隊は次々とフェロックスを撃沈し、あっという間に相手を追い払う。その際に相手の艦隊司令官を捕獲し撃沈するというおまけつきだ。凄腕のタックラーの腕に戦慄するばかりである。

しかしタタラのリペアタイマーを防衛するムニン艦隊の目には、正直嫌なものが映っていた。味方のストラクチャ群の上方に設置された敵の前哨基地であるアシュトラハス、そしてそこに再集結しつつあるフェロックス艦隊。そしてサイノシュラルフィールドが炊かれ、鳴り響くジャンプアウト音。増援である。ほぼ同数だったローカルの人数が、あっという間に2倍以上の差に広がる。状況を整えた敵性のフェロックス艦隊は、再度タタラの前に堂々と展開して攻撃を開始した。



殴り合うにしても数が多いので、こちらも増援を呼び、50隻ほどのムニン他を足して再度仕掛ける。調子に乗ってタタラのすぐそばまで寄ってきていた数隻のフェロックスが瞬く間に吹き飛び、再度戦端が開かれた。

ここでひとつ補足しておかなくてはならない。実はこの戦場には魔物が居た。マイクロワープドライブをつかって加速しながら不規則に運動するムニン艦隊に、的確にボイドボムを当ててくる凄腕のステルス爆撃艦である。実は初戦でも見事に当ててきたのだが、ちょうどフェロックス艦隊の撤退タイミングに重なって事なきをえていたのだ。それが再び、フェロックスに嫌な具合に接近したタイミングで炸裂した。さらにそこにタイミングを合わせて突っ込んできたワープ妨害型駆逐艦が展開したのが、最近実装されたばかりのステイシスウェビフィケーションプローブだ。キャパシタを飛ばされたことでマイクロワープドライブが停止し、さらに足を固められたムニン艦隊にフェロックスの攻撃が集中し、ここで随伴するロジスティクス艦をごっそり削られる。しかしムニンの火力も至近距離で炸裂し、ターゲットすら間に合わない速度でフェロックスも落ちた。しかし壮絶な削りあいもそこまでである。ロジスティクス艦をほぼ全損し、再出撃した艦も損なわれるような厳しい状況に陥ったムニン艦隊はそこで下がらざるを得なかったのだ。


https://zkillboard.com/related/30004754/202011171300/


結果的に大量のフェロックスを破壊したが、相手の攻撃を止めきれなかったので戦略的には負けたとも言える。このように一部の凄腕の活躍で戦況がひっくり返るのは正直胸が躍る話だが、それが相手にいるとなかなか厳しいものがあるというものである。

2020年10月6日火曜日

出張!ONCBN従軍記 #7 FRTの王手!ドレッドノート特攻作戦

 PandafamとTESTがデルヴに襲来した。血も涙もなく、ただひたすらに暴虐だ。


敵戦力がクエリアスに集中した結果、軽く3000を超える艦隊、それもSuper Capitalを多数含む超ド級の機動艦隊が展開。エントーシス戦で荒廃した各所のストラクチャを落とし、キープスター級城塞を1つ、また1つと展開。ついにはデルヴ・リージョンと隣接する星系にキープスターを設置(Imepriumは防衛に失敗)。そして今日、ついにデルヴ・リージョン内、Goonswarmの本拠地をジャンプレンジに含む星系FWST-8にキープスターを設置しようとした。まさに王手。これは戦略上、絶対に許すことはできない1手だが、日本や中国や韓国などをはじめとするアジア東部、オーストラリアなどを含むタイムゾーンはFRTなどがいる以上完全に相手の戦場であり、力負けは必至という状態だ。

今日、俺はこの命を捨てる!と思っていたかどうかはわからないが、Imeprium側は恐るべき手口でこれに対応した。

すなわち、攻城艦(Dreadnought)による特攻である。フル装備で40億ISKほどもする攻城艦を湯水のごとく継続投入し、キープスターを破壊する作戦に出たのだ。




ストラクチャはポンと設置できるものではない。まず設置が開始されるまで15分間のタイマーがあり、ここは装備もできなければシールドやアーマーもない、非常に無防備な状態だ。敵の大群が集まり、キープスターを設置しようとする中、即座に呼応した艦隊が戦端を開いた。いくつもの艦隊が波状攻撃で敵艦を削る中、1隻、また1隻と突入する攻城艦たち。ダメージ上限がある以上、全ての艦船を同時に投入しても無駄が出るだけだ。とにかくこのように継続的にダメージを与え続け、回復を阻害し続けるしかない。

応援で突入した艦隊も、相手の艦隊や主力艦群の攻撃が激しくすぐに退くしかないような状況で死に続ける攻城艦たち。結果的に250隻以上の攻城艦が投入されては死ぬことで、なんとかKeepstarの破壊は達成された。

ローカルは3700人とこの手の戦闘では少ないものの、Imeprium側は1T(1兆ISK!!)に迫る大損害を出し、対するPanndafamやLegacyは200B~300B(2000億~3000億)というこちらも巨額の損失が計上された戦闘である。

キープスター周辺以外でも各所で小競り合いが続き、攻城艦の発着所であるフォータイザーを襲いに来たTESTのナイトメア艦隊と激戦を繰り広げたり、どういうわけかポツンと浮いていたFRTのタイタンを襲おうとして失敗したり、星系全体が戦場となり、混迷を極めていたわけである。


ところで何かお気づきではないだろうか。そう、このキープスター、やけに透明に見えないだろうか。

ストラクチャは設置されると、まず15分間の無防備なタイマーがあり、その後24時間かけて係留される。その後また15分間の無防備なリペア時間が発生し、それが過ぎてはじめてアーマーやシールドが全回復、装備をつけたり入港したりできる用意が整うのだ。

このキープスター設置を巡る攻防戦は、FWST-8に艦隊が飛来、設置が開始された直後にImeprium側がそれを察知して防衛艦隊を送り込んだことで始まっている。設置後15分、本来であればそれほどの即応はできないが、今回は様々な要素が重なって間に合ったということだろう。

そうなのである。本来であれば設置を巡る戦闘は「係留後の15分間のタイマー」を争うものだ。残念ながらこの攻防の後、(もちろん敵味方の誰もが予想していたが)隙を突いて2個目のキープスターが設置された。破壊されなければならない。この戦いは幕開けに過ぎず、係留が明ける24時間後、さらなる大規模戦闘が待ち構えているだろう。

しかしデルヴで暮らす民のために一歩も退けぬ!攻城艦、空母、ひいてはタイタンなどがバンバン投入され、世界中の人々を楽しませる大戦闘はこれからも続いていく。

2020年9月26日土曜日

日本人にEVEonlineを勧めない7つの理由〜逆説的EVEonlineのススメ



日本人にEVEonlineを勧めない7つの理由〜逆説的EVEonlineのススメ


 EVEonline完全日本語化(正確には日本語化再開)のアナウンスを聞いて驚かれた方は多いと思います。おそらくどこの日本人コーポ(会社、他のゲームでのギルドやクランなどに相当)もこのアナウンスを受けて、新規プレイヤーのためにEVEonlineを勧めるblog記事などを公開している頃でしょう。もちろんONCBNもその流れに乗り遅れるわけにはいかないので慌てて記事を書いている次第です。


 この機会に(乗じて)現役プレイヤーとしてEVEonlineの魅力を伝えたい気持ちはありますが、「EVEonlineはこんなに楽しいゲームですよ、みなさんやってみませんか(ハート)」的な記事はどこのコーポも書くでしょう。

 それが分かっていて同じような記事を書くのでは面白くありません。そこで、本記事ではあえて、「EVEonlineは日本人には向かないよ、それでもやるなら覚悟を決めてね(キリッ)」というスタンスで逆説的にEVEonlineというゲームを紹介していきたいと思います。

本題に入る前に注意事項というか言い訳というか的なことを書いておきます。本記事にたどり着いた人はEVEonlineがどんなゲームか(宇宙船に乗ってドンパチやるゲーム)については知っているという前提で話を進めます。知らない方はもっと親切な紹介記事が他所にあると思うのでそちらをご覧ください。また、元々本記事の構想は以前から考えていたものの、冒頭のアナウンスを受けて急遽書いている記事のため、内容に不備がある場合があります。あらかじめご了承下さい。


理由1.日本語化が不完全

 多分日本人プレイヤーの最大の壁がこれ。日本語だけでプレイできるゲームじゃないので、ある程度の英語力などが要求されます。この問題はゲームそのものが完全に日本語化されたとしても解消しません。というのも、EVEonlineでの使用言語はゲーム本体だけでは決まらないからです。

最初に現時点(2020年9月25日)でのゲーム本体の日本語化状況を解説しておくと、一言で言うとキメラ状態です。というのは、以前日本語化されていた時期があったものの中止されたため、それ以後に更新された部分は日本語化されていないという事情によります。


 ですので、日本語表示でプレイすると英語表示が混じったりテキストが正常に表示されない部分が発生します。冒頭のアナウンスはゲーム本体(と公式サイト類)の完全日本語化を再開する、というアナウンスですこれが実施されれば(翻訳の品質によりますが)ゲームそのものは日本語でプレイできるので問題は解消されると思いがちですが、実はそうもいかない理由があります。


 まず、EVEonlineをプレイしていると、プレイスタイルによって差はあるものの多かれ少なかれプレイヤー作成の外部サイトを利用することになります。ほとんどの外部サイト作成者は日本人ではないので、当然日本語化はされていません。外部サイトではゲーム内の用語も基本的に英語表示なので、日本語表示でEVEonlineをプレイしていると用語を英語に変換する手間が発生します。ゲーム本体が完全日本語化されたとしても、ゲームをプレイするには日本語だけでは不十分という状態に変わりはないのです。


 また、EVEonlineは世界中のほぼ全プレイヤーが同一サーバー上でプレイするMMOゲームです。そのため、日本人コミュニティ以外では日本語以外の言語が使われています。日本人以外のプレイヤーと交流するにはやはり日本語だけでは不十分なわけです。


 そんなわけで、EVEonline本体が完全日本語化されたとしてもある程度の英語力などは要求されるゲームである、という状況には全く変わりがないわけです。ついでに言うと、完全日本語化は今年(2020年)の冬ですので、今すぐプレイしたい人は最低でも日本語キメラ状態でプレイすることになります


 日本語しか読めないと結構大変ですが、ある程度英語が読めるならそれほど苦労はしないと思います。多分洋ゲーを英語表示で問題なくプレイできるくらいの英語読解力があれば十分でしょう。外部サイトとの連携を考えてあえて英語表示でプレイしてしまうという手もありますし、英語が読めるならそちらの方が快適かも知れません。

 そこまでしなくても、「重要単語のみ英語表示にする」というオプションも用意されていますので、外部サイトとの連携を考えて有効にして日本語表示でプレイしてもいいでしょう。操作方法などに慣れてしまえばしっかりテキストを読む必要のあるシーンは減るので、慣れてしまえば日本語しか分からなくても問題ないかも知れません。


理由2.自由度が高すぎる


 EVEonlineは基本的に宇宙船に乗って撃ち合いをやるゲームですが、それだけのゲームではありません。それ以外の活動も多岐に渡りますし、そう言った活動を中心にしているプレイヤーもたくさんいます。例を挙げていくと、撃ち合い(戦闘系)だけでもNPC狩り(PvE)・対プレイヤー戦闘(PvP)それぞれに多くのカテゴリがありますし、戦闘系以外だと鉱石採掘・探検・アイテム生産・商品売買などといったカテゴリがあり、それぞれのカテゴリにさらに分類可能な活動の種類が含まれています。


 活動内容はゲーム外にも及び、ゲームをサポートするツールやサイトの開発運営や(今正に読んでいる最中の)ゲーム関連記事の執筆などという活動もあります。あまりに多岐に渡るので全てを語ることはできません。EVEonlineの活動を1枚にまとめた画像を作っている人がいるので、気になる方は検索してみてください。活動内容の豊富さに驚かれることと思います。


 自由度が高すぎるのは活動内容だけではありません。EVEonlineは「運営の想定仕様上可能な行為は全て合法」となっているので、倫理的に問題のある活動であっても基本的に実行可能です。正義の味方になるのも悪逆非道の限りを尽くすのも全てプレイヤーの判断に任されています。※1


 活動内容が豊富にあって自由度が高いと言うことは、逆に言えば自分がどんな活動をするのか各自で考えて決めなければいけないと言うことです。これは自分の好みや適正を知ってゲームの内容を理解した上で、自分の頭で自分がどんな活動を中心に据えるのか判断しなければいけないことを意味します。

 これは結構大変な作業になるので、ゲームに決められたコースに乗って楽しめればいいと思っている人にはEVEonlineは向いていないと思います。


 逆に言えば、決められたコースに乗るのはまっぴらごめん、と思っている日本人らしからぬ人(褒めてるつもり)にはより楽しめるゲームだと思います。実際のところ初心者の人にお勧めの初期活動というのはありますし、それに従って活動を始めている人もいますが、無視して暴走しまくってる初心者の人もよく見かけます。

 前者が長く残りそうで後者はすぐ辞めそうな気がするのですが、案外後者もしっかり残ってゲームで内の活動基盤を築いていたりします。初心者でも無茶はできますし無茶をしても大抵はなんとかなるので、色々好き勝手にやりたい人には向いているゲームかも知れません。逆にしっかりベテランプレイヤーから教わりながらプレイしたいという人も、初心者向け日本人コーポが何社もあるので心配は要りません。


理由3.チュートリアルが不親切



 最近はゲームが複雑化してるせいか、懇切丁寧なチュートリアルがあるゲームが多いのではないでしょうか。後述のようにEVEonlineもかなり複雑なゲームですのでチュートリアルも充実してるかと思いきや、内容的には自力で活動するのに必要最小限に届いているかどうかというのが現実です。

 EVEonlineのチュートリアルについて簡単に説明しておくと、キャラクター作成完了後すぐに始まるチュートリアルと、チュートリアルで誘導されるキャリアエージェント(通称10連ミッション)5種類の2つに分かれます。戦闘関連の内容やマーケットでの売買の仕方など色々教えてくれるのですが、内容的にはちょっと不足しているような気がします。


 これについては、チュートリアルの内容が不足しているゲームだと思っていただくしかないと思います。というのは、必要な知識をチュートリアルでフォローしきれるゲームではないからです。チュートリアルで不足する知識は攻略wikiを読んだりして身に着ける必要があるものだと思ってください。もっとも、そこにも後述のように問題があるのですが。

なお、チュートリアルの分量が不足しているといっても、チュートリアルとキャリアエージェント全部を一晩で終わらせるのは無理でしょう。ある引退プレイヤーが復帰リハビリのために作った新規キャラで、全て完了するまで3日かかったという話があります。初心者ならもう少し日数がかかるでしょう。そういう意味ではボリュームは十分で、これ以上増やそうにも増やせないのかも知れません。


理由4.要求される知識量が膨大




 大抵の戦闘物ゲームには、いわゆる「テンプレ装備」というのがあると思います。中世物RPGの場合だと「この職業にはこの装備を持たせておけば間違いない」というパターンですね。EVEonlineでは船体と装備の一式をfitと呼びますが、テンプレfitというのは特にありません。というのは、キャラクターの成長度合いやプレイヤーの好みなどで有効なfitが変わってしまうためです。ですので、自分が使うキャラの宇宙船のfitは自分で考えて組み立てる必要があります。宇宙船がメインのゲームである以上これはEVEonline最大の楽しみの一つなのですが、同時に初心者にとって最大の難関でもあります。

EVEonlineのプレイスタイルに「ネタ画像職人」というのがあって、昔から様々なネタ画像や動画が作られています。その中でも特に悪名高い画像に「EVEonlineの学習曲線」というのがあります(上記の画像です)。


学習曲線の概念が崩壊したこの画像、EVEonlineを知らない人にとってはただのネタにしか見えませんが、ベテランプレイヤーの中には「事実しか書いてない」と評する人もいます。というのも、EVEonlineを継続してプレイしていくのには膨大な知識を身に着ける必要があり、それができずに辞めていくプレイヤーがかなりの数にのぼるためです。そして、その知識の多くを占めるのが、先述の自分でfitを組むためのゲームメカニズム(fit理論と呼ばれます)の理解なのです。

継続してプレイを続けていく上で必要な知識は大きく分けて二つだと思います。一つは今述べたfit理論、もう一つは自分の活動をよりよくするための知識です。理解すべき個々の知識は割と単純なのですが、単純な知識がお互いに関連するため全体としては複雑な体系になり、習得には時間と労力が必要になります。NPCを狩るために複雑な知識を身につけなければいけないEVEonlineとテンプレ装備を用意して突撃すれば楽しめるゲーム、どちらを選ぶかと言えば普通は後者を選びますよね。

そういうわけで、何も考えずにドンパチしたい人にはEVEonlineは全く向いていません。別のゲームを探した方が正解です。逆に、知識を身につけてそれに基づいていろいろ考えるのが好きな人にとって、EVEonlineはこれ以上ないほど楽しめるゲームだと思います。


理由5.基本的に安全が保証されていない



PvP(対プレイヤー戦闘)が不可能な場所があったり、そもそもPvP自体不可能なMMOゲームもありますが、EVEonlineにはこういう格言があります。

「撃墜されて買い直しの利かない船で出航してはいけない」というものです。どういうことかというと、EVEonlineではどれほど安全と思われる場所にいても、出港している限り撃墜されて船を失う危険があるということです。


EVEonlineの世界は場所によって安全度が違っており、安全度の違う場所が緩やかにつながって全体で一つの宇宙となっています。安全度が低い場所ほど儲けも多いですし、移動手段が確保できる限りどこで活動するかはプレイヤーの自由です。したがって、ハイリスクハイリターンを求めて危険な場所で活動してもいいですし、危険を避けて安全な場所で活動しても構いません。ただ、忘れてはいけないのは、どんなに安全と言われる場所でも、船に乗っている限りは撃墜される可能性がないわけではないということです。

プレイヤーの船を撃墜するのは大抵他のプレイヤーの船ですが、EVEonlineではどれほど安全な場所であっても他のプレイヤーの船を攻撃して撃墜することが理論上可能です。場所によっては攻撃したプレイヤーに対する制裁が用意されてはいるのですが、それでも攻撃してくるプレイヤーはいますし、撃墜された船が帰ってくることはありません。自分の身は自分で守るしかない、ある意味地獄のような世界のゲームがEVEonlineです。

船に乗らずに商売で身を立てれば絶対安全、と考える人もいるかも知れませんが、それは甘いです。少し前に、EVEonlineは「運営の想定仕様上可能な行為は全て合法」という話をしました。この仕様は商取引にも当然適用されるので、商売の世界は騙しや詐欺が横行しています。一瞬で大量の資産を失うような詐欺は決して珍しくないので、しっかり知識を身につけて自分の資産を守る必要があります。

というわけで、EVEonlineは安全な世界でのんびり暮らしたいという人には向いていません。ただ、規約違反がなければキャラクターを失うことはないですし、全資産を失ったとしても生活基盤の回復は割と容易ですので、危険を求めていろいろやりたい人には向いています。あんまりいないと思いますが、「危険な世界でのんびり暮らすのが好き」という人にも居場所はあります。


理由6.プレイ時間が長くなりがち



 ここで香川県在住の皆様に悲しいお知らせがあります。EVEonlineにハマるとまず間違いなく例の条例に違反することになります。もっとも、罰則はないんで無(検閲により削除) 

 最近は1日5分で楽しめることをアピールしたゲームもありますが、EVEonlineはその対極にあります。割と王道スタイルのミッション(他ゲームのクエストなどに相当)攻略でも、個人攻略最上級かつ主流クラスのミッション攻略には1時間以上かかりますし、採掘メインなら作業時間と成果が比例するので1日1時間では無理があります。

 大規模艦隊戦に参加するようになるともっと長くなり、極端な例ではある有名な戦闘が毎日のサーバーメンテ明けの後に始まった大規模戦闘が翌日のサーバーメンテ開始まで十数時間続いたという話があるくらいです。商売系なら時間も短めと思いきや、市場競争に本気で対抗しようとするとマーケットに張り付くことになるのでやはりプレイ時間は長くなります。

労働時間が長めで睡眠時間の確保もままならない日本人労働者の大半にとって、これほど長時間のプレイに耐えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。これはEVEonline自体の問題ではないにしても、EVEonlineを日本人プレイヤーに勧められない理由にはなります。

根本的な対策にはならないですが、プレイスタイル次第ではそれほど長時間のプレイでなくても楽しめる方法があるにはあります。とはいえ、1日30分とか1時間だと厳しいゲームなのではないかな、とは思います。


理由7.エフェクトが地味




 最近のゲームの広告などを見ていると、ゲーム画面がエフェクトだらけで光輝いているゲームが多いようです。そういったゲームの広告が多いことを見ると、過剰にも見えるくらい映像エフェクトがあるゲームの方が人気があるのかな、と思えてきます。

ではEVEonlineはどうかというと、そういったゲームと比べると、地味です。確かにレーザー砲を発射すれば光の線が船から伸びていきますし、ミサイルは後ろから炎を吹きながら飛んでいきますし、船を破壊すれば爆発します。ですが、現実世界で見られておかしくないレベル以上の映像や音声エフェクトはEVEonlineにはありません。地味です。ゲームに派手なエフェクトは不可欠と考えている人はやめておいた方がいいでしょう。

ただし、エフェクトが貧弱だというわけではなく、宇宙船での戦闘を演出する上では十分なエフェクトは用意されていると思います。船体関係はなかなか凝っていて、船体のダメージに応じて画面上の船体も傷ついていったり、他のプレイヤー艦を撃墜すると船体にキルマークが付いたりします。地味です。長く使っている船は汚れが溜まってきたりしますし、溜まった汚れを掃除する機能も付いてます。地味です。地味ですが、船体を眺めるために船を購入したりする人もいるくらい、船体のグラフィックは美しいです。船体もそうですが、宇宙空間に浮かぶ各種のオブジェクトの造形もなかなか凝っていて、観光名所めぐりという楽しみ方をする人もいます。派手さは要らないけど美しさは欲しい人にはEVEonlineは向いている、と言えるかも知れません。

派手さも美しさも要らないという人は、グラフィックの品質を落としたりエフェクトの一部を無効にすることもできます。グラフィックの品質を最低に落としても、プレイする上では十分すぎる品質です。もっとも、あまりエフェクトを無効にしすぎると地味にプレイに支障をきたす場合があるので注意が必要です。



理由8.明確な終わりがない



 世の中にはストーリーを売りにしたゲームもありますが、EVEonlineはその逆です。EVEonlineはsand box(箱庭) MMOというジャンル、つまり「基本的な環境は作ったので後はプレイヤーたちが勝手に楽しんでね」というジャンルのゲームです。

 ゲーム全体で初めから用意されてるストーリーはありません。ストーリーがないので終わりもありません。つまり、運営が続く限りゲームそのものに終わりがない、ということです。

世の中にはゲームのストーリーを楽しんだり、エンディングを見るのが楽しみでゲームを攻略してるという方もいると思います。そういった方にはEVEonlineは向いていないのではないかと思います。

 ゲーム全体で用意されたストーリーやエンディングはありませんが、EVEonlineにストーリー性が全くないわけではありません。ミッション、特に連続物のミッションにはストーリー性があるものもありますし、アイテム説明などの細かいところにストーリーを感じさせる部分もあります。そういう細かいストーリーを拾うのが好きな人にはたまらないゲームになるかも知れません。また、プレイヤー同士の関係で生まれるストーリーがEVEonlineの世界を動かしている部分は決して小さくないので、ストーリーは楽しむ物ではなく自分で作るもの、銀河の歴史に新たな1ページを加えたいと思っている人にとっては大変やりがいのあるゲームになるでしょう。

ということで、既存のストーリーを楽しみたい人にはあまり向きませんが、自分でストーリーを発掘したり自分で作ったりしたい人にとっては楽しめるかも知れないのがEVEonlineだと思います。


以上、若干強引な部分もありますが、日本人にEVEonlineを勧めない理由を8つ挙げてみました。内容については賛否両論あると思いますが、EVEonline未経験の方に興味を持っていただいたり、既存プレイヤーの皆様にEVEonlineへの理解を深めていただく一助になれば幸いです。


最後に本記事を執筆しようと考えた理由について触れておきます。中断を挟みつつ数年間EVEonlineをプレイしてきましたが、このゲームは新規プレイヤーの脱落率が非常に高いと思っています。というのも、すぐに名前を見なくなった新規プレイヤーが覚え切れないくらい大量にいるからです。大抵は本文で触れた学習曲線の壁を登れなかったパターンですが、そもそもこのゲームに向いていない方も結構いたのではないかと思います。

学習曲線の問題は努力してもらうしかないのですが、このゲームに向いていない方がプレイをして時間などを無駄にするのは不幸なことですので、そういう方に思いとどまっていただきたい、そういう思いで本記事の構想を立てました。どんなゲームでも新規プレイヤーは大切にしなければいけませんし、脱落率の高いEVEonlineではなおのこと大切にしなければいけません。ですが、そもそも向いていない人にプレイをさせるのは人間として問題があるのではないか、筆者はそう考えています。

本記事をお読みになったEVEonline未経験の皆様がどうされるのかは、皆様個人個人にお任せします。自分に向いていると思ったらプレイしてみるのがいいでしょう。向いてないと思ったらプレイしない選択もあり得ます。本文が挑発的だから自分がやれるところを見せてやりたいと思った方、大歓迎です。

もし本記事を読んでEVEonlineをプレイしようと考えてる方がいらっしゃいましたら、既存プレイヤーが作った「招待リンク」からEVEonlineのアカウントを作ると、若干特典がもらえるので少し有利に始められます。招待リンクからアカウントを作っても個人情報がリンク作成者に通知されることはないので安心してください。なお、本記事には招待リンクはありません。他コーポ様のEVEonline紹介記事にはもれなくあると思いますので、そちらをご利用下さい。


EVEonlineの世界が提供する自由は、もう皆さんの目の前にあります。縁がございましたら、EVEonlineの世界でお会いしましょう。




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EULAで倫理的に問題がある一部の行動は規制され、ボランティアを謳ったりする行為や特定の画像捏造などは禁止されています。