2021年4月12日月曜日

翻訳こぼれ話: 英語は前から訳すか?後ろから訳すか?

 

前書き

EVE Onlineの世界は広い。それは長年に渡る有志の翻訳活動や、公式の日本語対応が復活した現在もなお、EVE Onlineに関する未翻訳の情報は公式・非公式問わず膨大に残されていることからも、いかにNew Edenの宇宙が広大であるか、うかがい知ることができる。普段ならここでEVE Onlineに関する未翻訳文書を日本語で紹介する記事を投稿するところだが、今回はちょっとだけ脇道に逸れた話をしたい。

改めて自己紹介させていただくと、自分は渋丸や4bumar Sarainの名前で活動する一般的なカプセラの一人で、ONCBNに所属する傍ら、コーポのブログからいくつか翻訳記事を発表している。特段、言語学や英文学を専攻しているわけではないため、これから話す翻訳についての話題は、何かしらの学術的な後ろ盾があるわけではない点に留意していただきたい。ちなみにこの原稿を書いている最中、飼っている白文鳥の「黒毛和牛」に右手を不法占拠されたため、以降は左手の人差し指のみを使って原稿を作成する。ちなみに両手が使える状態であれば、ブラインドタッチによる文章作成は余裕で出来ることを強調しておく。

 

1.    英語は「後ろから訳す」のがセオリー

まず最初に、今回のタイトルで提示した命題を改めて確認しておきたい。今回の話題は「英語は前から訳すか?後ろから訳すか?」という問題についてだが、日頃あまり翻訳を経験したことがない方にとっては一体何を問題にされているんだか内容が掴みにくいかもしれない。

例として、「This is a missile.」という見慣れた英文に対して翻訳を試みてみよう。

まず単語単位で日本語に直してみると「これ は ひとつ ミサイル。」という一対一対応で日本語化される。日本語では「a」のような冠詞を重要視しないことから、日本語として自然な形に手直しすると「これはミサイルです。」という訳文が完成する。この例文だけを取り上げるなら、英文中の語順はほぼそのまま日本語の語順と一致しているため、「英語は前から訳す」形になっていると言える。

ところが英語は、何もこういった素直な形の文章ばかりではなく、むしろ前から素直に訳せる例は非常に少ない。

例えば英語は関係代名詞によって文章の内容を充実させることが非常に多いが、先ほどの例に対してさらに関係代名詞を使って拡張すると「This is a Scourge Fury Heavy Missile which I luckily got from that ship wreck.」などの例文が用意される。

ここで首をもたげるのが、「英語を前から訳すか?後ろから訳すか?」という問題である。「which」以下の文は「Scourge Fury Heavy Missile」を修飾させる形でかかっており、「Scourge Fury Heavy Missile」について、より詳細な情報を説明する内容になっている。

ここで「後ろから訳す」という方針が取る翻訳の行動というのは、「which」以下の補足説明をすべて「Scourge Fury Heavy Missile」の前に持ってくることで、関係代名詞を使う前の状態に復元した後、英文を訳すことを意味する。

今回の場合、「これは私が運良くあの船の残骸から拾ってきたスコージ・フューリー・ヘビーミサイルです。」という訳文が完成する。恐らくミサイルを拾った人は運良く船の残骸を見つけたのではなく、運良く屠りやすいドレイクなどの獲物を見つけて始末したのだろう。宇宙で船が勝手に爆発して残骸になることはあり得ない。

ここで注意したいのは、「後ろから訳す」とは言っても、決して文章の最後の単語から順番に訳すわけではない。

では、なぜ「後ろから訳す」必要が生じるのか?大きく理由は2つあると思うのだが、端的に言ってしまえば、日本語には「名詞にかかる修飾内容が肥大化してしまったときの対処方法」が基本的に存在しないからだと言えるのではないだろうか。専門じゃないためこの点はあまり断言できないが、一応それなりの根拠はある。

英語というのは名詞をかなり重要視する言語のため、文章の内容を充実させようとすると名詞にかかる修飾が無限に肥大化して頭が重くなってしまうようになっている。しかし、いくら英語にとっても、あまり名詞にかかる修飾が肥大化しすぎるとかえって文章全体の構図が分かりにくくなるため、文法的な決まり事の下に肥大化した修飾内容を後ろに下げるという操作がよく行われる。形式主語「It」は英語で頻繁に使われる文法だが、これは肥大化した主語を後ろに下げる代表的な方法だと言える。

ところが日本語は、名詞にそこまで大量の修飾を背負わせることはない。日本語は、「名詞にかかる修飾内容が肥大化しすぎて困った」といった悩みを感じることはない。日本語には英語のつらさが分からない。そして必要に迫られないところに言語は発展しない。日本語には、基本的に「名詞にかかる修飾内容が肥大化しすぎたときの対処方法」を使うのはメジャーではない。

もちろん、無いなら無いなりにそれなりの方法は有るには有る。それが「前から訳す」という翻訳手法が取る行動になる。

例えば先ほどドレイクを撃墜させた人の例文の場合、「前から訳す」ことを試みるというのは、「一定の決まり事の下に名詞にかかる修飾内容を後ろに下げる」という原文の文章構造をそのまま踏襲して訳すことになる。すると「これはスコージ・フューリー・ヘビーミサイルだが、このミサイルは私が運良くあの船の残骸から拾ってきたものだ。」という訳文が完成する。

一見すると、「後ろから訳す」訳文と「前から訳す」訳文は、同じ内容になっているように見えるかもしれない。しかしこの2つの文を比較するとき、もうひとつの問題が首をもたげることになる。それは、英語は「先頭重視」の言語で、日本語は「後方重視」の言語だという問題だ。

 

2.    英語は「先頭重視」、日本語は「後方重視」

文章というのは、言葉を並べる順番を入れ替えることで、読み手が文章から受ける印象や文章全体が持つ意味合いを変えることができる。その変化はごくわずかである場合もあれば、致命的な差異になるパターンもあるため、語順の問題は簡単なように見えて実は根が深い。

例えば次の2つの例文を見てみよう。「私は昨晩タイタンを墜とした。」という文と、「昨晩タイタンを墜としたのは私だ。」という文は、文章から受ける印象が明確に違うと感じる方は多いのではないだろうか。最初の例文は、恐らく暗い顔をしてがっくりとうなだれているところを、心配したコーポのメンバーから理由を尋ねられて、ようやく重たい口を開いたのだろう。次の例文は、恐らくヌルのローカルチャットで、昨晩タイタンを堕とした間抜けがいるらしいと笑っている奴がいるのを見つけてしまい、ブチ切れて思わず切り出してしまったのだろう。

なぜこの2つの例文は、文章から受ける印象が違うのか?それは、日本語が「後方重視」の言語だからという理由が大きい。と説明しても、言語学に詳しい人からは怒られないと思う。

日本語は基本的に、文章の後半や終わりにかけて最も重要な情報が開示される言語だ。そして先ほどの2つの例文は、それぞれ重要とされる位置に来ている言葉が違っている。

最初の例文の場合、「タイタンを堕とした」という情報が後半に置かれている。つまり、この文章は「タイタンを堕とした」という情報を強調している構造になっており、この人物がなぜこれほど暗い顔をしているのかという謎に対する答えとなっている。

一方、二番目の例文の場合、後半に置かれているのは「私だ」という情報について。「昨晩タイタンを堕とした間抜けがいるらしい」という陰口を本人の目の前で叩くという大間抜けに対して張り手をお見舞いするのだから、やはり強調すべき情報は「私だ」以外にはないだろう。

このように日本語は「後方重視」の傾向があるため、文章の後半に置かれた情報ほど内容は重要だということになる。一方、英語は「先頭重視」の傾向があり、日本語とは逆に文章の先頭で真っ先に開示される情報が最も重要な内容になってくる。

ではなぜ、「前から訳すか?後ろから訳すか?」という問題が「先頭重視・後方重視」と関わってくるのか。それは「前から訳す」ことで誕生した訳文と「後ろから訳す」ことで完成した訳文の違いは、まさにこの「先頭重視・後方重視」の評価基準に照らされることで良し悪しの裁定が下されるからだ。

ここで先に正解を言ってしまうと、一般的により良い訳文として軍配が上がるのは「後ろから訳す」方式だ。何故なら裏の裏は表に他ならない。英語が後ろに下げた情報を前に出して訳す「後ろから訳す」方式は、英語にとって重要度が低いとされる後方にある情報を前方に押し出して日本語化するため、「先頭重視・後方重視」が英語とは反対の世界の日本語にとってはまさしく適切な語順になるからだ。

非常に長い論証となったが、「英語は後ろから訳すのがセオリー」と言われるのは、こうした「裏の裏は表」理論が事由になっている。

 

3.「後ろの単語から訳す」ことを試みる勢力もある

ここで少し話題が脇道に逸れるが、「後ろから訳す」という手法を解説するときに「決して後ろの単語から順番に訳すわけではない」と説明したのを覚えているだろうか。もちろん、後ろの単語から順番に訳すのは完全に誤訳の源であり、訳し方としてはどんな温厚な審判であってもレッドカードを贈呈するのを惜しまないくらいにはあからさまにアウトだ。

しかし世の中には、「後ろの単語から訳す」というタブーをあえて試みる勢力もある。「後ろの単語から訳す」なんて言い方は小綺麗すぎるくらいで、実際にはスパゲッティをマッシュポテトみたくぐちゃぐちゃにすりつぶして食べるような訳し方をしている。イタリア人が見たら卒倒してしまうだろう。

そんな汚すぎる訳し方をしているのが、最近「精度がいい」と話題の人工知能だ。実は人工知能が行っている翻訳というのは、まず英文を単語単位で日本語化し、ありとあらゆる語順に並べ替えて訳文を作ってみるという総当たり方式。そして出来上がった無数の訳文について評価を行い、誤訳と判定された訳文については「今後同じような語順で訳さない」と覚え、適切と判定された訳文については「今後同じような語順で訳してみる」と覚える。もちろん、機械翻訳の登場初期は「エキサイト翻訳」の悪名でよく知られるところであり、とても人間が考えつかないような珍解答の誤訳が非常に手軽に爆誕したものだったが、現在は安定した精度で英文を日本語化できる人工知能が数多く登場している。ただしエキサイト翻訳の芸風は現在も健在な模様。

実際にGoogle翻訳などの機械翻訳を使ってみたことがある人なら実感したことがあると思うのだが、こうした機械翻訳は複雑な関係代名詞や修飾関係を極めて高い精度で翻訳できるのが大きな特徴だ。それこそ、原文では7行半に渡る複雑な文法構造になっている長文を訳すときなどは、人の手で翻訳する場合、文の後半を読んでいる途中で前半の内容を覚えきれなくなるため、「後ろから訳す」方式の翻訳をするときは非常に手強い相手となるが、機械翻訳なら「読んでる途中で内容を忘れる」などという人間臭い苦労はない。どれほど文法的な修飾関係が複雑であろうとも、正しい文法を使って書かれた英文なら極めて高い精度で日本語へと翻訳することができる。

この手の機械翻訳の話をすると、後に続く話題というのは決まり文句のように「しかしだよ君、機械翻訳は所詮、機械が人間の真似事をしているに過ぎないわけで、優れた翻訳者が生み出すような洗練された意訳は出来ないわけだ」という機械批判が始まるのが定石だが、今回はそれほどオーソドックスで王道な話をするわけではない。ここで是非とも、さらに脇道に逸れた話へと進んでいこうと思う。

 

4. 機械翻訳にとって弁慶の泣き所は「裏の裏が裏」パターンにある

先ほど「機械翻訳は複雑な文法構造を極めて正確に翻訳することができる」という話をしたばかりだが、実は機械翻訳の弱点は、その正確性の高さにあると言ってもいい。ここで例えば、機械翻訳には「意訳」をつくるとか「名訳」を生み出すといった機転の利いたことは出来ないといった話をくだくだと始めて、人間様を一生懸命持ち上げるような弁明をしなくても、そもそも機械翻訳には構造的な欠陥があるのだ。

これまでの話の中で、「後ろから訳す」方式は「先頭重視・後方重視」が逆転した日本語へ訳す際に「裏の裏は表」という道を経て訳文が作れるため、「裏の裏は表」理論で、結局、原文に即した内容の翻訳ができるという話をした。だからこそ、「後ろから訳す」方式は翻訳のセオリーだと説明した。ところが「セオリー」があるところに「意外な展開」は付きもので、「定石」があるところに「奇手」や「からめ手」は必ず存在する。

 

そう、世の中にはあるわけだ。

「裏の裏が裏」パターンというのが。

 

これはもう実例を見て頂いた方が話は早いと思うので、実際に遭遇した「裏の裏が裏」パターンをここで紹介したいと思う。

For a better visualization data points are connected with a line which is not indicating any other calculated data.

これを「後ろから訳す」方式で訳すとすると、「より良い可視化のために、データポイントは他の計算されたデータを示さない実線で結びました。」という訳文が完成する。こうして、一体何の話をしているのかさっぱり意味が分からない日本語がここに誕生する。ちなみに、高い翻訳精度で有名のGoogle翻訳を噛ませた場合も、これとほぼ同様の訳文が完成する。

なおここで、この文章が一体どんな話をしているのか解説すると、まずこの文章はとあるデータを統計的に分析した結果を解説する目的で書かれている。背景となる統計解析には、グラフに打たれたデータポイントを実線で結ぶ方法にいくつか種類があり、数学的な計算によって導き出される近似直線のようなものもあるのだが、この実線に関しては一切そういった計算処理の手を加えていないという話をしている。

恐らく多くの人は、小学生の頃に理科の時間にあさがおの成長記録をつけたと思うが、日付ごとに記録したあさがおの身長について「一番近い直線を引いてみよう」と先生に言われ、苦心しながら定規で直線を引いたのを覚えているだろうか。子供心に「グラフがガタガタすぎて、どの直線が一番いい直線になるんだか分かりゃしねえや」と理不尽に思ったり、クラスメイトが太いえんぴつを使って線を引けばすべての点が直線上に乗ることに気付いたのを見て自分もそれを真似したり、さまざまな思い出があるだろう。

実は小学生の頃に先生が教えてくれなかったことだが、この直線の引き方には数学的なうまい方法があって、一定の計算処理をすれば「すべてのデータポイントに対してなるべく近い」位置にくる最良の近似直線が一本に決まるのだ。大人はずるい。

こうした回帰直線などの近似直線であれば、見ただけですぐ「何かしらの計算処理を行った実線を引いたんだな」と分かるところだが、統計解析手法の中には、一見しただけでは一体どのような計算処理を行ったのか分かりにくい実線の結び方もある。それこそ、データの性質にもよるが、単にデータポイントを直線で結んだだけのように見える実線が、実は何かしらの統計手法によって計算処理を行った後に引かれた、補正後の線であることもある。ただし、今回はその手のものではない。原文は、そういった統計分析の背景に対する断り書きをしたいのだ。

実はここで、「先頭重視・後方重視」が反転した世界であるはずの英語と日本語が、奇妙な一致を見せる。両者とも「ただし書き」は後方に据えたいと考えているのだ。

今回の場合、「which is not indicating any other calculated data」という箇所が「ただし書き」の内容になる。先ほど説明したように、統計解析にはデータポイントを線で結ぶ際に一定の計算処理を行うこともあるが、今回はいかなる計算処理も行っていないという「ただし書き」をする内容になっている。英語も日本語も、こういった「ただし書き」は是非とも最後尾に据えたいという意見で一致している。

今回の場合、「ただし書き」を最後尾に置いたままで「後ろから訳す」ことを試みると、何一つ「後ろから訳す」ことがなくなるのがお分かり頂けるだろう。順番に「前から訳す」だけでいいパターンだというわけだ。訳例として、「より良い可視化のためにデータポイント同士は実線で結んだが、この線はデータに対する何かしらの計算結果を示すものではありません。」という翻訳ができると思う。

ではなぜ、こうした「裏の裏が裏」パターンは機械翻訳にとって「弁慶の泣き所」と言えるのか?それは「裏の裏が裏」パターンは、文章の内容を理解しなければ見抜けないパターンだからだ。

先ほど説明したように、機械翻訳はランダムに語順を入れ替えて作成した無数の訳文に対する正誤判定を学習することで、より正確な翻訳を目指している。つまり、機械翻訳は原文を理解しないまま翻訳を行っていると言っても過言ではない。原文を理解していないから、「意味」や「内容」から判断して翻訳手法を使い分けるということは出来ない。そういった判断は、設計上不可能だということになる。

先ほど紹介した「裏の裏が裏」パターンは、英語も日本語も「ただし書き」については是非とも最後尾に据えたいという点で両者の思惑が合致してしまったために起きた現象だが、目の前に現れた関係代名詞が「ただし書き」の関係代名詞だと気付くためには、原文の内容を十分理解していることが絶対に避けられない条件として立ち塞がってくる。もちろん「ただし書き」の関係代名詞として、カンマを付ける非制限用法の関係代名詞というものが英文法には備わっているが、取り立ててわざわざ非制限用法を使わなくても「ただし書き」の意味で関係代名詞を使ってしまうことは非常によくある。

だが、世の中には気の早い人が結論を急いたりすることもあるわけで、そういう方は「近い将来、翻訳というのはすべてAIが行うようになって、人間は一切苦労しなくても他言語の文章が読めるようになる」という素晴らしい未来絵図を示したりもする。しかし、翻訳を行う上で原文を十分に理解するというのは絶対に避けられない作業工程だ。先ほど例示したように、「原文の内容を理解した上でないと、どの翻訳手法を使うのが適切か判断できない」というパターンが確実に存在するからだ。そして機械翻訳は「内容を理解しないまま翻訳する」という出発点から走り始めてしまった以上、どれほど学習を重ねたところで「高い精度」の翻訳という水準を超える日は来ない。そして人が翻訳に求める水準というのは、決して「高い精度」ではない。「信頼できる精度」である。

AIがすべての翻訳を担い、翻訳された内容は原文に忠実な内容であると責任を持って保証できるようになるためには、現在AIが進化し続ける延長線上ではなく、まったく別の発想・構築・設計が是非とも必要になる。人工知能の技術水準というのは、もうすでに何かしらの「パラダイムシフト」を必要とする段階にまで来ているが、実は「精度が良い」と話題の機械翻訳の分野ですら、何か天井のようなものが見え始めていると言えるのではないだろうか。

 

5. 「英語は前から訳すか?後ろから訳すか?」の結論

そろそろ右手の中で爆睡していた黒毛が腹をすかせて不機嫌になり始めたので、タイトルで提示した命題に対して一定の結論を導いておきたいと思う。文鳥という生き物は小柄な身体で活発に運動するため、一日に何度も食事を摂る。毛繕いをしたり、昼寝をしたり、現在彼女を募集中であるとさえずったり、飼い主の右手を不法占拠して巣作りしたり、文鳥は大変忙しい生き物だ。

結局、英語は前から訳すか?後ろから訳すか?結論からして言えば、「内容を見て判断するしかない」と言う他ない。ケースバイケースとも言う。状況次第とも言う。高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応するしかない。大人だからな、仕方ない。

ただしこのままでは、せっかくここまで話を進めてきたというのに何かしら断言できるような快刀乱麻な結論もなく話が空中霧散してしまった感じもあるし、翻訳について少しでも有益な知識が得られるのではと期待して読み進めてきた方にとっては肩透かしどころではないかもしれない。まあ、「翻訳に方程式は存在しない」と言ってしまえばそこまでだが、翻訳に方程式は存在しないからこそ、正解はないとも言えるが、不正解もまたないと言える。過去には、優れた翻訳者による非常に痛快な「誤訳」というものもあり、見ていて非常に勇気づけられる先例があるので、ここで紹介しておく。

映画ファンの間でお馴染みのキューブリック監督といえば、「時計仕掛けのオレンジ」「フルメタルジャケット」「シャイニング」「2001年宇宙の旅」を代表作に挙げる人も多いが、「博士の異常な愛情」もまた彼が手掛けた映画の中でも映画史に残る傑作である。ちなみに日曜の顔でお馴染みの大喜利番組「笑点」は、2001年の番組企画で「座布団10枚獲得した方に『2001年宇宙の旅』を差し上げます」と公言し、見事、座布団10枚を達成した三遊亭小遊三師匠に対しては公約通り「2001円府中の足袋」が贈呈されたという歴史がある。

キューブリック監督は、自分の映画が他言語へ翻訳される際に非常に口出しすることでも知られており、特にタイトルに関しては、原題とかけ離れた訳を当てることを決して許さなかった。ちなみに「時計仕掛けのオレンジ」「フルメタルジャケット」「シャイニング」「2001年宇宙の旅」の原題はそれぞれ「A Clockwork Orange」「Full Metal Jacket」「The Shining」「2001: A Space Odyssey」と、極めて原題に即した邦題が付けられていることが分かる。

さてここで問題になるのが、「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」だ。

この映画の原題は「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb」。一目見ただけで分かる通り、邦題の「博士の異常な愛情」にあたる部分は、本来であれば「ストレンジラヴ博士」と訳されるべきところ。原題は、サザエさんやドラえもんと同じように、主人公の名前がタイトルにドーンと打ち出されている系のタイトルだったわけだ。

この誤訳はいかにしてキューブリック監督の目をすり抜けたかというと、「Dr. Strangelove」を単語単位に分割して日本語化し「博士 異常な 愛情」といった具合にバラバラに翻訳したら、接続部分をちょいちょいと手直ししてそのまま邦題としたのだ。「英語は後ろから訳すのがセオリー」だとか「先頭重視・後方重視」といったことを一切無視した、まごうことなき誤訳でありながら、「創意工夫を凝らしたタイトルを付けることを一切認めない」という偏屈屋のキューブリック監督の目をうまく盗んでゴーサインを頂戴することに成功した、創意工夫あふれる誤訳だと言える。口に出して読み上げてみると「異常な愛情」とリズミカルに韻を踏んでいるのも小気味いい上に、とんでもない誤訳でありながら映画の内容に即したタイトルであることに変わりないというきれいな着地を見せているのも奇跡的だと言えるのではないだろうか。この邦題を手掛けた人物は、こっそりキューブリック監督に向けて舌を出していたに違いないと、その姿が目に浮かぶような素晴らしい誤訳である。

翻訳というと、どうしても「原文に忠実な訳文以外は認められない」といった堅苦しい世界なのではと想像する人も多いかもしれないが、実は先に挙げた例のように、「法の隙間」が確実に存在するのが翻訳だったりもする。さすがに「博士の異常な愛情」級に突拍子もないとんでも誤訳を連発されるのは困ってしまうが、それでも翻訳には、少なからず自由な領域がどこかに必ず残されている。下手に自由が残されているもんだからかえって苦労することもあるし、こうしたわずかな自由にこそ翻訳の醍醐味が詰まっていたりもする。

黒毛が本格的にひもじいと暴れはじめたので、本日はこれにてお開き。

 

 

 

2021年4月6日火曜日

出張!ONCBN従軍記 #16 パンダ・タイタンの無謀な突進

WWB2は最終局面だ。ほぼ完全にデルヴを制圧したPAPIことLegacyとPandafam連合軍はすさまじい勢いでデルヴ中のストラクチャを破壊しまくっており、すでにGoonswarm側はそれを防ぐ気もない。そしてその裏ではキャッチ、インパスなどを始めとしたTEST関連の領土が反TEST勢力によって荒らされ続けており、混沌とするクエリアス(あるいはエソテリアやパラゴンソウル)に彼らがなだれ込んでくることでTESTがキャパオーバーするのが先か、最後にして究極の砦たる1DQが陥落するのが先か、というデッドヒートだ。もちろん1DQが陥落したところでTEST領の壊滅は避けられず、その時がきたらPandafamたちも手のひらを返してLegacy領を踏み荒らして帰っていくだろう。どう転んでも破滅!それはそれとしてGoonswarmは叩き潰したい!あらゆる思惑が渦巻く中、次は5つのキープスターと20を超えるフォータイザーが並ぶ要塞でお会いしましょう!


さて、そんなこんなで武器の手入れを欠かさずにいたImperiumがにわかに騒がしくなった。勘が良いプレイヤーたちは大量のワープ妨害型駆逐艦が集められたことで何が起きたかを瞬時に察し、我先に艦隊へと入って出撃した。この手の状況が示すシーンは実はたった1つしかない。そう「お間抜けなSuper Capitalが捕まった」のだ。


ビンゴだ。ジャンプアウトした先には今まさに攻撃を受けようとしているキープスターと、ゼロ距離でもがくFRTのアバター級タイタンの姿があった。キープスターのシールドを削るために出撃したタイタン・大型空母の混成艦隊と大量の戦闘機、味方の小型艦が入り乱れている。そこから何かの間違いでワープして捕まったのであろう。はっきり言って、いい獲物ではない・・・。主力艦を展開すれば戦闘機の餌食。相次ぐエスカレーションにImperium側はまず耐えきれず、1隻のタイタンキルと引き換えに注ぎ込んだ全ての艦を失うだろう。しかもメンテの強制シャットダウン時間が迫っており、そもそも十分な艦隊を集めてぶつけることが可能かどうかも微妙なところだった。

PAPI側もその優位性は十分に理解している。FAX・・・軍事力補強母艦という支援型の主力艦を突っ込ませ、タイタンをリペアして攻撃に耐える。ダウンタイムまで耐えきれば「再ログインさせない」だけで逃げ切れるのだから。それで吹っ飛ぶFAX乗りや消費される戦闘機はたまらないだろうが、お互いにやるしかない。

そんな中で出撃して現着したImperium側のステルスボンバー艦隊は、どう見ても決死隊だった。FRTのムニン艦隊と戦闘機の狙撃に晒されて次々と落ちていく味方を見ながら、FAX、サイノ艦、ロジ艦、インターディクションプローブを除外するために突っ込んでくるスマボ艦をジリジリと削って行く。圧倒的に火力が不足しているが、回復しきられるよりはいい。


いよいよサーバーメンテナンスのカウントダウンが始まったその時、キープスターに搭載されたドゥームズデイ兵装、スタンドアップ弧型ヴォートンプロジェクターが火を噴いた。何隻かの運の悪い味方を巻き添えにして数隻の軍事力補強母艦が文字通り一撃で蒸発する。アーマーを半分まで削られたアバター級タイタンを撃沈するための詰めの一手。サーバーがダウンする瞬間、ギリギリのタイミングでキープスター上にジャンプアウトしたImperium側のタイタンが一斉にドゥームズデイを放った。



誰だよランス撃ってるやつ。悔い改めろ。


残念ながら、火力は全然足りなかったらしい。メンテナンスが明けた後、大量の残骸の中にタイタンの物はなかった・・・。あと数隻いればこの最後の一手で吹き飛ばして意気揚々だったのだが、メインの戦場がEU側のタイムゾーンに移っていて油断していたAUタイムゾーンのメンツでは、この急な出撃に対応できなかったのであった。

その後、PAPI側のキープスターの攻略は何事もなかったかのように再開され、Goonswarmはまた微睡の時間へと戻っていくのであった。

2021年4月2日金曜日

EVE Onlineにおける対人戦アクティビティに関与するアクティブな参加組織に関する分析

(原文: https://www.reddit.com/r/Eve/comments/m9g35x/analysis_of_the_active_participants_involved_in/)


EVE Onlineにおける対人戦アクティビティに関与するアクティブな参加組織に関する分析

(Analysis of the active participants involved in player vs player activities in Eve Online)

 


筆者:Normann Tivianne

査読者:Aneu Angellus

 

概要

今回の分析では、現在EVE Onlineで進行中の戦争に関わるそれぞれの組織について、PvP(Player vs Player: 対人戦)に参加するアクティブプレイヤー数の調査を行った。調査にあたって、2020年初めから20213月までのアクティブ数をそれぞれの組織ごとに集計し、分析を行った。データの収集方法、分析手法については本文中で詳しく解説する。分析からは、EVE Onlineの全体的なPvPアクティビティは戦争の影響を受けていないことが示された。さらに、各組織のPvP活動は、コアリションレベルで見てもアライアンスレベルで見ても、低下していないことが判明した。

 

1. 導入

プレイヤー対プレイヤー(PvP)コンテンツに参加する人数は、PvP主導のゲームコミュニティにおいてはゲーム全体の体力を示す指標として見ることができる。このことは、宇宙を舞台にした不変的世界に膨大な人々が参加するマルチプレイヤーオンラインロールプレイングゲーム「EVE Online」にも当てはまる。今回は、ゲーム内で起きた最近の事件がどのようにPvPアクティビティに影響したか示す。また、アクティビティ数はプロパガンダにも使用されているが[1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12]、これらの内容には誤りが含まれることを示す。202075日の時点で、多くのプレイヤーがWorld War Bee(WWB)と呼ばれる戦争に参加している。この戦争は、PAPIあるいはBlue Donut Coalitionという名の連合がImperiumを攻撃する対立構造となっている。注意すべき点として、筆者はImperiumの一員である。今回の記事で取り扱う情報はすべて真実であり、確実な情報源から得たデータを元に分析を行うよう徹底した。

 

2. データの収集方法

2.1 仮定と定義

今回の分析にあたって、いくつかの仮定と定義を用いた。集計を行ったのは、アクティブなPvPプレイヤーに限定した。「アクティブなPvPプレイヤー(active PvP players)」とは、キルメールの関係者(involved party)として名前が挙がるプレイヤーのことと定義される。キルされる側のプレイヤーかつ、キルメールの関係者として一切名前の挙がらないプレイヤーは「アクティブ」とカウントしなかった。「プレイヤー(player)」とは、キルメールに名前の挙がるすべての関連人物のことを指す。多くのEVE Onlineのプレイヤーは複数のアカウントを所持し、同時に複数のアカウントを操作している[14]。これらのアカウントはそれぞれ1人のプレイヤーとしてカウントした。

 

2.2 データの情報源

今回の調査で使用したデータは、すべて公開情報となっている。データの収集には、2つの段階がある。最初にzKillboard. comAPIから、公開されているすべてのキルメールの識別子をダウンロードした。APIのエンドポイントには、zKillboardに掲載されているすべてのキルメール履歴へのアクセスを可能にするダンプ機能も提供されている。https://zkillboard.com/api/history/{date}.jsonを使うことで、dateで指定した日付のデータを取得することができる。ここでdateは「YYYYMMDD」形式で日付を指定する。日付ごとのデータの取得は、202016日から2021314日までのすべての日付で行った。上記期間について、合計7878197件のキルメールが収集された。すべてのキルメールIDが昇順で生成されると仮定すると、同期間で発生したEVE Onlineのすべてのキルメールの内、73.56%zKillboardから収集された計算になる。次に、EVE OnlineAPIに対しては、zKillboardから取得されたキルメールIDとキルメールハッシュを使用してアクセスを行った。このことは、次のAPIエンドポイントを使用することで取得される: https://esi.evetech.net/latest/killmails/{killmail_id}/{killmail_hash}/。取得したすべてのデータは、今後の分析処理のためにMySQLデータベースに保存した。必要であれば、データベースの内容は提供可能である。

 

2.3 データの可視化と統計分析手法

図で示されるデータは、すべて上記手順によって取得されたものである。複数の分析方法について評価を行い、最終的に日付ごとのデータを週単位でグループ化する形式を採用した。すべてのグラフは横軸を日付とし、縦軸はその期間のユニークなアクティブプレイヤー数を示している。週の初めの日は月曜日として区切った。データポイントは1週間の合計人数を示しているが、データポイントは週の最初の日に打った。より良い可視化のために、データポイントは他のデータポイントと実線で結んだが、この線は何かしらの計算結果を示すものではない。週から週ごとの推移だけを元にしてアクティビティの変化を分析するのは統計的に誤りであり、今回の記事では取り扱わないものとする。また筆者は、こうした分析を行う際に、適切な訓練を受けた人物に委託することを推奨する。すべての数値は、EVE Onlineのすべてのリージョンを合計した値に基づいている。ここに掲載されるすべての情報は、フリートへの参加人数を示すものではない。

 

2.4 コアリションの参加組織

参加組織(participants)の全体像をより良く理解するために、5つの主要なコアリションごとにアクティビティに関するデータを示す。次の表1と表2に、戦争に関与するすべてのコアリションについて、それぞれの主要な参加組織を示した。この情報は[13]に基づいた内容を、筆者が更新したものである。Red AllianceSiberian Squad、およびMIDAS 22のアライアンスは戦争中に陣営を切り替えたため、今回の戦争においてはどのコアリションに参加しているともカウントしなかった。

 


3. 分析結果と議論

3.1 EVE Online全体のPvPアクティビティ

1に、EVE Onlineをプレイするすべてのプレイヤーについて、全体的なPvPアクティビティを示した。図に示されるように、戦争の開始前後で全体的なアクティビティに特筆すべき変化は見られなかった。アクティビティに低下が見られたのは202012月の期間であったが、この時期はホリデーシーズンであり、また戦争に関与するほとんどのコアリションはクリスマス休戦を発表した時期でもあった[15]20203月から5月にかけてアクティビティが活発になる時期が見られる。この時期はCovid-19パンデミックによる最初のロックダウンが実施された時期と重なる。

 

図1. EVE Onlineのすべてのプレイヤーに関する全体的なPVPアクティビティ



3.2 
コアリションごとのアクティビティ

主要なコアリションごとのアクティブプレイヤー数を図2に示した。戦争に関与する組織の内、4つの主要な参加組織について主要な戦闘が勃発するとともにアクティビティの急増が見られた。ImperiumPanfamLegacyにおいて、戦争開始直後のアクティビティの急増は顕著である。また、これら3つの組織は戦争が始まる前の時期にアクティビティが非常に低いことも注目すべき点である。アクティビティの二度目の急増は、FWST-8のシステムに位置するPAPIのキープスターを巡って勃発した最初の戦闘の時期と合致する。この戦闘では、FWST-8や他のシステムのキープスターに対してキルメールは生成されなかったため、戦闘からカウントされるImperium側のプレイヤー数は実際よりも少ない点に注意したい。三度目のスパイクは、2020年から2021年にかけての新年頃に見られた。今度はM2-XFEのキープスターを巡る戦闘である。この時期、Imperiumのアクティブ数は過去最高に達した。PanfamLegacyWinterでも上昇傾向が見られたが、Fireに変化は見られなかった。この戦いは、EVE Online史上最大のタイタン同士の衝突[16]として知られており、また二度目のストラクチャータイマーの間にサーバーが不安定になった時期でもあった[17]Fireの活動に上昇が見られないことからも、この戦闘にキャピタル艦はあまり参加しなかったことが分かる。キャピタル艦は特殊な役割を担っており、使用される状況は限定されている。注意すべき点として、二度目のストラクチャータイマーではほとんどのPAPIプレイヤーが戦闘に参加できず、アクティブプレイヤーとして計上されていない。同様に、多くのImperiumのプレイヤーもまたアクティブプレイヤーとして計上されていない。続く数週間のデータを元に、M2-XFEのキープスターが陥落た影響について議論することはできるが、現段階のデータでは決定的な結論を導くことはできない。

 

図2. コアリションごとのアクティビティ



3.3 
主要なアライアンスごとのアクティビティ

3は、主要なアライアンスごとに分類したアクティビティ数である。Imperiumの大多数のプレイヤーはGoonswarm Federation (GSF)というアライアンスに所属しているため、GSFのアクティビティはImperium全体のアクティビティと密接に関連している。図2との唯一の相違点は、Imperium内で2番目に大きなアライアンスであるInitiativeの活動において、戦争の開始時に1353人のアクティブプレイヤーを輩出する大きな貢献を見せた点である。彼らはFountainリージョンを失地後、4つのコーポレーションがGoonswarm Federationに移籍した[18]。その後、Initiativeの全体的なアクティビティに大きな変化は見られなかった。他のすべてのアライアンスについては、全体的なアクティビティに大きな変化は見られなかった。注目すべき点として、すでに言及したクリスマス休戦の時期と、M2-XFEの最初の闘いが始まった時期、Goonswarm Federationのアクティビティには大きな増加が見られた。GSFはこの2週間で90%増のアクティブプレイヤーを獲得し、過去最高の4633人のアクティブプレイヤーを計上した。アクティビティの増加と史上最高のプレイヤー参加人数を達成した理由は、スーパークラスとタイタンクラスの船を使用できる状況だったことが大きい。すべてのPAPIアライアンスは、ストラクチャーの包囲中にこれらの船を使用することができていた。その一方で、Goonswarm Federationと他のImperiumのメンバーは同型艦を使用することができなかったため、こうした船を扱うプレイヤーはキルメールに計上されなかったという背景がある。

 

図3. 主要アライアンスごとのアクティビティ


4. 結論

キルメールに基づくアクティビティ数の計上は、スーパークラスとタイタンクラスの船を使用する組織にとって有益であると結論付けることができる。Imperiumがキャピタル艦を使用できない状況にあるとき、Imperiumに対するPAPI武装勢力のアクティブ数の優勢は相当なものであった。繰り返しになるが、すべての数値はEVE Onlineのすべての地域を合計した値であることを強調しておく。世論に反して、戦争に関与するいかなるコアリションについてもアクティビティ数に減少は見られなかった。また、戦争中にEVE Online全体のPvPアクティビティが減少することもなかった。過去4週間では、Pandemic HordeTEST、そしてNorthern Coalitionについてアクティビティが上昇する兆候が見られたが、BravePvPアクティビティに増加は見られなかった。このことは、Braveというアライアンスにスーパークラスやタイタンクラスの船が不足していることだけで完全に説明されるものではない。この問題に関するより深い分析は、今後の課題である。

 

 参考文献

[1] NedFlanders900, 32 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 13.03.2021

[2] NedFlanders900, 30 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 27.02.2021

[3] NedFlanders900, 21 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 26.12.2020

[4] NedFlanders900, 18 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 04.12.2020

[5] NedFlanders900, 16 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 20.11.2020

[6] NedFlanders900, 14 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 06.11.2020

[7] NedFlanders900, ”Their numbers continue to drop, ours are steady!” - The Martini, Reddit, 31.10.2020

[8] NedFlanders900, 12 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 23.10.2020

[9] NedFlanders900, 10 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 10.10.2020

[10] NedFlanders900, 12 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 24.09.2020

[11] NedFlanders900, 6 weeks of war - The big Six Zkill activity numbers, Reddit, 10.09.2020

[12] NedFlanders900, 4 weeks of war - The big Six (!) Zkill activity numbers, Reddit, 27.08.2020

[13] Chuggi, Rischwa Amatin EVE Coalitions, Website, http://coalitionsin.space/ , 15.03.2021

[14] CCP Quant, At Least We Know How Many Alts There Are, Reddit, 15.03.2021

[15] Gray Doc, Christmas Truces in History, imperium.news, , 22.12.2020

[16] Lee Yancyc, Both Sides Claim Victory In Massive EVE Online Battle, kotaku.com, 01.01.2021

[17] EVE Development Team, The Second Timer in M2-XFE, eveonline.com, 05.01.2021

[18] Dotlan,The Initiative corporations, dotlan.net, 16.03.2021



PDFバージョン: https://puu.sh/HqWN0/49cdd984ca.pdf




(翻訳:渋丸)

2021年3月28日日曜日

出張!ONCBN従軍記 #15 棺桶になったムニンの日々

 2月のアップデートで強襲型巡洋艦から、マイクロワープドライブのシグネチャ半径ペナルティ低減が消えたのを覚えているだろうか?遠距離型のイーグルやケルベロス、防御力に長けたサクリッジなどはともかく、血みどろの格闘戦を旨とするムニンなどは生きる道がないのではないか・・・そう陰で囁かれているこの頃。しかしムニンはいまだに「殴り合い」で使われている。

デルヴ。去年から今年頭まで、世界中の勢力とGoonswarmが属するImperiumの戦場になったこの地は、すでに世間の関心を失っているようだった。クエリアスとピリオド・ベイシスのインフラは全て破壊され、ファウンテンへの接続も絶たれ、Goonswarmは本拠地を含むコンステレーションに押し込められている。周辺ではTEST他による放棄ストラクチャの破壊作業が進んでおり、次の大きな戦闘が仮に起こるとしたらいよいよ本拠地への侵攻となるだろう。しかしそれが起こる確率すら、現在は目減りを続けている。Legacyからの離反勢力や南部の諸アライアンス群による南部侵攻、北部や南東部で生まれる紛争の火種、連合の前にまったく力を失っているImperiumではあるが、泥沼をかき混ぜることのみが生き残る道であると言わんばかりに、ムニン艦隊を各所に派兵していた。



マジ無理ィ!!!

ここはまだデルヴ。本来であればジャンプゲートを駆使して向かうような位置にタイタンからドロップしたムニン艦隊は、入れ違いでゲートを通過した敵ムニン艦隊を反転して追撃、一気に攻勢に出た・・・まではよかったものの、近距離でドローンの撃ち合いになった際に小型艦の差が出た。司令官の指示は自艦20kmオービット。機動性すら失った艦隊は突撃してくる大量の小型艦にいいように切り裂かれた。こちらの攻撃はほとんど通らず、敵からは撃ち放題。いつしか艦隊はひとところに寄り集まっていたが、そうでなかったものは皆撃沈されたようである。

https://zkillboard.com/related/30004766/202103241000/


ひどい目にあった・・・気を取り直して今度はクエリアスを超えてキャッチへと派兵。Legacy系がボコボコにされている裏でPanfam系列のアライアンスが暗躍していたりする混迷に満ちたリージョン。そのSOV戦に介入し、今度はひたすらに攻撃した。


機動戦に長けた司令官は矢継ぎ早にターゲットを指示し、もはやアーティレリのサイクル的に2隻に1隻くらいしか撃てないようなペース。ロジ艦を一掃しリンク艦を壊滅させ、すごいペースで敵艦を食いまくる。残念なことに敵艦隊の方が数が多く、最終的にはI-HUBの前で守勢に入った敵をちまちま削るしかなくなってしまった。何度か仕掛けたが、敵を崩せずに終わってしまった。

https://zkillboard.com/related/30001260/202103241300/


ムニンは足が速くてボレーが強い、良い船なのは確かだが、確かにアプデの後はなんとなく死にやすい。心細さを感じる。とはいえ数が多いときの殴り合いはそんなの関係ないところがあるので、これからも使われていくことだろう。何、簡単なことである。出かける前にお祈りをしっかり済ませておけばいいだけだ。

2021年3月22日月曜日

Drifters(ドリフターズ)に関するストーリー - そして彼らの正体についての考察 その1

 (原文:https://forums.eveonline.com/t/compilation-speculation-the-lore-of-the-drifters-and-their-other-possible-identity/143079)

 

ドリフターズ(Drifters)は、現代のEVEにおいて最も悪名高い脅威のひとつです。彼らの行動は素早く、乗りこなす船舶は攻撃力が高く、不用心なパイロットを数多く沈めて勝利を収めてきました。彼らは20152月に公開されたアップデート「ティアマット(Tiamat)」で登場して以来、その正体の秘密に迫る鍵をいくつか残していきました。

 

この記事は、第一部でこれまでドリフターズが関わってきたストーリーの概要をまとめます。第二部では、ジョビ(Jove)の末裔であるドリフターズは、Enheduanniと対応する、とある軽蔑された存在と関連するのではないかという考察について、詳細に紐解いていきます(第一部を先に読んでおくと話の全体像が掴めるため、第二部で提示される推察も非常に分かりやすくなると思います)

(訳注:Enheduanniもまたジョビの末裔で、仮想空間コンストラクト(Construct)を守護することを使命としている。仮想空間コンストラクトの出入りには厳しい制約が課されているが、制約を無視して出入りしているのがアザーズ(Others)という存在である。ドリフターズの正体はアザーズなのではないかという推察が第二部で紐解かれる)

 

(ちなみに、今回の記事を読むときはこちらのサウンドトラックを流すことをおすすめします。)

 


 

ドリフターズに関するストーリー

 

序章

YC11610(訳注:201410)、シスターズ・オブ・イブ(Sisters of EVE)はスリーパー(Sleepers)の活動に異常な変化を確認し、スリーパーの活動が活発化していることを報告した。(訳注:シスターズ・オブ・イブはEVEの勢力のひとつ。New Edenから太陽系へと通じるEVE GATEを再び開くことを目指してさまざまな調査・研究を行っている。スリーパーもまたジョビの末裔。) その直後、Inner Circle(訳注:コンコードの首脳陣)緊急のワームホール会議を開き、スリーパーの活動に変化が見られた件について議論を交わした。この会議の後、サンシャ(Sansha)国のインカ―ジョンが突然撤退し、ワームホールを使うことなく姿を眩ましたため、彼らに対して特別な警戒を払うよう注意喚起が出された。(訳注:サンシャ国は数々のシステムへ侵略(インカ―ジョン)を繰り返しているNPC勢力。当時はサンシャ国の撤退の原因が不明だったため、撤退を装った奇襲を企てている可能性があるとして警戒を促す注意喚起が出された)

 

爆発

YC1161127日、W477-Pというシステムのど真ん中で、かなり異常な恒星活動が起きていることがカプセラたちの手で最初に観測された。この報告は瞬く間に広がり、すぐさま活発な議論が巻き起こった。何故ならこの現象は、UUA-F4リージョンの到達不可能な場所で起きていたからだ。(訳注:UUA-F4リージョンは基本的にプレイヤーが立ち入れない宙域。ジョビ領)

 

後にW477-Pの恒星は古代タロカン(Talocan)による恒星エンジンであることが分かり、恒星の軌道上には無数の構造物が網のように配置されていることが確認された。恒星に群がるこの構造物は、恒星の持つ莫大なエネルギーを引き出して利用することができ、エネルギーの出力先として無数のスタティックゲート(Static Gate)を備えていた。ゲートの出口は、アノイキス(Anoikis)の奥深くに通じていた。(訳注:アノイキス銀河はワームホール空間のこと。当時はまだ、ワームホールを利用した空間転移技術は確立されていなかった)このことから、タロカンという文明はNew Edenの歴史上、最も発達した技術を有していたことが明らかになった。(この話の全容については”Inheritance”というクロニクルに書かれている)

 

YC111年にセイリンイベント(Seyllin Event)が起きると、このイベントの影響を受けた星が全く同時にスタティックゲートへエネルギーを流入させたため、とてつもない過負荷が起きてスタティックゲートはバラバラになった。セイリンイベントのエネルギーは50余りのゲートから逆流し、ネットワークを通じて直接W477-Pの恒星に注ぎ込まれ、ゲートは完全に焼け尽きたのだった。W477-Pの恒星ではすぐさま巨大な恒星質量放出が確認され、恒星を取り巻く構造物の網に亀裂を走らせた。ジョビ理事会(Jove Directorate)がその様子を観測したところ、この恒星は数年以内に超新星爆発を起こすだろうという見解が示された。(訳注:超新星爆発の前兆として、質量放出現象が起きることがある)

 

YC116年、ついに事件が起きた。W477-Pの恒星は超新星爆発を起こし、その様子はすぐさまNew Eden全域から目撃された。これは恐らくNew Edenのクラスタという時空が持つ特性と、タロカンスタティックゲートネットワークが密接に絡み合うことで起きたのだと考えられる。(訳注:光は光速で進むため、例えば100光年先で起きた爆発を目視するには普通なら100年待たなければならない。W477-Pで起きた超新星爆発が広大なNew Eden全域で同時に目撃されることは通常あり得ないが、超新星爆発の視覚的情報がタロカンスタティックゲートを通じてほぼ同時にNew Eden全域に拡散されたのではないかと筆者は述べている)まだネットワークの一部として活動しているゲートが恒星を取り巻いていたが、超新星爆発のエネルギーは生き残ったゲートにも流入し、群れを成していたゲートは一つ残らず破壊された。

 

破砕

史上最も特異的なこの現象は、後に「カロラインの星(Caroline’s Star)」と呼ばれることになったが、この現象と同時にシスターズ・オブ・イブが「テーラ(Thera)」と名付けて存在を隠し通してきた場所との通信が途絶したのだった。(訳注:テーラは砕けたワームホールシステムのひとつ。wiki)今は「砕けたワームホールシステム」として多くのカプセラに知られているシステムと共に、テーラのシステムは超新星爆発の影響を直接受けたのだった。こうしたテーラに属するシステムの中心付近には必ず「Epicenter(震源地)」のサイトが見つかるが、このサイトはかつてW477-Pのスタティックゲートに接続されていて、利用可能であった。超新星爆発の爆風がゲートを押し通ったため、それぞれの星は莫大なエネルギーの流入を受け、セイリンイベントで起きたものとは比にならない壊滅的な事件を引き起こした。テーラのシステムは、ゲートを中心に「砕けた」のだ。

 

これらのシステムの中には、サンシャ国の軍事勢力によって占領され、今も占領されているシステムがある。こうしたシステムは、以前は彼らの終わりなき侵略のための集結地点として機能していた。インフラ設備や軌道上の構造物は明らかに破壊されており(そして先ほど言及したサンシャ国の原因不明の撤退はこれが理由であることが分かったが)、その裏では奇妙な戦闘が静かに勃発し、新たな疑問を残していった。放棄されたスリーパーの飛び地の近くで起きた戦闘により、Revenant級の大型艦載機母艦を含むサンシャ国の軍事勢力が壊滅したのだ。彼らの船の残骸には、所属不明の船舶の残骸も混じっていた。

 

カロラインの星の事件以降、New Edenや他の各地ではスリーパーキャッシュ(Sleeper Caches)が発見されるようになった。これらのサイトは長年クローク状態で姿を隠していたらしく、いつ頃からそこにあったのかは分からないが、スリーパーが関心を寄せるアイテムやテクノロジーを収集するために長年暗躍していたようである。ここでスリーパーはひそかに、先駆者のテクノロジーや帝国のテクノロジーを盗み見していたのだ。しかし、これまで完全に姿を隠してきたはずサイトは、何者かによって組織的に荒らされていた。攻撃者は広範囲クロークを損傷させ、非常に価値が高いであろう人工物やテクノロジーと共に姿をくらませたのだった。

 

スリーパーキャッシュが同時多発的にクロークを解除したのと時期を同じくして、タイタン級の大きさを誇る正体不明の構造物がゆっくりとクローク状態を解除し始め、New Edenの至る所で奇妙な新しいタイプのスリーパードローン(Sleeper Drone)がうろつくようになった。彼らは視界にあるものすべてを静かにスキャンし、徐々に自らの敵対者に対して対抗する力を備えていった

 

明快

C117217日、正体不明の構造物はついにクロークシステムのシャットダウンを完了させ、全貌を現した。この構造物は、現在は「放棄されたジョビ天文台(Jove Observatory)」として知られている。New Edenの各地で発せられる叫びや囁きに聞き耳を立てるために作られた構造物だった。直後、ジョビ天文台の存在するシステムには、スリーパーの構造物によって囲まれた正体不明のワームホールが出現するようになった。銀河の舞台に新たな登場人物が現れたのだ。

 


ドリフターズは静かに姿を現し、その強さは向かうところ敵無しだった。つややかで強力な戦艦は、従来のものとは大きく異なる棒状の基礎を持つ推進装置と、半自動で攻撃する武装、独立したタレットを伴い、分厚いシールドに守られ、多くの船に致命傷を与えうる主砲を備えていた。こうした船が正体不明のワームホールから次々と姿を現し、ジョビ天文台を調査し始めたのだった。ドリフターズとシーカードローン(Seeker drones)は構造物へ穴を空けはじめ、そこから得られるAntikythera Elementsや他のマテリアルをサルベージし、現在もなおその活動は続いている。かつてスリーパーキャッシュが被ったのと同じことが繰り返されていた。

 

ドリフターズの武装勢力は「Vigilant Tyrannos」と名付けられた。スリーパードローンとは違い、ドリフターズの武装船には操縦者がいた。Tyrannosたちは重度にインプラントを挿入したジョビの人々に似た姿をしており、目的に向かって高度に意思を統一して決して揺らぐことがなく、いかなる挑戦者が相手でも大挙してこれを圧殺した。回収されたドリフターズの遺体に対して検死が試みられ、その結果を伝える会見が開かれたが、ユーライ(Yulai)に単独で現れたドリフターズの戦艦によって会見は一時中断されることになった。検死の結果、Tyrannosのパイロットには数多くの相違点があるものの、紛れもなくジョビの生理的特徴を有していることが詳細に明らかにされた。

 

ドリフターズがジョビの末裔であることは、彼らの外見的特徴や身体的特徴から見て明らかな一方で、ドリフターズの生理的構造は多くが取り除かれて、奇妙なほど手が加えられています。ドリフターズが執念深く単一の意思を共有できたり、謎めいた目的に向かうとき全くの無慈悲を貫けるのは、彼らに施された重度のサイバネティクス手術が大きく関わっているようです。彼らの目的が何であれ、ドリフターズが所有するテクノロジーは他のジョビの末裔が持つテクノロジーとは明らかに対立するものであり、ひょっとすると彼らより優れているとさえ言えるものです。

ドリフターズの血筋に関する記述

 

この個人は、Vigilant Tyrannos勢力の強力な船舶のひとつを操縦する人物です。顔立ちには気品がありますが、人相に色濃く表れる冷血さを和らげるものではありません。膨大な力を持つこの指揮官の決意を崩すことは不可能でしょう。

  ゲーム内に隠されたApolloArtemis Tyrannosに関する記述

 

Vigilant Tyrannosの指揮系統は、Strategosクラスの船を所有する個人がトップの座に位置しているように見えます。暗号解読によって、この個人より命令信号が発せられたことが特定されましたが、このドリフターズがさらに上層部から命令を受けているか否かは明らかでなく、Tyrannos Strategosが謎めいた武装勢力の真の指導者なのかも不明です。

  ゲーム内に隠されたTyrannos Strategosに関する記述

 

ドリフターズは「最も血筋の古いジョビの遺した遺産を受け継いでいるようだ」と記述されることもあり、彼らの正体が第二次ジョビ帝国の支配者層「Tyrants」であることを指しているのではないかと考えられる。

 

初代ジョビ帝国の凋落後、ミコ・ブール(Miko Bour)という名の伝説的なジョビ人がHeavenコンステレーションの実権を握ると、彼はジョビの飛び地を統一し、敵対する者は文字通りあらゆる手段を用いて排除し、ジョビ文明の崩壊を阻止したのだった。ブールは非人間的なまでに冷徹な人物だったと伝えられており、ジョビ人を力で支配し、軍事的圧力をかけることで数々の飛び地を従わせた。しかし多くのジョビ人は、帝国が崩壊すればどのような混乱が生じるか理解していたので、喜んで彼に協力した。彼は後に最初のタイラント(Tyrant)として知られ、彼の派閥は第二次帝国の支配者層となった。しかし、ブールは単なる猛将ではなかった。

 

第二次帝国が安定期を迎えると、彼は連邦制度を導入し、Ruling Chamberと呼ばれる議会にジョビの飛び地から推薦された代表者を集めた。タイラントが実権を握るには権力を正当化する必要がある点を認識していたため、ブールはRuling Chamberのメンバーの一人がタイラントの職務に就くよう規定した。

  EVE: Source

 

ドリフターズは、タイラントを覆っていたヴェールを取り払うと共に、初代タイラントに似通った冷徹さを持って表舞台に現れた。彼らの呼び名は「Vigilant Tyrannos」、ラテン語で「活眼のタイラント(Watchful Tyrants)」を意味する。

 

TUKOSS

YC1161024日、長らく行方不明だったドクターハイレン・トゥコス(Hilen Tukoss)から通信が入った。彼はArekJaalanプロジェクトを立ち上げた人物で、YC113年にリアンダ・ビューロー(Lianda Bureau)の所有するヘリオス(Helios)wikiが放置されているところを破壊された件の後、アノイキスに向かったきり消息を絶っていた。そんな彼が、Intergalatic Summit(IGS)に現れたのだった。この通信があったのは、シスターズ・オブ・イブがスリーパーの活動に異常が見られることを報告したすぐ後のことで、「カロラインの星」の事件が起きる直前のことだった。

 

メッセージには16進法で書かれた箇所が多数あり、書式は人間のコミュニケーションとは似つかわしくないやり方で決定されていた。その内容は、YC106年に物質転送装置のテスト中に起きたアクシデントによりジョビ人の重役会大使の身体がバラバラに分解される事件があったが、その時のジョビ人の生体サンプルを集めるよう推奨するものだった。ドクターのメッセージには、ArekJaalanプロジェクトの本部であるエラム(Eram)の「Site One」に近々補給物資が届くだろうとも書かれていた。メッセージの中で彼は、長らく連絡が取れないでいたが、その間も「writeconflict date/current=24/10/116 replace/string=09/07/113 YC113年に共に始めた研究」に打ち込んでいたと述べられていた。

 

第二のメッセージは、最初のメッセージから11日後の114日に届いた。このメッセージも16進法で書かれた箇所が無数にあり、書式が不自然に変更されていた。また、IDからはメッセージがアノイキスにある未知のシステムから送られたものであることが分かった。アノイキスといえば、我々がコロニー化して居住可能にしたことを「ドクター」が称賛した場所でもある。後にこのメッセージに含まれるIDはテーラのシステムであることが分かった。

 

第二のメッセージから8日後、数多くのカプセラが素直にエラムを訪れてジョビの生体サンプルを届けたのであったが、IGSにはこれまでとは大きく異なる第三のメッセージが投稿された。メッセージの内容はほとんど崩壊していたが、どうにか解読可能であった。その内容は、トゥコスはアノイキスのどこかに拘束され、何らかの方法で「捕まって」いることと、Site Oneは危険に晒されており、ArekJaalanプロジェクトの命運はカプセラたちの手に委ねられていることを警告するものだった。そしてトゥコスは、どうかプログラムを引き継いでほしいと懇願していた。

 

再構築の試みがなされた第三のメッセージ

 

第四、第五のメッセージは数か月後のYC117226日にIGSに投稿され、その頃すでにドリフターズは出現した後であった。このメッセージもまた崩壊していたが、再構築の試みによってその内容は不吉な知らせを含んでいることが分かった。かつてスリーパーと呼ばれていた眠れる民が、まず間違いなく、眠りから覚めたのだった。トゥコスはある人々に遭遇し、拘束されていた。彼らは生物的な側面と生物工学的な側面を併せ持つ生命体、ドリフターズだった。トゥコスはどうにか「スリーパーの乗り物」を確保して脱出し、Site Oneを目指しているとのことだった。

 

再構築の試みがなされた第四のメッセージ

 

トゥコスからの「本物の」メッセージに含まれる位置情報やピンを調べた結果、彼の最後のメッセージが発信されたのはエラムのエイフィル(Eifyr & Co.)ステーションから約30km離れた地点からだったことが算出された。ハイレン・トゥコスがSite Oneにたどり着くことはなかった。

 

このメッセージから10日経たずして、ハイレン・トゥコスは親会社から権利を剥奪され、彼は市民権と人権を失った。

 

 

HIVE

YC11758日、SCOPEはエイフィルによって隠蔽されていたハイレン・トゥコスからの通信を暴露した。ドクターはまだ未発見のアノイキスのシステムにある巨大構造物へドリフターズの艦隊が物資を集め続けているのを発見し、この「緊急通信」の受信者にDED(訳注:コンコードの警察部門。主な職務は犯罪者の取り締まりだが、安全保障に関わるあらゆる任務をこなす)へ通報するよう伝え、我々が「侵略を受ける可能性」に直面していると警告した。通信データは壊れていたが、映像からはハイレン・トゥコスが船に乗り、出来る限りの情報を伝えようとしている様子が分かる。しかし間もなくドリフターズに発見され、彼は眩い光と共に消滅した。映像はそこで途切れていた。

 


DEDはすぐさま緊急通信の詳細を明らかにした。発表によると、この通信は一年ほど前に送信された内容だとのことだった。ハイレン・トゥコスがIGSに現れて不可思議なメッセージを投稿するより前だということになる。エイフィルはこの通信を受け取るとその内容を隠蔽し続けていたのだった。DEDはこの件に関して、エイフィルの元職員に事情聴取を行った。それ以降、どういった事情聴取が行われたか内容の詳細については公式に発表されていない。

 

YC11768日、カプセラのグループがハイレン・トゥコスの遺体を発見した。遺体が発見されたのは、彼の最後の通信に映った建造物に近い場所だった。その日を境に、ドリフターズによって開かれた正体不明のワームホールがカプセラ達の生活圏内に出現するようになった。

 

後にドリフターズ・ハイヴ(Drifter Hives)と呼ばれることになる彼らの建造物は、いくつもの空間がある複雑な複合施設の奥深くに隠されており、うまくたどり着くためには高い協調性をもって協力し合う必要があった。ハイヴそれ自体は無数のスリーパーの飛び地に囲まれた場所に鎮座しており、辺りにはかつてスリーパーの飛び地に住んでいたジョビ人の遺体が野ざらしの状態で静かに漂っている。緊急通信で言われた巨大なドリフターズの艦隊に繋がるようなものは何一つなかった。そこには時折、パトロールに来たドリフターズの小集団と、新たな分類となるドリフターズのパイロットが現れるだけだった。ハイヴのそれぞれの部屋では「Hikanta Tyrannos」と遭遇することができ、彼らは「vaults」を守るために強化されたドリフターズの戦艦に乗って単独で現れた。彼らが守る「vaults」には、施設のインデックスを名前として持つキーが含まれていた。キーの名前は5つのハイヴに付けられた名前(BarbicanSentinelVidetteRedoubt、そしてConflux)にそれぞれ対応しており、ミーム的な活性がある未知のエレメントを含んでいた。

 

 

この個人は、Vigilant Tyrannosの武装勢力の一員として強力な船舶を操縦しています。面影からは、獰猛なまでに高い知性と正確無比な決断力を感じさせる雰囲気があります。膨大な力を持つこの指揮官の決意を崩すことは不可能でしょう。

  ゲーム内に隠されたHikanta Tyrannosに関する記述

 

Redoubtインデックス

このコードは興味深いことに我々の聞き慣れない数学的アルゴリズムに満ちた書かれ方をしています。このインデックスは何かの鍵を開けることが出来るだろうこと以外は、何も分かりません。インデックスには自己再構築コードが組み込まれているため、パスキーとして使えるのは一度限りです。

 

Redoubtエレメント

このオブジェクトの奇妙で非現実的な側面は、あなたの頭の中で何かを騒ぎまわる。歪みは信号の受信を妨げ、暗号解読の邪魔をする。にも関わらず、騒乱の中から、とある奇妙なモチーフが繰り返し閃く。たったひとつの概念が、繰り返される。

 

Redoubt

 

ドクターの遺体が回収されるや否や、コンコードはドクターの遺体から採集された大脳のスライスサンプルを無条件でDEDに引き渡すよう命令した。これはトゥコスの遺体から回収された唯一のサンプルだった。この緊張関係はかなり激しい事態にまで発展し、コンコードは本件に関わるすべてのカプセラに対して刑罰まで科したが、713Lucas Raholanは上官の命令に従いこのサンプルを引き渡した。

 

引き渡しに応じたカプセラの刑罰は引き下げられ、ハイレン・トゥコスの遺言(その内容はいまだに明らかにされていない)はエイフィルによって果たされた。公表されたドクターの死因は「TEBS損傷(Transneural Echo Burn Scanner Failure、高負荷全神経エコースキャン損傷)」によるものだと認定された。

 

その4月後、エイフィルが創設メンバーに含まれるUpwell Consortiumという組織が設立され、野心的な産業協働組織としてスタートを切った。

 

 

皇妃殺し

ドクターのスライスサンプル事件が円満に解決した数日後、アマ―(Amarr)海軍は数か月前に建造された帝国仕様アバドン(Abaddon)(訳注:アマ―の火力戦艦)に基づいたプロトタイプ艦船の起工を祝して式典を開くことを発表した。この式典にはアマ―皇妃ジャミル・セイラム一世(Jamyl Sarum I)も出席することが決まった。このとき、彼女が式典の席に伴ったもうひとつの存在は、まだ誰も知るところではなかった。

 

式典の発表の後日、7 25 日、アバター(Avatar)(訳注:アマ―の旗艦級戦艦、タイタンクラスの超大型主力艦。通称きのこ)に乗船した皇妃は厳かに彩られたアマ―の主力艦の護衛隊を伴って公の場に姿を現した。Mekhiosに関する記念式典が執り行われていると、意識思考学会(Society of Conscious Thought)Elder MentorであるMatshi Raishが現れた。Raishはジャミル皇妃の船を未知の方法でスキャンしたが、そのスキャン方法はドリフターズやシーカーのやり方と一致していた。Raishは皇妃の船をスキャンし終えると、目標を発見したと告げた。直後、アマ―の親衛隊はMentorの乗っていたグノーシス(Gnosis)級の船舶を破壊し、彼のポッドにとどめを刺した。

 

Raishの意識はGeminateに戻り、彼はクローンベイで目覚めるとVenielに会った。VenielDirectorate時代からいるジョビ人で、長い間、意識思考学会のメンバーとして働いていた。Raishは彼の発見をVenielに伝えた。ジャミル皇妃の神経インターフェース接続からは、通常ではあり得ない思念体のシグナルが検出された。皇妃の体内には2つの思念体が同居していたのだ。RaishVenielに、「アザーズ」を見つけたと告げた。VenielRaishは、これらの事実に加えて、カロラインの星の件や他の深淵な暗号が示す真実とは何かについて議論を始めた。(このストーリーの詳細についてはInheritanceを読んでください)

 

この5日後、サフィゾン(Safizon)というアマ―海軍のステーションが中心にあるシステムに対し、巨大なドリフターズの艦隊が攻撃を仕掛けたTyrannosとアマ―の船は激しく衝突し、帝国とカプセラの親衛による合同艦隊の前にドリフターズはついに敗れた。

 

次の週、アマ―の旗艦級艦船のプロトタイプがThrone Worldsテストを受けている姿が確認され、この船はこの後サフィゾンに戻って正式な試運転を開始するだろうと思われた。次の日、ドリフターズは再びサフィゾンに現れて海軍本部を襲撃したが、アマ―とカプセラたちの努力によって退けられた。

 

二週間の静寂の後、プロトタイプ艦「Auctoritas」の引き渡しが告知され、YC117821日、さまざまな危険が想定される中、予定通り引き渡しが行われた。

 

皇妃ジャミルはTES Seraphと名付けられたアバターに乗船し、予定通り18:00に登場した。その場には多数のカプセラも出席し、いかなるドリフターズが現れても迎撃できるよう準備が進められた。しかし誰一人として、この後直面する事態を予測できた人はいなかった。ドリフターズの戦艦100による艦隊がその場に一斉に現れ、他の目標には目もくれず、致命的な高火力を誇る主砲を一斉にタイタンに照射すると、皇妃のカプセルを破壊し、すぐさまその場を離脱した。Scopeはこの件を臨時ニュースで報道し、次の日Court Chamberlain皇妃ジャミルの崩御を伝えた。数日後、Throne Worldsに対してドリフターズは短期間の侵略を行ったが、このとき重要な軍事目標をいくつか攻撃したこと以外に侵略の目的ははっきりせず、彼らは再びアノイキスへと戻っていった。

 

 

ネクサス

ちょうど2か月後のYC11711月、ドリフターズはアマ―のThrone Worldsに対して二度目の襲撃を行った。この事件が勃発したのは、ドリフターズ・ハイヴ複合施設の奥に隠されていた建造物「ネクサス」が新たに発見されたすぐ後だった。

 


それぞれのハイヴ複合施設の奥深くの中心には、ワープ速度以下の速さでゆっくりと航行しなければ到達できない異様なサイトがあることがカプセラによって発見された。複合施設の「ネクサス」には2つの極渦が天体規模の大きさで循環しており、アノマリの中央にはエネルギーを帯びた鉄塔が巨大なウニのような形で配置されていた。

 

この発見から数日後、ドリフターズはアマ―に対して二度目の襲撃をかけた。次にカプセラたちがハイヴサイトを探索したとき、複合施設の侵入手順に大きな変更がいくつも加えられていることが分かった。アクセスの難易度は大幅に引き下げられており、ハイヴの部屋に入るときに足並みを揃える必要性もなくなっていた。また、すべての加速ゲートのロックが解除されており、これまで侵入に必要だった転送モジュールはなくなっていた。これに加えて、各複合施設の最初と最後の部屋には新しい加速ゲートが現れ、ゲートをくぐれば中央ネクサスに行けるようになっていた。そしてネクサスもまた、いくつかの変更が見られた。

 

「ウニ」のように集まっていた鉄塔は完全に散開し、アノマリ一帯に拡散して高エネルギーを帯びた巨大なデブリフィールドとなった。そしてアノマリの中央には、それぞれの複合施設の名前のついた倉庫が現れた。同じハイヴサイトの他方のネクサスと合わせると、それぞれのネクサスに対して整列シークエンスのラベルとして10が書かれた2つの「整列単位」が現れ、アクセス可能になっていた。

 

このことから、ネクサスの鉄塔は整列することでタイタン級の巨大な加速ゲートになるようなものだと結論付けられた。しかし、加速ゲートになるよう整列させる方法までは特定できなかった。倉庫に対して適切なシークエンスを入力する試みがなされたが、散らばった鉄塔に明確な変化は一切起こらなかった。しかし、こうした入力を試みた人たちに対しては一種のブースターとして使用できる新しいドリフターズのマテリアルが配布されました。これと同時期に、Hikanta Tyrannosに乗っているドリフターズのパイロットが新たに「Coalescedエレメント」のスキーマを所持するようになった。「Coalescedエレメント」はそれぞれのハイヴのエレメントと、ジョビ天文台から採集されたAntikytheraを混ぜ合わせたもので、その目的は今のところ分かっていない。

 

Redoubt Sequence 1

このコードは興味深いことに我々の聞き慣れない数学的アルゴリズムに満ちた書かれ方をしています。これは特定の加速ゲートを起動させるのに使えるだろうこと以外は、何も分かりません。自己再構築コードが組み込まれているため、パスキーとして使えるのは一度限りです。

 

Antipharmakon Thureo

このオブジェクトをスキャンした結果、ニューラルブースターとして使えることが分かりました。この複雑な化学物質は、カプセラのシールド操作能力を向上させるブースターといくつか類似する点があります。

 

この対象を創ったのがドリフターズであること、また量子レベルで非常に変わった特性を示していることを考えると、実際にブースターとして使用する際は慎重に検討することを推奨いたします。

 

Coalescedエレメント 

発光するさまざまなエレメントの複合体。パワーは何も生み出さず、一切揺るがないが、恐ろしいほどパワーを吸収するようにできている。