2020年7月24日金曜日

翻訳記事:EVE Vegas2019  「誰でもFCはできる!」 講演者 Greygal, Affirmative Part3/3


 「ローカルスパムフリート」、とりわけリメリックフリート。

 このフリートの最終目的、勝利条件は、ローカルチャットをメッセージで埋め尽くすこと。例えばリメリックやダジャレ、名言の引用、それをなるだけ多くのシステムのローカルチャットに拡散するの。まあ、ローカルには本当にたくさんの人がいるものね……。(訳注:どうやら講演会場にそのスパムメッセージを見た人がいた模様)Providenceに入ってからは好んでスパムメッセージを拡散させて、後で後悔したりしたわ。

 「カラオケフリート」……あなたが一番最初にFCやるとき、カラオケフリートを立ち上げちゃダメよ。けど、その後なら、このフリートを立ち上げてスカウト役に歌でも歌ってもらうの。そういうのも面白いものよ。

 「クソフィットフリート」自分が乗る船を、考えうる限り最悪のフィットにして、いくら稼げるか見てみるの。どのくらいキルをとれるか試すの。

 「盆栽フリート」もしあなたが、スカウト役から来る情報をどう整理して理解するかに手こずっているなら、このフリートはいい練習になるでしょう。「盆栽フリート」、ここでやることは、ゲートに向かって、ジャンプする。ゲートに向かって、ジャンプする。それで何が起きるか知っているのはスカウト役だけ。そうしてどういうトラブルにあうのか見てみるの。

 「エルマー・ファッドフリート」みんな喋り方をエルマー・ファッドみたいにするの。私も何度かやったけど、例えば(以下、エルマー・ファッドの物まねが挟まるが、内容の聞き取りは困難)。いまだにこれは下手なの。

 「パトカーフリート」全員コメットにスキンをつけて搭乗するのがこのフリート。



 こんな感じに、何か楽しいことを見つけて、やってみるの。
勝利条件は、楽しかったかどうか。
 決して全滅するとか誰を殺したとかじゃなくて。あなたが、そのフリートの勝利を定義するの。それを決めるのは、敵ではないし、キルボードでもない、あなたよ。だってあなたがFCなわけで、あなたが意思決定を下す人なんだから。





 さて、出航する前に準備しておきたいことがあります。それはあなた自身とスカウト役を、自分の使う通話アプリで主要な通話相手に設定しておくことです。それはteamspeakなりmumbleなりdiscordなりといった、どの通話アプリを使うにしてもです。スカウト役は必ず主要な通話相手に設定しておいてください。

 またオーバービューの設定を変更して、必要な情報だけが映るようにしてください。何もフリートメンバー全員をオーバービューに映す必要はありません。こういった事は、フリートに参加したことがあるならすでに知っているでしょうし、ここではおさらいする程度にとどめます。



 フリートを立ち上げてメンバーにフリートに入ってもらったら、次にフリートの構成をチェックします。これは恐らくEVEで最も使用頻度が低く、最も知名度の低いツールです。これまで何年も活発にFCをこなしてきた人でも、この「フリートの構成」という機能については全然知らなかったという人だっているくらいです。これは「フリート」ウィンドウを開いてフリートの設定画面を出したとき、左上の隅をクリックすると出てきます(訳注:日本語版では「フリートの構成」、英語版では「fleet composition」)。「フリートの構成」の画面では、メンバー全員の現在地や、どの船に乗っているか、そういった情報が毎分更新されていきます。なので誰かが「あと2ジャンプのところに居るよ」と言っているのに現在地がジタだったりすると、こいつ嘘ついてるなって分かりますし、フリゲートフリートだっていうのに味方にレイブンやドミニクが混ざっていないかどうか確認することができます。



 次はウォッチリストを作成します。もしフリートが15人以下の少人数ならメンバー全員をウォッチリストに放り込みますし、そうでないならスカウト役などを優先的にウォッチリストに入れます。常に完全なウォッチリストを持っておいてください。何故ならこれは、フリートの状態や位置を視覚的に把握するためのインジケーターになるからです。例えばゲートをくぐった先で、次のゲートへのアライン指示をとばすとします。もしフリートメンバーが50人いたとしたら、私のウォッチリストには15人ほどが登録されています。この15人全員がウォッチリストに現れて、体力バーが見える状態になれば「そろそろ全員アラインできたに違いない」と判断できるわけです。



 次に目的地を設定します。Dotlan、またはprint mapを開きます。



 委任、委任ですよ~、委任。仲間に役割を委任します。



メンバーと意思疎通をはかって、フリートの目的、勝利条件をしっかり共有しておきます。そうしたら、お決まりのあの指示を出します。EVEで最も頻繁に出される指示といえば、もちろん「ゲート前待機」「クローク維持」。あなたもゲート前に到着したら、死に急いで先走るんじゃないわよ~。こういう事は最近そんなに言わなくなったけど、Redemption Roadにいた頃は毎日言ってきかせたものです……「勝手にジャンプしたら、君はもうスカウトだ」。勝手にジャンプしたからには、あなたはそこのシステムを偵察するだけじゃなくて、その次に続く5つないし10のシステムについても偵察してもらいますよってこと。それと、おかしな話はあるもので、私の知る最も優秀なスカウト役の人たちが何を切っ掛けにスカウトを始めたかというと、FCの指示を無視してジャンプしてしまったことが始まりだったそうです。けど、もちろんゲートをくぐってすぐは、クローク状態を維持してください。

あなたがフリートメンバーをより育成して、どう動いてほしいか意思疎通するほど、メンバーはより上手くあなたと行動を共にしてくれるようになります。そしてあなた自身も共に成長します。メンバーがあなたの指示を聞き、行動してくれるようになることで、互いに信頼関係が築かれていくからです。そしていくらか安心感をもって臨めるようになります。





 いよいよ出航しましょう! EVEは出航しないで遊ぶことはできません。

 EVEプレイヤーは誰でもそれぞれ、自分のお決まりの画面配置というものをもっています。これは私が決まって使う画面配置です。

 ほぼ全てのFC、そして多くのフリートメンバーは、これらの画面を表示しておく必要があります。「フリートメンバーを除外したオーバービュー」、「Dスキャン画面」これは自分たちの置かれている状況を常に把握しておくために必要です。自分がフリートのどこに位置しているかや、ターゲットの位置を常に把握しておくことは重要です。ローカルチャットを他のチャット欄から切り離して開いておきます。CCPお願い、ローカルチャットはデフォルトで分けて表示されるようにしてちょうだい! こうやって表示しておくことは非常に重要なことですし、誰かにローカル監視役を任せてローカルの人数が急増する度に「ローカルが増えたよ!」って報告するよう委任された人もこれを表示しておいてください。ちなみにローカル監視にはちょっとしたテクニックがありまして、〔ローカルに居る〕フリートメンバーの誰か一人をクリックして「Ctrl+A」で全てを選択しておけば全員の名前がハイライトされるので、そこに新しく人が入ってくればその名前だけがハイライトされていないため、一目で誰がローカルに入ってきたのかが分かります。〔その他に表示しておくべき画面として〕「ウォッチリスト」、「フリートチャット」。これらが基本的にFCが表示しておくべき画面です。私ならこれに加えてフリート画面を表示しておきますが、今回はスライドでハイライトしませんでした。何故ならこれは別に表示しなくてもいいと言うFCも多いからです。私は開いておきますけどね。普段はこれを「履歴」画面の上に重ねて表示しておいて、例えばオングリッド上に駆逐艦やカタリストが突然現れたときに、それが不審者なのか回線落ちした味方なのかを判断するための記録にします。重ねて言うけど、私は普段NPSI(Not Purple Shoot It)のフリートで遊んでいるから、〔スタンディングが〕ブルーかどうかは見てないの。とにかく、私にとってはこの画面が必要だということです。





 さて、フリートは出航しました。次はどうしましょう?

 「フリートを先導せよ!」目的地がちゃんと設定されていることを今一度確かめたら、ブロードキャストを出します。私はブロードキャストが大好きです。目的地をブロードキャストしたり、アライン指示をブロードキャストしたり、ワープ、ジャンプ、ターゲット指示もブロードキャストします。ブロードキャストも非常に重要な機能のひとつです。EVEをプレイする私たちはそれぞれ違った訛りやアクセント、話し方を使いますし、異なる地域の異なる言語圏から同じゲームをプレイしています。たしかに英語はEVEで使われる主要な言語ではありますが、話し方の癖は違いますし、ここと別の州では話し方の癖が違うことがあります。私もとある州の人の話しを聞き取るのに苦労したことがありますし、他の人にとってもそうでしょう。指示をブロードキャストしてしまえば、誰にとってもずっと分かりやすいです。EVEのプレイヤーには英語を聞き取るのが苦手な人もいますが、彼らはFCのブロードキャストが大好きです。それに例えば、フリートのメンバーがもし奥さんないし旦那さんと口論していて全然話を聞いていなかったとして、「それで目的地ってどこだっけ?」って訊かれたときにも便利です。「ブロードキャスト履歴を見ろ」。



 スカウト役を派遣し、偵察情報を受け取ります。いいですか、スカウト役とよい関係をつくっておくと、あなたってすごくFCとして有能に見えるから。彼らは本当に全部仕事をやってくれるの。それで褒められたり称賛されるのは全部FCなの。だけど本当に頑張って働いているのはスカウト役よ。彼らはあなたの目であり手です。彼らは飛んでいった先でターゲットを補足してくれますし、フリートが来てキルをとるまで逃がさないように捕まえてくれます。そしてこれはフリートをどういうテンポで動かすといいかを学ぶよい機会です。フリートがどのくらいの早さで移動していて、スカウト役もまた移動していて、あなたの耳には「次のシステムは安全だ」と情報が届くから、フリートをゲートへとワープさせて、次のシステムにジャンプして、といった一連の動きを……この話はもうしたっけ? あらま、少し駆け足で話をしなくちゃいけないみたい。



 「フリートを動かし続けて、何かあったら決定せよ」

 さて、我々は出航しました。次はどうしましょう。

 フリートを動かす手順はたったこれだけです。「ターゲットを見つける」「ターゲットにタックルを仕掛ける」「ターゲットをキルする」「ターゲットの仲間が駆けつける前に逃げる」



 これが全て。フリートを動かす手順はたったこれだけです。

 さて、あなたは戦闘に直面しました。ターゲットを見つけました。攻撃すべきでしょうか?



まあ、それはローカルに何人いるのか、敵にロジはいるのか、他にもいろいろと判断材料はあるわけで、全部のことを心配していたら絶対に動けなくなります。意思決定のフローチャートはちょうどこの図のように展開し、それぞれの状況はものすごい早さで進んでいきます。ちなみにこのチャートは火星を植民地化するための百年計画です。

 これらは全て、考える必要はありません。

 戦闘すべきか否かを判断するのに、あなたが考えなきゃいけないのはこれだけです。

「奴らを一人でもキルできるか?」

 これだけが、戦闘に突入するかどうかを判断する上で考えるべきことです。奴らを一人でもキルできるでしょうか? 普段なら、フリートのスカウト役がその可否を教えてくれるでしょう。もし誰もキルできそうにないなら、戦闘はしないと判断するのです。彼らが何を持っていようが関係ない! 誰もキルできないなら関係ない話です。でも一人でもキルがとれそうなら、戦闘すべきです。何故ならもっと経験を積みたいわけで、戦闘から何かを学びたいわけです。回避した戦闘からは何も学ぶことができません。



 さて、「どれを優先的にターゲットにしようか?」

 困ったことにこれについてはRedditで山と議論されています。知っての通り、Ewarが先か、ロジ艦が先かという類の話です。私が思うにこれらは一切考える必要はありません。

優先攻撃目標としてターゲットするか否かを判断する上で考えるべきことは、これだけ。

「もうタックルしてたら、キルをとれ」

(会場からは失笑)



 その通り。もうタックルしちゃったんなら、キルをとれ。きっとスカウトやフリートメンバーには超能力級の直観力があって、どの船を最優先に攻撃すべきかをズバリ見抜いてタックルしたんでしょう。彼らを信じましょう。いずれにせよ、すでにタックルしちゃったんなら、そのキルをとりましょう。



 さて、次にFCが考えるべきことは、もちろん「どれを第二ターゲットにすべきか?」

 ちょっとこの辺りの話は飛ばします。だって考えられる? Lauren Creggはしゃべり過ぎよ。

 ターゲット選択をする上で最重要事項は「そいつをタックルしたのか?」です。もしタックルしていないなら、第一候補ではありません。では次のキルをとるためには、どいつを狙うべきでしょうか? どの船を次に沈めるべきでしょうか?

 その判断は全て4つのカテゴリに分かれます。



「キルをとりやすそうか?」「ビッグキルになるか?」「フリートに一番近いか?」「フリートにとって最も脅威になるか?」

 最優先ターゲットを攻撃している間にフィールドをよく見ておいて、「あいつ弱そうだ、次のターゲットはこれ」「あいつ墜とせばビックキルじゃん、次はあれ」「放っておくとやべー奴いるじゃん、次殺せ」「何でもいい、一番近くにいたから殺せ」といった具合に決めるの。

 第一、第二ターゲットに関係なく、この世に存在する全ての船、全ての潜在的ターゲットは、この4つのカテゴリのどれかに分類されます。なので、その船が何であるかは全く関係ありません。関係するのは、「キルをとりやすそうか?」「ビッグキルになるか?」「フリートに近いか?」「フリートの脅威になるか?」この4つだけです。



 「ターゲット指示を出すときの小ワザ」

 船の種類とパイロット名を言いましょう。どの順番で言っても構いませんが、指示は一貫していること、指示を繰り返すことが大事です。ですがおしゃべり過ぎてもいけません。少し手を止めてでも、情報を見逃さないようにしましょう。フリートには最優先ターゲットへの攻撃に集中してほしいけれども、同時に次の動きを準備しなければいけません。ここで少し、2013年に撮影した実際のビデオをお見せしたいと思います。



(以下、「ターゲット指示の実例」と字幕で書かれたビデオが再生される)

[全艦、「Flying Spaghetti Monster」に攻撃を集中、急いで。その次の目標は「Misery」、大急ぎで「Misery」を墜としましょう。優先目標「Misery」、優先目標「Misery」、優先目標オスプレイの「Misery」、「Misery」をキルせよ。第二目標はタイフーン海軍仕様の「Virgin」。全艦「Misery」に攻撃を集中、さっさと溶かしちゃいましょう。早く溶けろ、早く溶けろ、「Misery」め、墜ちろ墜ちろ墜ちろ。全艦「Misery」に攻撃を集中、「Misery」に攻撃を集中。そうしたら攻撃目標を「Virgin」に切り替える準備を。よし、攻撃目標切り替え、タイフーン「Virgin」が現在の優先目標、タイフーン「Virgin」が現在の攻撃目標。こいつは溶けるのが早いぞ。追加のバブルは不要、もう十分よ。残骸を回収次第、タイフーンが墜ち次第、バブルを出ます。赤十字(敵対NPC?)を攻撃するな、もっと出てくるかもしれないしね。残骸を回収次第、なるべく早くバブルを脱出します。よーし、「Virgin」撃墜、「Virgin」撃墜、全員バブルを脱出、バブルを脱出。]



 これは2013年の映像ではありますが、私はこのときのターゲット指示は具体例としてとても気に入っています。何故なら私はこのとき、フリート全員に優先目標に攻撃を集中させるよう指示を飛ばし続けていますが、その一方で次の攻撃目標を準備していますし、同時に脱出の準備もするよう指示を出しています。バブルを出るぞー、深入りするなよー、追加のバブルはもういらないよーって。あなたがターゲット指示を出すときに言うべきことはこれなんです。優先目標を繰り返すこと、優先目標に集中すること、次の攻撃目標を用意すること。けれど第二目標を伝えたら、必ず現在の優先目標を繰り返しましょう。でないと優先目標からターゲットを外して第二目標を攻撃し始める人がでるかもしれません。



 さて、最悪の事態に直面したときの最善のリアクションは「笑い」です。

 信じて。私はフリートがギャンクされたとき、いつも思わず笑っちゃうの。それから、ほとんど毎回同じことを言うことになるんだけど、「あらま、見てよこの残骸の山」って。

 これから見せる映像は、一年半前に立ち上げた新人プレイヤーフリートでのことだけど、えーっと……



(以下、「最悪の事態での笑い1」と字幕で書かれたビデオが再生される)

[男性:オングリッド上にサイノ

Greg:そうでしょうね

男性:(泣き声)

男性:からの、来ましたあなたのスーパーズ(笑)

Greg:来ましたあなたのスーパーズ(笑)

(スーパーズ:大型艦載機母艦(Super Carrier)の集団)

(ビデオでは、フリートメンバーが一同に混乱と狼狽の声をあげている)

Greg:もうやだ、こんなん完全に災害じゃん。

男性:ねえ、新人プレイヤーフリートがスーパーズにホットドロップ食らってるってマジ?

(講演会場からは爆笑の声)

Greg:(ひとしきり笑っている)よし、全員バブルを出ましょう、バブルを出ましょう。それはつまり宇宙空間をダブルクリックして、バブルを出るまで移動しましょう。

Greg:ローカルにいる人間、みんなこれ見て笑ってるわ。何て彼らは冴えてるんだって。

Greg:ちょっと待って、向こうスマートボム使ってないでしょうね。

(撮影者、スマートボムを食らい被撃墜)

Greg:(笑うしかないといった様子で笑っている)

Greg:奴らスマボを使っているわ。バブルを出ましょう、バブルを出ま……そして今度は私がタックルされてるわ]





 画面が真っ白になった彼は、まだEVEを始めてから二日だか二週間しか経っていなかったとフリートのみんなが言っていたわ。

 まあ、こんな感じに。もし物事が悪い方向に転がったら、最善ではないにしても、笑っておきましょう。さっきの映像からほんの一時間後の様子が、こちら。



(以下、「最悪の事態での笑い2」と字幕で書かれたビデオが再生される)

[男性:ゲート先に再びサイノ

Greg:そうよね、もちろんまたサイノが出るわよね。

Greg:構わず攻撃続行、移動を始めるわよ、バブル脱出のため移動開始、バブル脱出のため移動開始、バブル脱出、バブル脱出……はいまた来ました!

(ものすごい数の敵がホットドロップして再び目の前に登場)

Greg:第二ラウンド開始!

(講演会場、爆笑)

Greg:バブル脱出、バブル脱出、バブル脱出、これから私もフリートへワープしますけど……ギャー(爆笑)

Greg:もう信じらんない、見てよこれ!

(ここで撮影者、被撃墜)

男性:これ一体何人来てるんだろう

Greg:見ての通り、全員でしょうね]





 まあ、私はもう新人プレイヤーフリートがホットドロップを食らうなんていう事は、ここ数ヶ月一度もないんですけどね。ここ重要。(訳注:つい数カ月前、新人プレイヤーフリートで再びホットドロップを食らったらしい)だけど、私は「もうやだ、またこんな事になるなんて!」って笑ってる一方で、すぐに指示を出してなるべく多くの人が生き残れるように努めています。





 さて、「多くのFCが陥りがちな“罠”」についてです。

 後でこのスライドはツイッターか何かに投稿しておきますので、見たくなったら参照してください。

「情報過多、または分析硬直」、あるいは視野狭窄の罠。

 私たちFCはみんなこれを経験しますが、少なくとも複数キャラの同時操作はやめましょう。経験を積んだFCでさえもこの状況に陥ります。私自身もターゲット指示を出すことに集中しすぎるあまりに、自分が何も撃っていないことに気付かないことがあります。もしもちゃんと撃っていたら倍のキルがとれるでしょうに。そしておよそ半数の場合で、自分のフリートが壊滅していて自分が最後の一人だっていうことに気が付きません。何故なら私はターゲット指示を出すことにあまりに集中しているからです。これが視野狭窄の罠です。よくあることです。普通のことです。心配しなくても、上手くなっていきます。





 では、これまでの話をまとめましょう。

 FCとしてのあなたの仕事は意思決定です。

 あなたはダメじゃありません、発展途上です。

 フリートの動かし方で覚えるべきは、「出航すること」「ターゲットを見つけること」「ターゲットにタックルすること」「ターゲットをキルすること」「ターゲットの仲間が来る前に逃げること」、これが全てです。

 優先目標の指示は、「もうタックルしてたら、キルしろ」、その次は「キルをとりやすそうか」「フリートの脅威になるか」「ビッグキルになるか」「フリートに一番近いか」、あなたがどれを優先目標ないし第二優先にすべきかを考える上での判断材料はこれが全てです。





 では「どこでFCを練習したらいいのか?」についてです。

 ここでいくつかの組織をご紹介したいと思います。彼らはFCになりたい人、挑戦してみたい人を非常に歓迎しています。

 特に「Pandemic Horde」「Red vs. Blue」「Brave」といった組織です。ですがここでいう「誰でも歓迎!」というのはあくまでそう説明しているというだけなので、例えばあなたがEVEを始めて三日目でもうFCをやってみたいと言っているとしても、戦艦フリートのFCは任せてもらえないでしょう。

 これらのグループのどこかに所属してみてください。彼らは本当にFCを挑戦したいという人を歓迎してくれます。

 他にも「Redemption Road」や「Inspector fleet」といったNPSIグループや、多くの主要なアライアンスが新たなFCの育成をサポートしてくれます。そしてもちろん、あなた自身が所属している組織もそうでしょう。





 それではここに、これまで十数年間に起きた、全ての爆死や笑いに特別の謝意をあらわしたいと思います。

 あなた達に優先攻撃指示を飛ばし、数々の戦闘を引き起こしてきたことをとても誇らしく思います。あなた達は、私がログインする理由そのものです。ありがとうございました。



 このスライドは後でツイッターか何かに載せておきますので、飛ばしてしまった話とかをチェックしたい人は見ておいてください。







(以下、質疑応答が挟まるが、割愛)

2020年7月23日木曜日

翻訳記事:EVE Vegas2019  「誰でもFCはできる!」 講演者 Greygal, Affirmative Part2/3




 さて、次にお話するのは「恐怖」についてです

 何故なら「恐怖」こそが、恐らく人がFCを試したがらない一番の理由です。そして「失敗することへの恐怖」こそ、恐らく一番の恐怖なのでしょう。EVEでは失敗など何一つありませんし、人生に失敗は何一つないと私は考えています。そこにあるのは、学ぶためのとても良い機会だけです。



そしてもしあなたがこれを学びのための良い機会だと考えるなら、いつだってこれを乗り越えることができるでしょう。そこから必ずあなたは何かを学ぶでしょう。



何かを真に学ぶための機会とは、失敗を経験したときだけに訪れます。どんなに正しい方法を繰り返しこなしたとしても、人は成功した経験からは大して学んだりしたりはしません。何故なら成功した体験というのは、「それが正しかった」というすでに知っていることを確認するくらいしかできないからです。ですが失敗の経験からは、そこから多様な知識を得て、自分を成長させることができます。この事は次の項目、「ダメになることへの恐怖」にも関係します。



 「ダメになることへの恐怖」ですが、何が起きてもあなたは決してダメではありません。学び続けています。そして学び続ければ、自分を成長させることができます。自分を成長させていけば、そこから何かを生み出せるようになります。そうでしょう? だからダメになることを恐れる必要は何もないんです。



 私はこれまで何度も、新規プレイヤーフリートがハイセクでギャンクされたりしました。ですがそれはそんなに悪い事でもありませんでした。信じてください。まあ、確かに最悪ではありますが。しかしその時のメンバーは今でも私と一緒なわけですし、私も何か正しい事をしているはずです。あなたが学び続ける限り、成長します。そして成長がある限り、一緒に戦うメンバーも成長し続けます。何故ならあなたは、彼らの専門とする役割に対してより多くの実践的機会を与えることになり、彼らはそこから成長することができるのです。



 さて、「船を失うことへの恐怖」についてです。

 

全ての船はEVEの中では一時的な存在です。船は全て消耗品です。船に恋してはいけません。船は結局破壊される代物です。出航したなら、その船は墜ちるかもしれないと考えましょう。出航する人は誰だって(特に私は)その船を失うかもしれないことを知っています。いいですか? 事実、私がフリートを生きたまま帰すと、ある意味がっかりする人がいるんです。だって戦闘がなかったって事ですからね。全ての船は消耗品です。その事が本当に心配なら、乗る船はフリゲート艦や駆逐艦から離れないことです。安い船から離れないようにすべきでしょう。



あなたがFCをやるからといって、メンバー全員に船を提供することはありません。そうするとメンバーはあなたが船をくれるからついていくようになります。フリートに参加したいからついていくとか、フリートで戦いたいとか、楽しみたいからついていくという事がなくなってしまいます。なので、船を失うのが本当に心配であるのなら、ルーキーシップに乗って出かけるべきです。ルーキーシップに乗ってフリートに参加するのです。私も最初の年にそんなフリートを立てましたが、楽しい大爆散でした。



そのようなフリートでは平均して2Bのキルをとられていました。ですが、誰もそんなことは気にしたりしません。

さて、「知らない船に対する恐怖」に移りましょう。私だって全ての船を知ってるわけではありません。十年以上EVEを遊んでいますが、船を全て知り尽くすことはないでしょう。どんなフリートでも、必ず一人はEVEの生き字引博士のような人がいます。その人を頼りましょう、信頼しましょう、そして質問しましょう。つい先週、私にもそういう事がありました。何でしたっけ、あの、キ、キ、キ……キキモラ! 何なんですかあれは! って訊くと、仲間からキキモラについて20字程度の簡単な説明が来て、その後に「それは違うよ!」と別の方から突っ込みが入り、そこで議論が始まったり……まあ、その時すでにキキモラは目の前にいなかったんですけど(笑)。



いずれにしろ、私だって何だか知らない船を相手にしますし、全ての船を知っているわけではないのです。重要なことは、そしてあなたが集中すべきことは、大まかに船のタイプごとの違いをそれぞれ把握しておくことです。フリゲート艦は特に大人数になるとちょっとした蚊の大群のように素早い群れになるとか、インターセプターはタックルする上で非常にタフであるとか、駆逐艦は高火力紙装甲なので、単騎でゲート付近に浮いていたらタックルされる以前の問題ですぐに死んじゃうとか。



いいですか、それぞれの船の種類ごとの違いを大まかに知っておいてください。例えば戦艦がゲート前で座っていたら、スマートボムを積んでいるか、めちゃくちゃ装甲を盛った囮だろう、という具合にです。こういった事は、あなたがプレイしていくうちに学んでいくものです。ただ、船の種類ごとの一般的な違いであったり、それがあなたの船やフリートとどう相互作用するかしないかという知識は、まあ、フリートに参加したりしてあなたもすでに十分知っているでしょうが、もしあなたがプレイ開始一日目のプレイヤーで、その一日目にFCをやるとすると(あり得ないことではないです。やるべきとは言いませんが、出来ないことではありません)、するとまだこういった大まかな知識はないはずです。ですが、大まかに船の種類ごとの違いを把握する程度であるなら、〔FCに求められる知識としては〕かなり簡単だと思いませんか?



 さて次は、「EVEのプレイ歴が長くないことへの恐怖」です。もう、これは私も聞くたびに死にそうな気持ちになります。「私、そんなに長くEVEをプレイしていないし」とか「私、全然EVEをうまくプレイできていないし」とか、誰かが口にするのを聞くたびに死にそうになります。問題はFCに挑戦するまでに長い待ち期間をつくってしまうと、その期間にあなたの視野が凝り固まってしまう危険があるのです。何かを学ぶにしても決まった視点からしか見えず、自分からリスクをとる可能性は低くなり、それが逆に、リスクを呼び寄せることに繋がる。アプローチ手法もより決まりきった方法しかとることができなくなり(何故なら自分が学んだ方法はこれなんだもの)、自分から何か挑戦しようとしたがらなくなる。

なぜ私が人になるべく早い時期にFCを経験しろと強く推奨するかというと、それがとっても安上がりだからなんです。そして早い時期なら、実際に安上がりです。幸い、私たちは準備しておけば戦闘で死んでもポッドやインプラントにお金を払う必要はなくなりましたし。



 さて、それでは具体的にFCをやる上での話に入りましょう。

 第一に、「シンプルにとどめよ!」

 船の種類は一種類にとどめることです。フリゲートのフリートで出るにしても、駆逐艦のフリートで出るにしても、あるいは私が長い事お気に入りにしている「キッチン・シンク・フリゲート&デストロイヤー」で出るにしても、フリート全員、船の種類はひとつに統一しましょう。それもあなたが一番よく親しんでいるものに統一しましょう。もしフリート全員が概して同じ種類の船であるなら、戦闘になったときに何がおきるかはずっと予測しやすくなります。フリゲート艦のフリートであるなら、広大なシステムでも素早くワープできますが、誰か一人でも戦艦のレイブンに乗っていると、全ての行動において移動時間は三倍かかるでしょう。もしフリートの誰かがどうしてもレイブンに固執するようならば、いっそレイブンをもう二隻渡してみましょう。彼は囮に使えるかもしれません。



 フリゲート艦や駆逐艦など、あなたが十分に親しんでいる船でフリートを統一するのは賢明な判断です。しかし、やった事のない違う手を試してみるのも悪くありません。ひょっとすると、どうしてもスタッバー艦隊でフリートを組みたくなるかもしれません。でも絶対に最初のルームでやらないで下さいね。



私は特に最近、ごく短射程の殴り込みフリートでさえもむちゃくちゃ面白いことを知りました。高いDPSで、相手の顔面を殴る。標的の目の前にワープして、目と鼻の先に集結して、相手を殺して、標的が仲間を呼んでも追手が駆けつける前に退散する。たったこれだけです。ですがこの作戦は、フリート全体の範囲をどう保とうとか、レンジコントロールをどうしようとか、アンカーが誰だとか心配する必要がありません。アンカー……ハア、こういう時にも必ず誰かが「それでェ~、アンカーは誰なのォ~?」って訊くもんだから私も泣きたくなりますよ。「いないの! あなたが乗ってる船でしょ、あなたが操縦するの! 私が代わりに操縦したりしないの!」こんな事もありますが、短射程殴り込みフリートは本当にシンプルです。ただ標的に向かってワープしてキルをとってくるだけです。



 さて、少なくともFCを始めてから最初の数回は、一人ないし二人のスカウト役から情報をもらうようにしたいものです。何故なら情報過多による過負荷は、マジで脅威です。そして情報が氾濫すると、人は動けなくなります。例えば二人のスカウトを別々の場所に送って、そこから異なる偵察情報が同時に流れ込んできて、あなたはただ画面の点を見つめながら「よし、状況を整理しなきゃ。あの船はどこへ行った? 自分たちはどこにいるんだ?」って考えていると、そこへ別のスカウトから隣のシステムでの偵察情報が入ってきたりして、そうなるとあなたは二人の異なる偵察情報を行ったり来たりしてしまい、今何が起きているのか、何をすべきなのか、決めきれなくなってしまいます。そしてこれは、あなたが抱えるスカウトの人数が四人や五人へと増えるほど、流れ込む情報量に飲み込まれて悪化していくものです。なのでスカウト役は一人か二人にとどめましょう。それはスカウト役との良い人間関係を構築する助けにもなります。



 あなたはFCとして、スカウトと良い関係を築きたいですか?

 ならば「楽しい場にしよう!」いいですか、あなたはパーティー主催者です! 

私はこれまで、テーマをつけたネタフリートをけっこう立ち上げたりしてきました。「ルーキーシップフリート」や、「観光ツアーフリート」といったもので、その目的や勝利条件はただその場所にたどり着くことで、「B-Rに行こうぜ!」「今日はタイタン『Aki』を見に行こう!」といった具合でした。



なので道中に襲撃されて完全に壊滅させられても、依然として私たちの勝利です。だってラッキーなことに戦闘があったんだもの。それが私たちのログインする理由ですもの。そして、もし何事もなく目的地に到達できたとしても、やっぱり私たちの勝利です。だって私たちは目的地に到達できたのですから。それにもしかしたら、帰り道でグットファイトがあるかもしれません。それは誰にも分かりません。



 それと観光ツアーフリートというのは、何かを挑戦してみる場としてとてもよい機会ですし、新人FCが一番最初に経験するフリートとして非常にいい選択肢です。何故なら「達成すべき戦略的目標」といったものをあまり心配する必要がないからです。何よりシンプルです。目的地を設定して、出かけるだけ。



2020年7月22日水曜日

翻訳記事:EVE Vegas2019  「誰でもFCはできる!」 講演者 Greygal, Affirmative Part1/3

※ 元動画は45分にも及ぶ長いものです。そのため、字幕ではなく文字起こしと翻訳をしてもらいました。

翻訳者:渋丸

元動画

この動画について

FleetCommanderに挑戦してみることを奨励し、その方法に焦点を当てた講演です。内容はFCのやりかた、意思決定、FCをする際に理解しておくこと、新人FCがやりがちなミス、ヒントなどetc
恐れてFCをすることに足踏みしている人たちの手助けになるでしょう :)

以下、文字起こし(翻訳文)


カフェインは十分にあるかしら。(Greg Ellがコーヒーを飲む)

もういい? 始めるわよ?


皆さんこんにちは、Greg Ellです。

EVEのプレイ歴は十年以上。FC(Fleet Commander:艦隊指揮官)歴は、良いのか悪いのか八年以上になります。

今回は、私のこれまでの体験や不運な出来事を共有することで、是非ともあなたから、思い込みを取り除き、でっかい椅子に座ってもらって、あなた自身がFCになることを後押ししたいと思っております。

我々にはFCが足りません。圧倒的に、EVEにはFCが足りません。



(プロジェクターに映し出される)

さて、まず第一に「フリートとは何でしょう?」



EVEでフリートとは「基礎となる社会的グループ」です。

多分、「思っていたのとは違うことを言うなあ」とお考えでしょう?ですが現実にそうなのです。フリートこそが基礎であり、最も根本的な社会的つながりです。そこで私たちは信頼を築き、共にはたらく方法を学び、チームが構成され、そこで私たちの中に忠誠心のようなものが、自分のコーポレーションやアライアンス、特にFCに対して芽生えるのです。



もしあなたがコープのCEOやアライアンスの執行役員なら、FCにはよくしておくべきでしょう。何故ならプレイヤーたちが最も信頼を置くのは、実際に彼らにコンテンツをもたらす人です。もしあなたがFCに意地悪なら、まあ、悪くは言えませんが、FCは去ってしまいますし、一緒にたくさんのアクティブメンバーを引き抜いてしまうでしょう。
なのでFCにはよくしておくべきですし、特に新しいFCの誕生を推奨すべきです。



さて、脇道はこれほどにして。



フリートとは大変に、大変に重要なもので、何か活動したりEVEで勢力を維持する上で決定的な要素であります。

ここでいうフリートとは、単にPvPフリートだけでなく、全ての種類のフリートを指します。

何故なら人がフリートに参加する時期が早ければ早いほど、他のプレイヤーと接触する可能性はより高いわけで、EVEはソーシャルゲームなのですから、そういう人はより高い確率でログインし続け、このゲームに長くとどまるのです。

いかにフリートが勢力の維持に重要なことか。

 フリートこそ、私たちがログインする理由です。

まあこれについては統計的な証拠がありまして、たくさんの統計がありますが、今回はお話ししません。



 今から八年前、私はAgony unleashedというコーポレーションとアライアンスに入り、そこで2006年から2016年までPvP Universityという小さなプロジェクトに携わりました。

Agonyは第一の、いわゆる自由参加なコミュニティで、月に数回は「PvP 基礎講座」というものをひらいていました。

これは数時間の座学と実戦練習があるクラスで、十数年間で一万人近くのプレイヤーがこのPvP基礎講座を受けていきました。そのクラスを私も受けましたが、私は本当にこれが気に入って、彼らのお陰で私は今でもプレイしていますが、結局私もここに加入しました。私はどうしてもPvP Universityに入りたかったし、クラスを受け持って指導して、新たなプレイヤーを送り出したかった。何故ならあそこは新しいプレイヤーとPvP初心者が混在する場所で、私は最初、何カ月も何カ月も何カ月も勉強して学ぶべきことを全部学び、教えるプロセスを学んだり、どうやってクラスを運営するかを学び、そしてようやく彼らは私にこう言ってくれました。



「よくやった。これからは君がクラスを受け持って、フリートを指揮するんだ。これから君はPvP基礎クラスを卒業するんだ」



こうして、60人ほどのフリートの中に33人ほど新しいプレイヤーを連れて(私の言う新しいプレイヤーとは、始めて三カ月未満の人のことですが)、一行はハイセクにやって来ました。そこで私はどうやってアラインするとか、ゲートをくぐるときの戦略だとかを説明していましたが、そのとき誰かが「ローカルにレッドがいる」と言い出しました。私はというと「まあ、ここはハイセクだし。ハイセクでレッドに出くわしても心配ないわ」と思ったのですが、すると突然「ドカン!」……ハイセクで、フリートは、すっかり、ギャンクされました。一人残らず撃墜されて、フリートで唯一死ななかったのは私だけでした。



 さて、どうしてこの話をするかというと、もしあなたが一番最初に参加したフリートでハイセクにいるにも関わらずギャンクされたとしたら、それは誠に、誠に最悪な出来事でしょう? 誰でも「ハア~、二度とやらんわこのゲーム」って思います。ですが、この最初のクラスにいた87%の人は一年後も遊び続けました。



ちなみに、このクラスで私はけっこうしくじりまして、だいだい六回、フリートを完全に壊滅されました。とにかく、87%の人はその一年後にも遊び続けていて、三人は、その後ログインしませんでした。



続いて二年後、66%の人が継続して遊んでいて、三年後、60%の人が継続していました。あの日から今日に至るまで、当時33人いた新しいプレイヤーは全員プレイを始めてから三カ月未満で、中でも四人はプレイ開始から一週間未満でしたが、12%のプレイヤーは今でもEVEを遊んでいて、その内一人は当時まだプレイ開始から一週間未満だった四人の中にいました。



Agonyは長年、驚異的な記録をあらゆる教室のあらゆるプレイヤーにもたらしました。クラスに参加したプレイヤーには新規プレイヤーもPvP初心者もいましたが、私は彼らのデータを全て分析しました。PvP Universityが運営されていた十年間、平均で82%、82%のプレイヤーは一年後も遊び続けていました。



私がAgonyに入ってから二年半後、Redemption RhodesとAffirmative Allianceが始動し、Redemption Rhodesはパブリックルームとして使われ、そこには「new bro room」と短く呼ばれるルームが設置されました。

そこでは教室が毎月ひらかれ、私は過去六年間で約六千人のパイロットを輩出しました。クラスは単なる日ごと開催のクラスで、20分ほどの説明やそこら辺を飛び回りながら私は毎回全部説明していましたが、平均して70.5%の新規プレイヤーがその一年後にも遊び続けていました。



この二つの組織から得られた統計を全て精査してみると、私はあることに気が付いたのです。だってクラスはパブリックなのだから、みんな異なるバックグラウンドを持っていて、異なるコープに所属して、異なる環境、異なるアライアンスに所属しているわけです。

たったひとつ共通しているのは、彼らはPvP初心者だということと、彼らはフリートに参加したという事実です。実はフリートに参加する時期が早いほど、EVEを長くプレイしているのです。



そしてすでに一年ほどプレイしてから初めてPvPフリートに参加した人の一年後のプレイ保持率は、PvPフリートに参加しなかった人たちと比較すると、それぞれ60%と65%でした。プレイヤーが特にPvPフリートに入るまでの期間が長いほど……マイクの音量失礼……まあPvPこそが私たちがEVEを遊ぶ動機なわけで、これがEVEの最も遊ばれているコンテンツなわけで、これに参加するまでの期間が長いほど、彼らはフリートに参加する可能性が少ないのです。ですがもしプレイヤーがフリートに参加する時期が早ければ、彼らは自分からフリートを探すようになりますし、よりフリートに参加するようになりますし、フリート活動のあるコープに加入するようになります。それはフリートの種類によりません。つまるところ、FCの数が必要なのです。さらに言えば、フリートがもしハイセクで完全に壊滅させられても、彼らはEVEを辞めたりしないかもしれません(笑)。



さて、一体「フリート・コマンダー」とは何でしょう? それは意思決定者です。それがフリート・コマンダーの第一の仕事です。あなたの仕事は、何かを決定することです。決してFCをやりながら同時にロジを走らせることでも、キャラを同時操作することでもありません。

あなたの仕事は意思決定であり、フリートでは決定すべき事がたくさんあります。そして最も重要な意思決定は、もちろん「役割の委任」です。メンバーに役割を任せるほど、フリートのメンバーはより深くフリートに関わりますし、より真剣にあなたと行動を共にするようになります。役割を任せられることで、彼らはフリートの一部になり、フリートの生命を一部担うことになります。そして実際、メンバーに役割を任せることでフリートの効果はより高くなります。

誰だってヒーローになりたいのです。フリートに参加した人に仕事を振って役割を委任することは……例えばスカウト役やブロードキャスト役、マップ監視役、ローカル監視役……任せられる仕事は全て任せるのです! 何故なら任せることでフリートメンバーはより深くフリートに関わることになり、より深く「これは大事だ!」と感じるようになります。だって事実だから! メンバー抜きのフリートなんて、残るのはあなたとあなたのオルトだけです。





 さて、次に重要な意思決定は、「何をもって勝利とするか?」です。そのフリートにとって、何をもって勝利条件とするのか。

EVEはご存じの通り、サンドボックスゲームです。誰かは「キルボードが重要だ」と考えて、それを勝利条件と考えますし、誰かは「敵を全員やっつけた」ことを勝利条件とするでしょう。それはそれで構いません。ひょっとすると「私たちは決して落ち込んではいないから、私たちの勝ち」と考えることだってできます。

 

あなたは何をもってフリートの勝利とするのか決めなければなりません。それは例えば全宇宙をぐるりと一周することかもしれませんし、ある目的地にたどり着くことかもしれません。あるいは一定のISKを稼ぐことかもしれませんし、ローカルに大量のメッセージを投稿することかもしれません。この事はまた後で触れます。何故なら、あなたがパーティーの企画者なのです。あなたがフリートの種類を決めて、その勝利条件を決めるのです。



 さて、「なぜあなたはFCをすべきなのか?」それはあなたがコンテンツを求めているからです。ログインする理由を求めているからです。

 あなたがFCをすべき第一の理由は、「ログインする動機を求めているから」です。誰も義務的にログインしたくはありません。まあ、特にしばらくFCをやっていると、次第にそれが義務的に感じられるようになってくるでしょうけど。



ログインするのは、人が自分にFCをやってフリートを動かせと言っているからだと感じるようになってきて、そうなると楽しみは感じなくなってきます。これはあなたがもう少しプレイしてFCとして経験を積んだときに考えるべき問題でしょう。



ですがそれは私も経験してきた逃避の一種です。ログインすることが義務的に感じてくると、プレイがそこまで楽しくなくなり、「ログインするのはしたくてやっているんじゃない。何かコンテンツが欲しいわけでもない。人がやれと言ってるからだ」と感じるようになります。

 

さて、あなたはログインして仲間と遊びたいわけですし、アクティビティを増やしたいわけですし、勢力を維持したい。コープとアライアンスにとってFCがいるというのは、コンテンツを提供する人がいるということです。たとえ誰もがいずれFCをやりたがらなくなるとしても。それがアクティビティを増やして勢力を拡げます。



あなたはより良いフリートメンバーになりたいはずです。例えあなたが長いEVE歴の中で一度しかFCになったことがないとしても、その経験があなたをより良いフリートメンバーにします。どのようなフリートであってもです。

何故ならFCを経験することで、FCのすることがどういうものか、より良く理解できるわけです。このFCが何を求めているのか、より良く察することができるのです。そのフリートに求められているサポート役をより良く実際にこなせるようになるのです。



例えばスカウト役だったり、ブロードキャスト役だったり。そうすると、より深くEVEというゲームを理解したくなってきます。それも究極の実践的な意味での知識で。だって、船のステータスや装備を完全に記憶していても、実際に戦ってみるとそんな記憶はちっとも役に立たなかったりするでしょう? 戦況は常に進展します。状況は常に変化して、進展して、船のグループが別のグループとどのように関わるかは、刻一刻と、FCがどういう決定をしたのかというシンプルな理由や、フリートメンバーの行動、どういうフィットか、どこに位置していたかによって変わるのです。



例えば30隻のデストロイヤーで構成されていたフリートが、5隻のコンフェッサーを完全に壊滅したとしても、次の日にはこの5隻のコンフェッサーがあなたのフリートを壊滅に追い込むかもしれません。何故なら状況はあらゆる膨大なパラメタに依存して進展するからです。だからこそ、より実践的で現実的な、生きた経験を学んだり練習したいわけです。そうすれば、何か役割を任されても、本当により良い生きた知識を発揮できるようになります。



私個人としては、自分のことを「仕事を任せるのがうまい」と考えていたのですが、FCをやるようになって、はるかにずっと良く仕事を任せられるようになりましたし、フリートのメンバーをより深く信頼して、彼らの働きを信頼するようになりました。私が人に何をしてほしいか頼んで、彼らの働きに任せると、彼らは非常に奮起して挑戦に取り組みますし、期待をはるか高く越えた仕事をします。



あなたが人に仕事を任せるのが下手なFCなら、彼らはとても助けになります。FCをやることで、どうすればより良いコミュニケーションをとれるかや、より連絡を手短に、簡潔にとる方法を学ぶことができます。例えばFCがスカウト役に「よし、君は今からあそこのゲートにワープしてアラインして、その辺りにこれこれのような奴らがいないか見てきてほしい」と言いたいなら、言うべきことはこれだけです。「出口ゲートを見てこい」。あなたの指示が悠長すぎて、その指示を聞いている間にフリートメンバーが動けないとすると、まあ、敵を殺す機会を逃しますし、その間にフリートのみんなが殺されるかもしれないし、悠長な指示はメンバー全員の邪魔になります。「冗談じゃないよ、俺はもう12年もスカウトやってんだぜ。何をやりゃあいいか分かってるよ、いちいち言わなくていい」っていう事になります。



 誰だって船を出航するときは、そこに異なる新しい体験があることを期待しますし、実際にそうです。その先で何が起こるかは誰にも分かりません。出航した先は、全宇宙のあらゆる地点が目的地になる可能性があります。何が起こるか、誰が知っているというのでしょう。ホットドロップを食らって撃墜されることになるかもしれませんし、もしかしたら輝かしいキルをとることになるかもしれません。誰にも予測はできません。




2020年7月19日日曜日

出張!ONCBN従軍記 #3 思い起こせばローセク

文字通りの世界大戦が始まった。世界大戦を経験したことのない世代にはわかりづらいかもしれないが、自分たちが住む土地が戦場になるとなかなか緊迫感があるものである。

Goonswarmの本拠地であるDelveが主戦場であると思われるかもしれないが、実際のところはその北方のFountainが激戦地である。連合軍は隣にあるローセクリージョンのAridiaから出撃し、ハイウェイや周辺のストラクチャを攻撃しまくっているのだ。何度も何度もフリートが立ち、すでに数千人規模の戦いも何度か起きた。
まあそれでもヌルセクの戦いである。全力のローセク勢、Snuffed OutやSiege Greenがどっかんどっかん来ない分、こちらの土俵なのだ。

というのもこの戦争の少し前、ImperiumはPracidリージョン方面に派兵していた。上で名前を挙げたSnuffed Outの勢力を削ぐためで、手の長いFRTやPanfam、そしてSiege Greenが相手側におり、ローセクでバチバチやりあっていたわけである。この戦いで思い知ったのは、ローセクをホームグラウンドとする勢力とローセクで戦うことの恐ろしさである。戦略目標となるSnuffed Outのストラクチャ群への大打撃こそ達成したものの、主力艦を中心とする艦船に大きな損害を負うことになったのだ。

あの日も・・・そう、あのフリートは最初の空気からして違っていた。頑丈さでは定評のあるサクリッジ艦隊。そして出撃する主力艦群。普段ならサブ・キャピタル同士で乳繰り合って、何かの拍子で主力艦が出たら御の字・・・というような具合だが、今回は最初から主力艦で殴り合う気満々に見えた。到着したところはもちろんローセクで、ファイナルタイマーのアシュトラハス。

そして、相手が繰り出してきたのは恐怖の象徴であるマカリエル艦隊だった。オーバービューが真っ赤に染まったかと思うとランディングするマカリエルたち。しかもFAXこと軍事力補強母艦を背負っており、堅守の構えである。



相性が悪いのだ。戦艦はHPも多く、サクリッジ艦隊の斉射でも容易には落とせない。そもそもが高価なモジュールを満載しているマカリエルは想像をはるかに超えて硬く、しかも相手からすればミサイルが発射されてから余裕をもって回復を要請できる。主力艦の回復をこなしきるFAXの回復量をTech 2とはいえ巡洋艦で抜くのは厳しすぎる。対してこちらはマカリエルのボレーダメージは荷が重く、集中するターゲットペインターがサイズの優位を打ち消し、ミサイルの射程距離内を遊弋することすらできない。必然的に艦隊は射程距離・ターゲット距離ギリギリで踊ることになり、ますますミサイルへの対処は簡単になる。しかも相手はスマートボムを満載した専任の戦艦を前面に押し出し、飛んでくるミサイルを焼き払っているのだ(これはファイアウォールという戦術)。あまりにも厳しい。厳しすぎる・・・のだが、Imperium側はこれに対して艦載機母艦を投入。遠距離からマカリエルやアシュトラハスを削る作戦に出る。サクリッジ艦隊は終始有効打を打てなかったものの、アシュトラハスは順調に削れ、ついには爆散した。

だが今回のメインはここから始まった。退いて艦載機を収容していた艦載機母艦が捕まったのか、あるいは別の理由があったのか、今度は味方のアシュトラハスの上で主力艦同士の戦闘が始まったのだ。ローセクの雄たるSiege Green、Snuffed Outに加えてFRTも参戦し、混迷度を増す戦場。結果的に両陣営は、アシュトラハス直上にありったけの攻城艦をドロップすることになった。



完全に絡み合う主力艦のアイコンの塊がアシュトラハスのサイズを超え、壮絶なすり潰し合いが始まった。悲しいことにサブキャピタル戦で言えば前述の通り相手側が圧倒的であり、攻城艦の間を縫うように、悠々と戦場の中心に居続けるマカリエル艦隊とは対照的に、外周部にいて有効打を与えられないサクリッジ艦隊。そして攻城艦の性質も異なり、Imperium側の攻城艦が1,000,000 HP、下手したら700,000 HPくらいのダメージで沈んでいたのに対して、相手は1,400,000 HPと圧倒的に硬い。攻城艦を消耗品として使うヌルセク勢力と、決戦兵器として使うローセク勢力の違い、すなわちこれは攻城艦乗りがAmuletインプラントを差しているかどうかの違いなのだろう・・・。青と黄色、赤が絡み合う塊から、やがて青だけが消えていった。
壊滅である。

被害額がすごかった。小競り合いでこの規模になるのが大手同士の激突の怖いところで、結局ほとんどの味方攻城艦は生きて帰れなかったようだ。ううむ、あの距離で殴り合ったらしょうがない。結果、何度目かになる主力艦の大幅な輸送がまたしても発生することになった。やはり戦場は各艦船、各艦隊の連携、そして支配力、かけるときにお金をかけるちからが問われるのである。

ただし、これはローセクのでの話。バブルが幅を効かせるヌルセクではほとんどの場合高価なインプラントなどは使用されない。現在のところ一進一退を繰り返すTESTを始めとする諸勢力とImperiumとの戦闘で、また面白い闘いがあれば触れていこう。何・・・戦闘はそこら中にあるし、おそらく長く続くだろう。