元記事:https://imperium.news/blackout-chaos-mer-july-2019/
※この記事は8月23日に投稿されたものの翻訳です。
注意:この記事にはグラフが含まれます。(訳注:アレルギーをお持ちの方は注意)
八月二十三日、ついにCCPは七月の月間経済報告を公開した。ここINNでは、四半期ごとにこれらのデータを分析して経済の動向についてお伝えしてきたが、EVEに起きた様々な変化を鑑みて、今月は年間の総まとめでみる経済動向を深掘りします。九月・十月の経済動向についてはまた次回。
ではまず、EVEに何が起きたかについて、おさらいしよう:
「現在、ISKの流出入はバランスが崩壊している。ISKの総量は多すぎ、流通速度も十分ではありません。経済は根本的に様々な問題を抱えており、我々はその問題解決に取り組むつもりです。なので今後、様々な変化があると思ってください」
「六カ月前、資源とISK流入の傾向がいよいよコントロール不能な状態に陥り、何か介入が必要だとして、我々は[経済の]問題に重点的に取り組みました」
Carnerosが「CCPにとって、経済は動向を注視する重要な指標のひとつなのか?」と問い、以下の回答を得た。
「[CCPは]ずっと[動向を]注視していますが、ISKの異常流入という危機的状況は脱しました。ご存じの通り、ヌルセクにおけるPvE収入は全てのカテゴリで減少しています。加えてマーケットの関税にも修正がかかり、経済危機は完全に脱したとみて間違いないでしょう。次のアップデートによって、我々は富をどのように再分配することが、採掘やラッティングをしているプレイヤーにとってより価値ある形になるか調整する予定です。何せ[経済は]赤字状態になるのですから」
この事から、CCPはEVEの流出、流入、経済動向についても注視していることがわかるだろう。ブラックアウトの影響が全て含まれる七月の月間経済報告は、まさにCCPが過去数年間で最も注目しているデータだと言える。
だが、月間経済報告を月別に見ていくのは難しいものがある。どんな月にも戦争などのイベントが起きることから、その月のデータや変化が見えにくくなることがある。我々は主に今年度の春季のデータに注目し(これは過去二年間で懸賞金収入が最も高い水準だった頃)、そして長期的な比較のために二〇一七年~二〇一九年のデータもいくつか用いる。二〇一七年より過去のデータとなると、スキルインジェクターの実装が二〇一六年二月、シタデル実装が同年四月と、EVEの経済に根本的な変化をもたらした時期をいくつもまたぐため、今回は難しいと判断した。
根本に立ち返れば
Hilmar氏はISKの流出入はバランスが崩壊していたと言及し、Rise氏は今年度の初期にこれらはコントロール不能な状態にあったと述べた。流入のグラフを見ると、去年八月に高値をつけてから二〇一九年一月まで増加傾向が続き、以降は下落している。流入とは、EVEの経済に流入するISKのことを指し、ここでいう主要とは懸賞金・消耗品・インカージョンの支払いを指す。この図は月間経済報告からも見られる。
今年度のはじめ、CCPはラッティングによる懸賞金を下方修正した。三月、ヌルセクにおけるアノマリの生成回数が増加し、ファーム行為が疑われる場所へのアノマリ生成確率が減少した。四月、Fighter(艦載戦闘機)とNetworked Sensor Array(ロックオン性能向上MOD)の性能が見直された。またこの月はHigh Angle Weapons(高角砲)にも修正があった。これらは全て懸賞金による収入を減少させる要因にはなったが、この影響のほかに、懸賞金が減少する傾向をつくった隠された要因がある。先ほど出したグラフは二つとも月別のものになるが、これを日別に見ていこう。
ここで日別の変化を月ごとに見ていくのは、その方がかえって全体の傾向とイベントの対応関係がはっきりと見えてくるからだ。例えばこの日別にプロットされたグラフを見ると、チャットサーバーに大規模な不具合が発生したとき(一月十三日)、その日の懸賞金による収入は前日比で約1兆ISK(1 trillion ISK=1T ISK)も落ち込んだ。この下落はすぐに持ち直したが、それはチャット機能がある程度復旧したことや、誰もがこの不具合は短期的なものになるという見通しを持っていたためでもある。ブラックアウトが発生した時期を見ると、懸賞金収入は一日で1.3T下落し、その後の回復傾向も伸び悩み、ブラックアウト発生前に比べて1Tほど低い水準に落ち着いた。ブラックアウトが定着したという見通しが広まるにつれ、特にサブキャピタル級でラッティングをしていた人は他の金策を探すだろうことから、八月のラッティングによる収入総量は七月と比べて減少すると考えられる。九月に予定されるサイノ機能の修正によっては、さらなる下落も予想される。
上に掲載したグラフを見ると、ブラックアウトの影響がはっきりと見てとれるが、これについては手短にとどめよう。ここではHilmar氏とRise氏が懸念していたある要素について解説しておきたい。経済圏をめぐるISKは流入するだけのものではない。そこには流出もあり、EVEの経済圏から出ていくISKも存在する。これらは主に税金(またはCCPが言うに、関税)、ブローカー手数料、そしてLPストアでの支払いが占める。下のグラフは二〇一七年度の流出と流入のデルタをプロットしたものだ。デルタの計算には月別経済報告の流出と流入の値を用い、流入から流出を差し引いたものをデルタとした。これは毎月、どの程度のISKがEVEの経済に持ち込まれたか(デルタが負の場合、どの程度流出したか)を意味している。
この図は二〇一八年と二〇一九年の間に、毎月膨大なISKの流入があったことを示している。読者の慧眼をもってすればお判りいただけると思うが、このグラフの傾向は先ほどの流入のグラフとほぼ一致する。つまりこの期間、流出はいくらか安定していたということだ。それもそのはず、税金、ブローカー手数料、そしてLPストアでの購買というものは年間を通してそれほど変動するとは考えにくい。図を見ると、今年初めに懸賞金収入が減少するにつれて流入と流出の差は縮まり、六月にはその差21T、七月はブラックアウトによる落ち込みがあり3Tの差となった。八月のラッティングは七月に輪をかけて減少したとの報告や、関税やブローカー手数料が大幅に引き上げられたことを考えると、八月はついにこのグラフがマイナスに転じることが予想される。それはつまり、EVEの経済圏全体からISKが流出をはじめるということだ。
ここで注意したいのは、ISKの流出はEVEの全プレイヤーの活動に基づく一方で、流入に寄与するのは一部のプレイヤー(例えばミッションランナーやインカージョン、ラッティング)ということだ。
アステロイドの下で
さて、ここまでは全体を俯瞰して何が起きているかを見てきた。流入と流出はバランスが崩れていたが、今は釣り合いがとれており、来月にはマーケットの税金にテコ入れが入ることからマイナスになることが予想される。これはCCPのRise氏やHilmar氏が、流入に手を打つことでプレイヤーを再び宇宙に駆り立てる必要があると言及したことからも裏付けられる。
それではそろそろ、みんなが気になる別の話をしよう! まず最初は採掘、生産、そして破壊のグラフを見ていこう。こっからは飛ばしていくから、しっかりシートベルトを締めていけ!
グラフに表示した採掘量の計算は三十日間の移動平均から求めた。下のグラフは、五月一日から八月十八日にかけての採掘量で、これはブラックアウト発生から一カ月の動向をちょうど含んでいる。
グラフのスパイク(急激な上昇)箇所は、採掘の活発化を示している。これはドリフターズの侵攻開始によるImperium(Goonswarm勢力)の撤収とちょうど相関していて、その後ブラックアウト発生直後にフリートがいくつも立ったこととも一致する。他の地域でもこの時期、採掘活動が活発化したが、これについてはまた後ほど触れることにしよう。だが七月の終わり頃になると、採掘量はドリフターズ襲来やブラックアウト以前の水準まで落ち着いた。このグラフを伸ばして一月の様子まで見てみると、採掘は長期に渡って下降傾向にあったこと、そしてその傾向は懸賞金収入の落ち込みと似ていることがわかる。ラッティングに比べて採掘収入が高い水準を維持してこれたのは、おそらくヌルセクで採掘に使われる船として、採掘艦よりロークアル(採掘支援母艦)が多く採用されているためだろう。ロークアルはPANICモジュールを搭載できるおかげで、比較的安全に宇宙で活動ができるのだ。ラッティングについて言えば、サブキャピタルに乗って活動する人が大勢いる。サブキャピタルに乗っていた層がラッティングを減らすと、懸賞金収入はそれだけ顕著に落ち込む。サイノ機能が変更されることで、九月は採掘量も減少することが予想されるが、八月のラッティング減少傾向と同じ理由で採掘量も八月は減少するのではないかと考えている。
そしてここに、同じ時期についてまだ紹介していない二つのデータがある:総生産額(最終生産物に限る)と、総破壊額だ。もちろん誰もが気になるのは、どれだけのモノが派手にブッ壊れたかを示す総破壊額だろうから、これからそれについて深掘りしていく。
正直に話そう、本当はブラックアウトを境に何か変化がグラフに現れるんじゃないかと期待していた。だがグラフを見てわかる通り、総破壊額は一週間周期で安定して日曜日にピークを迎え、火曜日から水曜日にかけて落ち込み、週末にかけて再びピークに達するを繰り返している。たしかに八月十日のピークは高く、活発な破壊活動があったことがわかるが、もっと派手な破壊がブラックアウト後のグラフに出てくるんじゃないかと予想していた。この図が意味するところはまだ不明だ。予想ではこの時期にハンターたちが駆け回り、ブラックアウト発生でローカルチャットが機能しない中、食べごろな獲物を次々と屠っていたに違いないと考えていた。このデータからはその破壊活動の様子は見られない。可能性としてはハンターたちも獲物の場所を特定するのに苦労していたのか、あるいはこの時期に獲物自体が少なかったことも考えられる。
採掘艦の数は、総数・被撃墜数ともに七月は増加している。Zkillによると、六月の被撃墜数は225隻に対し、七月は1744隻、八月はすでに我々は1107隻の撃墜を数えている。ISK換算にすると損失額は六月の120Bから七月の917B、そして八月は今のところ600B。一方でロークアルの被撃墜数は減少した。
先ほど示したグラフは二つとも日別にプロットされたものなので、月ごとの変化が分かりにくいと思う。下に月ごとの総採掘額と総破壊額をグラフ化したので、これを見て現在の情勢について手荒だがまとめを導こう。この図から見えるのは、七月の破壊活動は約3T増加した(六月の37.6Tから七月は40.2T)。総採掘額は36Tから50Tに増加、このうち各リージョンは約四分の一ずつ増加に寄与したものと考えられる(この事は後に少しだけ触れる)。
八月の動向を知る最後のグラフは、この総生産額のデータだ。ブラックアウト発生は生産にはあまり影響しなかったことがわかるが、七月二十一日を見ると、ここだけ興味深いことに3.4Tもの急激な増加が発生している。この局所的な活発化の原因については、考察を読者の手に委ねようと思う。
Delveの動向深掘り!
さてお待ちかね! いよいよ一番気になる話題に深掘りだ! あのブラックアウト発生で誰が、どうやって最も影響力を発揮したかを見ていこう。はじめにみんなが大好きなリージョンDelveのデータを三月から分析していこう。ここで三月から七月にかけてのデータを使うのは、アノマリ生成頻度に変更があったのが三月だからだ。
採掘艦に修正が入った影響で、三月から四月にかけて採掘量に顕著な減少が見られる。続く五月の減少傾向は、ラッティングの懸賞金収入減少の全体的な動向に沿うものだというのは先ほど触れた通りだ。六月は月間通してImperiumがTributeに向けて作戦を展開していた時期にあたる。七月になると採掘量は五月の水準を超えて回復したが、ラッティングは五月に比べてやや下回った(5.09Tから4.71T、300Bの減少)。被害総額はグラフの範囲では主だった変化はない。七月の被害総額は他の活動と比例する形で増加したが、これはTributeへの作戦展開中、Delveを徘徊するハンターたちの獲物がなかった反動だと考えられる。(訳注:原文には六月とあるが、誤植か?)
それではImperium領土を全体的に見ていこう(Delve, Fountain, Querious, Pure Blind)。六月から七月にかけて、採掘量は9T増加、懸賞金収入は1T増加、そして被害総額は700B増加した。
一方でTributeはというと、Panfamは六月のImperium侵攻中に拠点をTributeからMalpasに移していたが、そのことがデータにくっきりと表れている。採掘量は三月の463Bから七月は28Bまで減少。これは六月の採掘量から4Bの回復にあたる。懸賞金収入は三月の760Bから七月は37Bに減少。Imperiumの侵攻中、懸賞金は108Bの収入があった。
上のグラフはImperiumの訪問による被害総額がでかすぎるせいで見づらくなっているので、被害総額を省いたグラフから採掘と懸賞金収入の動向を見てみよう。
Panfamは中心拠点をMalpaisに移したが、同時期にブラックアウトが発生したにも関わらずそのことがはっきりとグラフの変化に現れている。Panfamの生活拠点全体(Malpais, Geminate, Etherium Reach, TKE)を並べて見てみると、彼らが拠点を移した様子が採掘量のグラフにはっきりと表れている。ラッティング収入はこの五カ月であまり減少していないように見えるが、PanFamの全活動領域がここに移ったことを考えると、やはり大幅に減少していると言えるだろう。
EsoteriaはTESTの生活拠点だが、ブラックアウト発生以前に比べると全てのPvE活動において減少している。採掘量は最も影響を受けず、七月は五月並の水準に持ち直しているが、一方でラッティングは(他のヌルセクと同じく)大幅に減少している。
もっと広くLegacy Region全体を見てみると(Paragon Soul, Esoteria, Impasse, Feythabolis, Catch, Omist, Immensea)、七月の採掘額は前月比1.6T増加、懸賞金収入は2.5T減少、そして被害総額は1.5T増加した。
次はDead Co領の全体を見てみよう(Fade, Deklein, Branch, Tenal)、どうやら懸賞金収入は手痛く落ち込んだらしく、六月から七月にかけて6Tも下落している。採掘量はあまり変化なく、被害総額も通常の水準を維持している。
最後に、もちろんヌルセク以外の領土も見てみよう。ハイセクからローセクを含むEmpire領を見てみると、採掘量に12Tから16Tへの増加があったようだ。一方で懸賞金や被害総額は特に変化がなかった。
金!金!金!
最後に触れておきたいのが、全体的な金の流れについてだ。すでに言った通り、EVEには金が溢れすぎている。これはあまり良くない事態だろう。特に少人数のグループにとっては。先に議論したように、お金が経済圏に入るにはいくつか方法がある(これを流入という)。お金の流れに関連するまた別のデータがあるので見てみよう。アクティブ・キャラクターが所有するISKの総量についてだ(それとコーポレーション所有のISKの総量というデータもあるが、これは全体的に小規模な額だし、また後で触れるから)
経済を回るお金の流れを見ることで、単純に流入と流出の差を比べる以上のことがわかる。というのも、このデータには全てのアクティブ・キャラクターが保有するISKのデータや、GMウィークの終わりとともに非アクティブ化したキャラが保有するISK(これを除去ISKと呼ぶ)のデータが含まれるからだ。アルファクローン実装以前の古き良き時代であれば、アクティブ・キャラクターを数えることは簡単だった。月額プレイ料金を払っている人数を数えればいい。たしかに、これだと料金だけを払ってログインしていない人もカウントしてしまう心配があるが、ことはずっと単純だったわけだ。
これがアルファクローンの登場によって複雑になってしまったので、ここで今一度、アクティブ・キャラクターとは何かを再定義する必要があるだろう。ある意見によれば、アクティブ・キャラクターとは過去〇カ月以内にログインしたアカウントのことだという。だがこの期間の長さについては議論の余地がある。過去三ヶ月以内だとする意見もあるし、一カ月以内だという意見もある。どちらを採用するにしろ、これらは新しいアクティブ・プレイヤーの定義になる。
そのことはお金の流れのグラフの中に、ログインイベントを書き込んでみるとわかるだろう。今回は去年の十月から今年の八月までの流通貨幣のグラフに、各種ログインイベントがあった日を書き込んでみた。
リンクにある流通貨幣のグラフは二〇一二年からのデータが示されていて、その日ごとに起きたイベントの影響をやや見えにくくしている。だからここでは、より短い期間についてグラフ化してみた。
この図からわかるのは、プレイヤーが保有するISKの総量は主にログインイベントの開催に刺激されて増大している。これはプレイヤーが自分のアルファクローンを全てログインしてまわって、配布されたスキルポイントなりアイテムなりを受け取っていたからだろう。五月のイベントでは継続したISK総量の増加が見られるが、これは部分的には遅れてログインイベントに参加したプレイヤーの影響だろう(このイベントは最終日に1Mスキルポイントが配布されたが、三日間まではログインを逃しても最終報酬が取得できた)。ごらんの通り、その翌月を見ると、ログインイベントで増加した大部分はキャラクターが非アクティブ化するとともにグラフから消えた。思うにCCPは一カ月間のログイン数でもってアクティブ・アカウントを数えているのではないだろうか。というのもアクティブ・キャラクターが保有するISKの増減がだいたい一カ月スパンで変動しているからだ。これをもし三ヶ月区切りでアクティブ・キャラクター数を数えるとしたら、ログインイベントで増加したアクティブ数はその次の期間でも増加していることになる。
上のようなアクティブ・キャラクターが所有するISKの総量のグラフには、コーポレーション所有のISK総量のグラフもあわせて並べられるのが普通だ。というのも後者は前者の傾向を平滑化するからだ。コープ所有のISKに比べ、個人所有のISKはあまりに大きいため、情報としてノイズが多いのだ。今回はこの二つのデータを分けてグラフ化したので、よりはっきりと傾向が見えるだろう。
コープ所有のISK総量にも、先ほどのキャラクター所有ISKのグラフと似たような増加がある。十二月と五月に急激な増加がみられるだろう。そしてキャラクター所有のISKと同じで、両者の急増の後には数か月に渡って下降傾向が続き、ここにさらにブラックアウトの追い打ちもかかる。ドリフターズ襲来イベント発生から13Tがコープの財布から支出されているが、このことは懸賞金収入が縮小する一方で、依然として支出が存在するというコーポレーションの財政を物語っている。プレイヤー所有のISK総量の減少は、EVE経済全体からISK流出が加速していること、かつ/またはプレイヤー人口そのものが減少していることを意味する。たとえGMイベントがある月であっても、こういった情報を読み取ることができる。
よし分かった、ちゃんとまとめるよ
ちょうどこの記事を書き終えて推敲を加えているときだった。そういえば生産業にたずさわるプレイヤーは、生産リソース当たり毎月いくらもらっているのだろうと気になった。今年度は何カ月か異常な月があったから、これを見るのは思ったより難しいことがわかった。生産物の流入の内訳は図にすると次のようになる。
この図に面食らった人、心配しないで。ここからCCPが出している「主要な流入、流出と日付の関係」グラフを取ってきて参照するから。実は主要な流入・流出の中に、生産物の売買は含まれていないのだ。このことは先ほど出したリンク先のグラフを見てもわかる。商品の売買という二次産業は、一次産業に次いで巨大な産業のはずだから、このグラフに含まれているべきだというのに。
実は今年度に入って数か月間、CCPの出す月間経済報告にCacheリージョン全体の情報がすっぽ抜けていた(ちなみにこの不具合はもう修正された!)。この事もあって僕は、今にしてみれば「こんな事、考えなければよかった」と後悔するようなことを考え始めてしまったわけだ。
「もしCCPが、プレイヤーへの流出とNPCへの流出を分けて見ていたらどうなる? 例えば工場の手数料とブローカー手数料を別の流出と考えていたら?」
そして流出という枠の中で、「製造」とは一体何なのか気がかりになった。
「ぶっちゃけCCPはプレイヤーとNPCへの流出を分けて考えてるか?」という質問への答えは「ときどきそう」だ。
例えばブローカー手数料(EVEで最大規模の流出のひとつ)の場合、今月の流出と流入の報告からは10.274Tだったとある。だがそれぞれを流出先ごとに内訳を見てみると、ブローカー手数料のうち7.146TはNPCへ、2.55Tがプレイヤーへ支出されたとある。これは足しても10.274Tにはならない。両者を足すと9.69Tだ。たとえ足して10.274Tになったとしても、それは決して全てのISKがEVEの経済圏から流出はしない(訳注:プレイヤーへ流出した分は再びEVEの経済圏に戻されるから)。これは恐らく月間経済報告の枠組みができたのがシタデル実装前だったからだろうーー約一年ほど、月間経済報告はシタデルに拓かれたマーケットでの取引を交易の項に加えていなかった。
ジャンプクローン起動手数料はサービス業の内訳に記載されていて、NPCへは46B、プレイヤーへは26Bとある。だが流出と流入の内訳には、これが64Bの流出だったと記載されている。ジャンプクローン導入費用も同様に、NPCへは19B、プレイヤーへは8B。だが34Bの流出として計上されている。僕は今、元データを閲覧しているが、何度見返してもそれぞれが64Bと34Bの流出だったとある。一部ループしているとはいっても、46+26は64ではないし、19+8は34じゃない。
惑星間輸出関税は120Bの流出として計上されているが、内訳をみるとNPCへは80B、プレイヤーへは249Bだった。
オフィスのレンタル費用も見ると、流入と流出にはプレイヤーへの流出分が省かれた形跡があり、サービス業の内訳の値と一致した。
工業手数料についても、流入と流出にはプレイヤーへの分が省かれているようだ。だが流入と流出のリストには56Bと計上されている一方で、サービス業の内訳では47Bだった。
修理費は68Bだったとサービス業の内訳にあるが、流出と流入のリストには111Bとある。
これらは俯瞰して見れば小さな誤差かもしれない。だけど僕はこれからしばらくの間、どうしてこのような食い違いがうまれたのか考えてみることにする。それと「産業における流出」というものが具体的に何なのか、まだよくわからない。ひとまずは工業手数料ということで納得しておく。
ここまで長くなっちゃったね! それからグラフがいっぱいだ! 八月の月間経済報告は関税関連のアップデートが挟まるから、それが出たらさらっと見ていく予定だよ。もちろん流出と流入の全体的な動きについても気になるしね。九月の月間経済報告が発表されたら、過去三ヶ月間の情報をまとめて今日みたいに分析を深掘りする予定だよ。この月間経済報告をたどる旅は楽しんでくれたかな? いつもの開発ブログとはちょっと違う視点をお届けするINNニュースがお届けしました。
翻訳者:渋丸