2021年1月31日日曜日

裏・初心者向けマーケット利用ガイド?〜(ハイセクの)市場で見かけたダメオーダー

先月投稿予定でしたが、諸事情により大幅に遅れたマーケットガイドの続きです。スンマセン!(投稿忘れてたとかいえない

前回:EVE Online 初心者向けマーケット利用ガイド

初心者向けマーケット利用ガイド本編では、初心者の皆様を対象に最小限のロスでマーケットを利用する方法について、独断と偏見を交えてお話しました。健全な初心者プレイヤーの皆様には上記ガイドを守り、金銭的時間的ロスを最小限にして、上手に素通りするようにマーケットをご利用され、稼いだ現金と節約した時間でEVEの他の場所で様々な経験を積まれることを切に願って止みません。


さて、ここからは主に健全でない初心者の皆様のためのおまけです。「私はそれでもマーケットにオーダーを置きたい」という初心者の方もいると思いますし、失敗を恐れず何でも試せるのは初心者の特権でもあります。そんな不良初心者の皆様のために、マーケットでよく見かける損なオーダーの特徴についてまとめました。損なオーダーを出して喜んでる人のことを、世間ではカモと呼びます。自分がカモにならないためにも、以下のようなオーダーを出そうと考えていた人は、なぜ損なのかしっかり理解して下さい。

なお、下記の特徴が複合しているオーダーもよく見受けられますので注意してください。ガイド本編でお話ししたマルチセル/バイと複合していると思われる場合もよく見かけます。

本題に入る前にオーダーを自分で出す人なら当然知っているべき話をしておきます。標準の設定では自分で発行したオーダーの背景は、買取範囲内を示すのとは別の色になっています。売却オーダーで背景に色が付くパターンは他にありませんし、購入オーダーを出す人は自分の出したオーダーの確認方法を知っているとは思いますが念のため。後ほどオーダーの背景の色の話が出てきますが、この話題を入れるちょうどいい場所がなかったのでここでお話ししておきます。


・学校などから出ているオーダー

ここで言う学校というのは、キャリアエージェント(通称10連ミッション)を受けられるステーションのことです。学校に限った話ではなく、学校でも商業地でもないステーションから発行されている悲しいオーダーもあるのですが、特に学校からのものが多いので代表させています。要するに、商業地以外の場所から出されているオーダーのことです。

このオーダーの何が問題かと言うと、そのステーションに商品を売買するためにわざわざ来る人が少ないため、取引が成立しづらいということです。初心者の人にとっては(自分がお世話になっている)学校は世界の中心かもしれませんが、それ以外の人にとって学校は、良くて「その辺にいくらでもあるただのステーション」、悪いと「カモの溜まり場」です。

もう一つの問題は、筆者の経験上、購入オーダーを出す人のほとんどは売却オーダーを見ていないらしい、ということです。商業地で出ているオーダーくらいは確認しているようですが、それ以外の場所で出ている割安な売却オーダーが長く残っている例はよく見られます。買わない理由は簡単で、「取りに行く手間がもったいない」からです。

オーダーを置くなら、売買が成立しやすいステーション、すなわち商業地に置くべきです。購入オーダーの場合は商業地が含まれるように購入範囲を設定することもできますが、プレイヤーの知識とキャラクターのスキルが必要な点で初心者向けではありません。


・装備するモジュールを入手するための購入オーダー

オーダーには売却/購入理由は記載されていないので推測に基づいた話になりますが、稀に装備するモジュールを入手するために発行されていると思われる購入オーダーを見かけます。大抵は売却オーダーと購入オーダーの価格差が非常に大きく、売却オーダーの価格が高価(と言ってもせいぜい数百kisk程度)なモジュールです。

「モジュールを購入したいけど出ている売却オーダーの価格が高すぎるので、購入オーダーで安価に購入したい」というのが理由だと思われますが、こういったオーダーを発行するのは絶対にやめるべきです。

まず、購入オーダーを出しても実際に購入できる保証はどこにもありません。モジュールに限った話ではないですが、購入オーダーを出して購入できるペースは、実際に購入オーダーを出してしばらく観察しないと分からない場合がほとんどです。日常的にある程度の数量が購入できる(購入オーダーに対応して売却されている)商品なら問題ないかも知れませんが、数日ごとにまとまった数が購入できるとか、最悪の場合はほとんど購入オーダーに対する取引がないといった商品も多数存在します。使用するためのモジュールなら今すぐにでも欲しいはずですが、流通状況を知らない商品を購入オーダーで購入しようとするのは時間がかかりすぎますし、不確実性が高すぎます。

もう一つの理由は、オーダーを置いただけでは売却/購入できない場合も多い、という問題です。というのも、マーケットには自分のオーダーが最優先になるようにオーダーを修正してくる競合プレイヤーがいることが多いからです。これに対抗して自分のオーダーを最優先にするには、定期的にマーケットを確認して必要に応じてオーダーを修正する手間が発生します。また、最近のアップデートによりオーダーの修正には(原則的に)無視できない額の手数料が発生しますので、オーダーを変更する度にそれなりの金銭的なロスが発生します。これでは本末転倒でしょう。

時間も現金もできるだけ使う量を減らしたいのは誰でも同じですが、初心者にとっては時間の方がより貴重だと思います。数百kisk程度の現金で解決するのなら、現金より時間を優先するのが初心者にとって正しい選択だと考えます。

とはいえ、ガイド本編でも書いた通り、購入したい商品の売却オーダーが高額すぎるものしかない場合もごく稀に存在します。購入したい商品について高額すぎる売却オーダーしかない場合は、初心者が使わないようなモジュールであるか、タイミングが悪くて適正価格のオーダーがなくなって(売り切れて)しまった場合だと思います。そんな場合はヘルプチャネルなどで熟練プレイヤーに意見を聞いてみてもいいですし、急いでいなければ翌日以降にもう一度買いに行くのがいいと思います。大体翌日には適正価格の売却オーダーが出ていることが多いです(保証はありませんしできません)。危険は増しますが、この機会に近隣の別の商業地に出かけてみるのもいいかも知れませんね。



・価格を手動で変更していないオーダー

新しくオーダーを置く場合、価格欄には何かしらの数字が入力されていると思います。大抵はすでに出ているオーダーに関連した値になっているのですが、確認は必要です。特に取引量が少ない商品の場合は注意が必要です。というのも、この数字が実際の流通価格と全く関係ない値になっていることがあるためです。

このような確認・変更をしていないと思われるパターンは大抵売却オーダーで見られます。というのも、購入オーダーを出す人は大抵価格に対するイメージを持っているため、市況確認や価格設定をしないでオーダーを出すことが少ないためです。現金が欲しい初心者が、ルート品などの不要アイテムを売却するために出したと思われるオーダーでこのパターンに当てはまるものは多く見受けられます。

このようなオーダーの何が問題かと言うと、「オーダーを出した本人にとって有利になることが少ない」ということです。売りオーダーで価格が高過ぎれば長期間売れ残りますし、価格が安過ぎれば(運良く)売れたとしても本来売れるはずの価格より低い価格で売っているわけで、結果的に損をしています。「現在の買いオーダー価格より高いが買ってくれる人がいる価格」だった場合には得をする可能性もありますが、上述の通り買いオーダーを出している人は大抵売りオーダーを見ていないと思われるので、売却に成功して結果的に得をしたとしても、ただの幸運でしかありません。

対策ですが、オーダーを出す時は必ず市況を確認して、いくらで売る/買うのか手動で設定するようにしましょう。商品数が多いとつい手を抜きたくなりますが、確認を怠って損するくらいなら、初めからオーダーを出さない方が結果的に得だと思います。


・下一桁を1だけ変更した反対オーダー

最近のアップデートにより、オーダーに設定する価格は原則として有効数字4桁、つまり一番上の桁から4桁目(かつ小数点以下2桁)までしか設定できなくなりました。かつてマーケットでの値付け合戦は「0.01isk war」などと言われましたが、今や0.01isk単位で値付けできるのは単価100.00isk未満のごく一部の商品だけとなりました。

ということで、既存のオーダーに最小限の価格差をつけたオーダーを出すためには、上から4桁目(もしくは小数点以下2桁目)を1だけ変えることになります。有効数字、つまり価格設定時に設定できる数字の一番下の桁なので、ここではその桁のことを下一桁と呼ぶことにします。

さて、既存の売却オーダーに対抗する売却オーダーを出すために下一桁を1だけ減らす、あるいは購入オーダーに対抗する購入オーダーを出すために1だけ増やしたオーダーを発行することは、マーケット活動における基本戦略ですし、当然のようにできなければいけません(が、後述のようにできない人も多いです)。かつてはオーダー更新のタイミングが被った際の対策として(小数点以下2桁目を)2だけ増減させるというテクニックも使われましたが、上述のアップデートの影響で更新タイミングが被ることもほぼなくなりましたので、現在行う必要性はないと思います。

ところで、「購入オーダー最高額より下一桁が1だけ大きい価格の売却オーダー」(あるいはその逆)が出ているのをよく見かけます。筆者は「釣りオーダー」と呼んでいますが、自身の買いオーダーに物を買わせるため(あるいはその逆)にこういったオーダーが出ているのは昔からよく見かけました。しかし、最近は釣りオーダーではないパターンも多く見かけます。なぜ釣りオーダーでない場合があると言い切れるかといえば、最高額の買いオーダーを出しているのが筆者自身なのにこういったオーダーが出ている場合はよくありますし、後述の理由で筆者はこういったオーダーを出さないからです。

釣りの意図がないのにこういったオーダーを出す理由を推測すると、「現状の最高値は安すぎるけど、高く出しすぎると売れない可能性が高いから、最小限の価格だけ上げたオーダーを置いてちょっとでも得をしよう」ということだと思います。ですが、残念ながらこういったオーダーはかえって損をしているのです。

損をする理由は、マーケット使用時に取られる手数料の仕組みにあります。まず、マーケットで商品を売却する際には物品税(または取引税、Sales Tax)が売却金額から徴収されます。これは即時売却でも売却オーダーを置いても金額は変わりません。オーダーを置く、つまり有効期間が即時ではないオーダーを発行する場合は、これに加えて仲介手数料(Broker's Fee)を取られます。つまり、同じ金額で商品を売買しても、即時取引とそうでない場合では、後者の方が仲介手数料の分だけ金額的に損をするということです。

仲介手数料の金額は商品の価格に対する割合で決まり(ただし100iskは必ずかかる)、NPCステーションの場合は初期値で5%となります。スキルと国家・企業スタンディングによってある程度下げることができますが、筆者の経験上3%以下にするのは困難です。五大商業地はNPCステーションに立地していますので、スキルもスタンディングもない初心者キャラがオーダーを置くだけで価格の5%程度(もしくは100isk)損をすることになります。下一桁を1だけ変えても価格はせいぜい0.1%程度しか変わらないので、下一桁を1だけ変えてオーダーを出すと約5%損をする、ということになります。商業ストラクチャの場合は仲介手数料を1%に設定していることが多いですが、それでも1%近い損が出ることに変わりはありません。

損が出るばかりか、別の問題もあります。オーダーを置くということは、そのオーダーの条件で取引する相手が現れるまで売買が成立しないということです。つまり売買が成立するまでに時間がかかるということです。これは少しでも早く現金が欲しい初心者にとって問題になるでしょう。加えて、取引する相手が現れる保証はどこにもありません。下手をするといつまで経っても売買が成立しないわけで、そうなるとオーダーを出した意味がありませんね。

結論としては、このようなオーダーを出しても時間的金銭的に損をするだけなので、即時取引で今すぐ現金/商品を手に入れた方が圧倒的にお得です。こういったオーダーを出すのは(釣りオーダーを出す時以外)絶対にやめましょう。


・価格設定が雑なオーダー

これから取り上げるタイプのオーダーを初心者さんが出していると思われる例もあるのですが、EVEの初心者さんというより商売や生産の初心者さんが出していることが多いと思われるタイプのオーダーです。

先ほど価格設定は上4桁まで指定できるという話をしましたが、既存オーダーに対抗して同種のオーダーを出す場合、前述したように下一桁(つまり上から4桁目)を1だけ減少/増加させたオーダーを出すのが基本です。ですが、上3桁や上2桁、ひどい場合は上1桁だけ指定した対抗オーダーを出す人がいます(筆者は「4桁指定できない病」患者と呼んでいます)。あるいはもっと極端に値下げ/値上げしたオーダーを出す人も結構います。

結果として最安値/最高値になればオーダーを出した本人の目的は達成されているので、一見問題はなさそうに見えます。しかし、競合オーダーを出している人たちにとってみれば、これは地味に迷惑なオーダーです。

EVEのマーケットで同一場所で同一商品を売買する限り、価格以外で競争できる要素はほとんどありません。既存オーダーに価格で対抗するには、売却価格を下げる/購入価格を上げることになるわけで、オーダーを出している側にとって価格面で不利な条件を提示することになります。こうして出されたオーダーに対してさらに対抗するためにはさらに価格を下げた/上げたオーダーを出さなければいけないわけで、競争が続く限りオーダーを出す側にとって価格条件はひたすら不利な条件になっていく、というのがEVEのマーケットにおける競争の基本構造です。不利な条件を提示するにしても金額変更の幅は最小限にするのが一番いいので、オーダーの優先順位だけを考えれば必然的に下一桁を1だけ、つまり価格指定で許される最小限の幅で価格を減少/増加させたオーダーを出すのが定石かつ最適解となります。

ここで仮に上3桁しか指定していない対抗オーダーを出すとどうなるでしょうか。このようなオーダーの場合、対抗させたオーダーに対して下一桁単位で2〜10分価格を減少/増加させたことになります(結果的に1だった場合は定石通りのオーダーです)。つまり、本来可能な最小限の幅に対して2〜10倍の早さで市場価格を不利な方向に動かしたことになるわけです。これにより、まずオーダーを出した本人自身にとって価格面で2〜10倍の早さで不利な条件を出したことになります。極端な言い方をすれば、これはただの自爆行為です。加えて、競合オーダーを出す人にとってみれば自分たちが出す対抗オーダーも同じ大きさだけ不利な条件になることを強要されたことになります。控えめに言っても反感を買いますし、場合によっては恨みを買ってオーダーを出したキャラを特定(最安値/最高値オーダーを出していれば簡単)された上で様々な妨害をされる可能性も決して否定できません。

価格の変更幅を最小限にして対抗オーダーを出す時は、必ず下一桁まで指定して価格対抗幅を最小限にしたオーダーを出すべきです。細かい価格指定とこまめなオーダー確認・更新が面倒だと思う人はマーケットにオーダーを出すのには向いていないので、他の楽しみを見つけた方が正解だと思います。

ちなみに、マーケットでオーダーを発行したり変更する場合、数量や価格を指定する欄はマウスのホイールでも操作できます。価格欄をホイール操作で変更すると下一桁単位、すなわち指定可能な最小単位で変更できます。すでに出したオーダーに対して対抗オーダーを出された際に、価格を変更してさらに対抗する際に大変便利です。数値指定欄右端の上下の三角でも操作可能ですが、ホイールを使った方が楽だと思います。

あと、現在の市場価格とあまり関係のない値下げ/値上げをしているオーダーもよく見かけます。もしかしたら「大きく価格を変えれば需要が増えてすぐにオーダーが捌ける」と考えている人もいるかも知れません。しかし、筆者の経験上そういった商品はほとんどありません。価格が上ろうが下がろうが大体同じようなペースで売買されている商品がほとんどで、ある水準を境に売買数が急変するアイテムがあるかも知れない、というのが筆者の実感です。そのような状態で、市場価格を無視したオーダーを無意味に出して最安値/最高値を取ったとしても、余計に買えるのは競合プレイヤーの反感だけだと思います。

似たようなオーダーで価格操作、つまり売却/購入価格相場を大きく減少/増加させることを目的として出されていると思われるオーダーも案外多く見かけます。これは先述したとのとはまた違う形の釣りオーダーと言っていいでしょう。その商品を運良く売却/購入しようと思った人にとっては幸運になりますが、競合プレイヤーにとっては難しい判断を迫られるオーダーです。この辺りの対抗手段については初心者向きではなさすぎるので割愛しますが、そのようなオーダーを出すプレイヤーがいることは覚えておいて損はないかも知れません。

既存オーダーの価格を無視してオーダーを出すことは禁止されていませんし、そうすべき理由があると思うならそうすることに問題はありません。実際に筆者は明確な理由があってそういうオーダーを日常的に出しています。しかし、もしそうする理由がないのなら、市場価格とあまり関係のない値下げ/値上げをしたオーダーを出すのはやめておいた方がいいでしょう。


・近隣ステーションの価格に釣られたオーダー

これは上述の無意味な値下げ/値上げをしたオーダーの一種なのですが、オーダーの発行に慣れていない人がやってしまいがちな失敗なので、個別項目として取り上げました。

特に理由がない限りオーダーは商業地で発行するのが定石ですが、商業地付近からもオーダーが発行されていることはよくあります。これは商業地付近に商業ストラクチャが建っている場合(例:ジタに対するペリメーターのTTT)に顕著に見られます。非商業地側のオーダーは商業地より価格面で有利でないと取引相手が現れませんが、商業ストラクチャからの購入オーダーは範囲指定で商業地を含めることができるので、商業地と同一価格で競争していることがほとんどです。逆に売却オーダーは範囲指定ができないので、基本的に人が集まりにくい非商業地側の相場は商業地より安くなる傾向があります。その結果、非商業地側と商業地側で売却オーダーの相場に無視できない価格差が発生することになります。

このような場合に価格差の影響で割高な商業地側の売却オーダーが全く捌けなくなるかというと、そんなことはなくて価格差があっても普通に商業地側の売却オーダーは消化されていきます。非商業地側も売却オーダーは消化されているはず(でなければオーダーは出続けない)なので、結果としてリージョン内の売却オーダーの価格相場が2つある、ちょっと不思議な状態が発生します。

また、商業地でもなければ特に集客力があるわけでもないステーションから(運送の手間を考えなければ)価格的にお得なオーダーが出ていることも頻繁にあります。こういったオーダーをわざわざ確認する人は少ないので、結果的に長期間残っていることが多いです。

このような場合に、商業地側でオーダーを出す際に非商業地のオーダーに価格的に対抗できる売却オーダーを出すとどうなるでしょうか。オーダーで指定した価格は商業地側で最安値をつけるための最大価格よりもだいぶ安くなっているはずです。つまり、上述の無意味な値上げ/値下げをしたオーダーを発行したのと同じことになります。後の影響も全く同じですが、価格差が大きくなることが多いので影響も大きいかも知れません。

対策ですが、オーダー発行前の市況確認の際に、各オーダーがどこから出ているかよく確認して、商業地の価格水準がいくらなのかを分析することです。非商業地で多くのオーダーが発行されて独自相場を形成しているステーションはそれほど多くありません。大抵は各商業地ごとに幅広い商品を扱うストラクチャが1カ所と、特定商品のオーダーが多いストラクチャが1・2箇所あるくらいでしょう。

と偉そうに書いていますが、筆者は本記事の執筆中にうっかり非商業地の価格に釣られたオーダー変更をしてしまい、しかも再変更するのを忘れるという失敗をやっています。焦ったり油断したりして確認を怠ると、慣れていてもやってしまいがちなので注意が必要です。


・数量が多すぎるオーダー

先述の「無意味な値下げ/値上げをしたオーダー」と同様に、EVEの初心者さんというより商売や生産の初心者さんが出していることが多いタイプのオーダーの話ですが、特に生産の初心者さんが陥りやすいパターンのようです。売却オーダーでこのパターンに当てはまる例が多いのですが、購入オーダーでもこのパターンに当てはまるオーダーは存在します。もっとも、購入オーダーの数量が若干多めになっているのは、ごく普通かつ自然なことではあります。

突然ですが、ここで算数の問題です。

『ある商業地のマーケットで、1日に必ず1個だけ売れるアイテムがあります。このアイテムを最長期間の90日間オーダーを出して売りに出した場合、オーダーの期限切れになるまでに何個売れるでしょうか?オーダー数の不足による欠品や対抗オーダーは発生しないものとします。』

特にひっかけの意図はないので、作為解は『90個』となります。

さて、今の問題の条件で販売数量500個のオーダーを出したらどうなるでしょうか?当然ですが、90日間で90個売れて、オーダーの期限が切れたあと売れ残った(500-90=)410個が手元に帰ってきます。ここまで読んでいて、「そんなオーダー出す奴がいるわけないだろ!」と思っている方もいるかも知れませんが、(競合プレイヤーとしては)恐ろしいことにこのタイプのオーダー、割と高い頻度で見かけます。

このタイプのオーダー、つまり流通量に対して数量が多すぎるオーダーを出すことのオーダーを出した本人にとっての問題は、「売れ残る/買い切れない分の数量を指定するために用意した商品/現金をオーダー期限切れまで運用できない」ということです。オーダーをマーケットに置くというのは商品や現金をマーケットに預けることとほぼ同義で、オーダーが残っている間はその分の資産を運用、つまり他の場所で販売したり他の目的で現金を使ったりすることができません。最終的に期限切れで戻ってくることが明白な商品/現金をマーケットに預けるのは、資産運用の効率面では有害無益な行為です。

このタイプのオーダーを出す人はオーダーを出したら放置しているパターンが多いのですが、価格の修正をして最安値/最高値を維持する人もいないわけではありません。この場合はさらに別の問題が起きます。価格修正の際は価格変更手数料がマーケットに徴収されます。これはオーダーの残存価格に対する割合で徴収されるので、数量過大なオーダーの場合は余計に多く徴収されることになります。加えて再出品手数料が大幅値上げされた関係で、結果的に赤字になる可能性も大いにあります。

また、このタイプのオーダーは本人のみならず市場にもあまりよくない影響を与えます。期限切れまで数量過大なオーダーが存在することで、価格硬直性、つまり市場取引価格がそのオーダーの価格より上がらない/下がらないという影響が発生します。これはつまり、そのオーダーが存在する限り価格面での取引条件がある基準よりオーダー発行側にとって有利な条件にならないことを意味します。適正な数量でオーダーが出ていれば発生していた可能性のある価格の上昇/下降を阻害するため、市場の価格形成が不自然になる結果を生みます。価格面で好条件なオーダーを出す機会をオーダー一本で潰してしまっているわけで、本人にとっても競合プレイヤーにとっても有害な結果となります。

このようなオーダーを誤って出さないようにするための対策ですが、オーダーを出す前に過去の流通量を確認することです。流通量、つまり日常的にどのくらいの数が流通しているかが分かっていれば、少なくとも期限いっぱいまで捌き切れないオーダーを出すことはほぼ防げるはずです。なお、過去の流通量の確認方法については割愛します。自分でオーダーを出すつもりがあるなら、本記事に載っていないマーケットの仕組みについては攻略wikiなどで自習するべきです。


・余談:「強敵」と書いて「とも」と読む関係、あるいは独占の難しさについて

これはもはや初心者とは全く関係のない余談ですが、編集時にカットされないことを祈りつつ、誤解を招かないための補足として書かせてもらいます。

「競合プレイヤーの報復が怖いからこういうオーダーは出しちゃダメ」的な話をしましたが、この表現は必ずしも間違いではないにしても、筆者が本当に思っていることとはちょっと違います。というのは、筆者は市場で定石(あるいはお約束)を守って競合しているプレイヤーは、対抗するべき敵であると同時に、健全な市場形成を共同で行う仲間だと思っているからです。

市場独占は商売人の夢と思っている人もいるでしょうし、完全に間違いではないのですが、本当に独占してしまうと悪夢な部分もあります。というのは、独占を成立させてしまうと市場(あるいはお客様)に対する義務もまた発生するからです。それはつまり、オーダーを維持し続ける義務です。

市場独占、つまり自分に対抗する競合プレイヤーがいない状態になった場合に自分がオーダーを切らしてしまうと、その商品を売買しようと思ったプレイヤー(お客様)は予定していた取引ができなくなります。つまりお客様の期待を裏切る結果になり、信用を失うことになります。独占状態であれば、その取引での市場の信用は自分自身の信用と同じです。市場への信用がなくなればお客様は(より信用できる)他の市場で取引しようと考えるかも知れません。結果として信用とお客様を失いかねないわけで、商売人にとってこれほど怖いことはありません。

オーダー切れと信用の喪失を防ぐためにはオーダー数量を多めにしておけばいいわけですが、実際に行うのは難しいものです。売却オーダーであれば商品を多めに用意しなければなりませんし、購入オーダーであれば現金を多めに用意することになります。加えてオーダーを多めに置けばその分の資産は他で運用できないわけで、資産運用効率の低下につながるため過大な数量のオーダーはできるだけ避けたいものです。この辺のバランス取りは実に難しいです。実際、かなり多めに置いておいたつもりのオーダーが離席していた数時間で全て取引成立してオーダー切れを起こした、なんてことがありました(と偉そうに書いていたら、対策をしているにも関わらず本記事の執筆中に複数回発生したことを付記しておきます)。

こんな場合に競合しているプレイヤーがいると、管理と精神的負担はだいぶ楽になります。自分がうっかりオーダーを切らしてしまっても競合相手のオーダーがあるので、市場としては取引条件を概ね維持できるからです。市場として取引条件を維持できれば市場への信用も失われることはないので、お客様は今後も取引してくれるだろうという見通しが持てるため、取引相手の減少にもつながりにくくなります。場合によっては、競合プレイヤーのオーダーが切れた分を自分のオーダーでフォローする、という場合も十分あり得ます。この辺りはタイミングの問題で、お互い様と言えるでしょう。

そんなわけで、市場での競合プレイヤーは「強敵」と書いて「とも」と呼ぶ、そんな関係であると個人的には思っています。ですので、本節の最初に書いた競合プレイヤー云々の話の本意は「競合プレイヤーさんに余計な迷惑がかかるから理由がなければやらないでね」というのが正確な表現になります。

先ほどオーダーの数量が過大な場合について書きましたが、適正な数量については特に書きませんでした。競合プレイヤーとの関係も関連する話なので個人的意見を簡単に書いておきます。個人的には、最安値/最高値を維持しつつ、適度に競合オーダーも削れていく(=取引されて数量が減る)くらいの数量が適正だと思っています。競合オーダーがある程度削れて無くならないと価格条件は悪化していく一方ですので、そのうち利益面で苦しくなります。また、あまりに競合プレイヤー側の取引が成立しないと、競合相手は市場を去ってしまうかも知れません。そうなれば市場独占する可能性もありますが、独占状態の大変さは上述したとおりです。

筆者にとって市場で競合するプレイヤーは、「強敵」と書いて「とも」と読む存在、あるいは仲良く喧嘩する相手だと思っています。まぁ、定石とかを守ってない競合プレイヤーも結構多いんですけどね。



・仕様の理解不足なオーダー1:有効期限短縮で最優先を狙ったオーダー

EVEの仕様は頻繁なアップデートのおかげもあって、(日本語の)攻略wikiでも完全には説明されてはいないものです。この間もマーケットと関係ない謎仕様を偶然発見してしまいました。この仕様については本記事のテーマと関係ない上に誰の役にも立たないと思うので割愛します。

ここからマーケット関係で(おそらく)あまり知られていない仕様のおかげで残念な結果になっているオーダーを2パターン紹介します。勘のいい方はお気づきの通り、この項も初心者の人にはほとんど関係ない内容です。

さて、またまた突然ですが問題です。

『商品と取引価格が全く同じで、オーダー発行日と有効期間(と残り期限)だけが違う、以下の2本のオーダーがあります。この2本のうち、優先順位が高い(=先に取引されていく)のはどちらのオーダーでしょうか?

オーダーA:一昨日(2日前)に発行された有効期限90日のオーダー(残り期限88日)

オーダーB: 昨日(1日前)に発行された有効期限30日のオーダー(残り期限29日)』

筆者は有効期限90日のオーダーしか発行しませんが、筆者が発行したオーダー(上記オーダーAに該当)に対して全く同じ価格でより有効期限が短いオーダー(上記オーダーBに該当)が後から出されることは割とよくあります。ということは上記の問題と同じ状況ですので、後者のオーダーを出した競合プレイヤーはオーダーBが優先されると考えているようですし、筆者もそのように考えていました。

以前こういう場合は価格を変更して対抗していましたが、しばらく観察しているとあることに気づきました。後から出されたオーダーの数量が変わらないまま、筆者が先に出したオーダーの数量が減っていくのです。どうも「後から出された残り期限の短いオーダー(オーダーB)より、筆者が先に出した残り期間の長いオーダー(オーダーA)の方が優先順位が高い」ようです。

ということで、この問題の作意解は「多分オーダーA(の方が優先順位が高い)」となります。元々こういう仕様だったのに誤解されていたのか、どこかのアップデートで仕様が変更されたのかは不明です。

ということで、有効期限を短くすることで既存オーダーと同じ価格の最優先オーダーを発行するという戦略は、少なくとも現在はできないと思われます。このような場合は素直に価格で対抗するのが間違い無いでしょう。ただ、有効期限を極端に短くすることで限定商法的な効果を発生させるという戦略は有効かも知れません。まぁ、オーダーの残り期限まで見てる人はほとんどいないような気がしますけどね。


・仕様の理解不足なオーダー2:範囲指定の穴を突かれているオーダー

話は変わって2パターン目、オーダーの範囲指定に関する話で、したがって購入オーダー限定の話です。先ほど言った通り、初心者の人にはほとんど関係ありません。

購入オーダーの範囲指定はオーダーを発行したステーションからのジャンプ数で指定します。ということは、オーダー発行ステーションと現在いるステーションとの間のジャンプ数が購入オーダーに記載されているジャンプ数以内であればどのステーションやストラクチャでも対応して売却ができる、と普通は考えるはずです。実際筆者もそう考えていました。

ここでガイド本編で説明した、初心者の正しい商品売却の方法についての説明を思い出して下さい(忘れてしまった人はもう一度読んで下さいね)。購入オーダーの範囲指定内に自分がいるかどうかの確認方法の話ではこの辺の説明は一切せず、ただ「購入オーダーの背景の色を確認して下さい」としか書いていません。その方が判別方法としては直感的で分かりやすくて確実だ、という理由もありますが、重要な理由がもう一つあります。購入オーダーの有効範囲だと思われるのに売却対象範囲内にならない場合が結構あるのです。

筆者は理由があって、ある商品の購入オーダーを(商業地やNPCステーションではない)某ストラクチャから出しています。この商品の購入市場には近隣ステーションに競合プレイヤーがいて、筆者がオーダーを出しているストラクチャのある星系が含まれる範囲を指定して購入オーダーを出しています。この状況下で競合プレイヤーのオーダーの方が筆者のオーダーより提示価格が高い場合、筆者の方は該当商品を全く購入できないはずです。しかし、実際にはある程度の数は購入できているという状態でした。

長い間理由が理解できませんでしたが、「(NPCステーションでない)ストラクチャから購入オーダーを確認すると、ジャンプ数的には範囲内であるはずの購入オーダーの背景が黒のままなことがある」ということを思い出して理解しました。どうやら「購入オーダーで範囲指定をしても、オーダー発行場所以外の(NPCステーションでない)ストラクチャは対象範囲から除外される」という仕様のようです。今いるストラクチャがオーダーの対象範囲から除外されているのであれば、購入オーダーの背景が(対象範囲街であることを示す)黒のままなのは当然な話ですし、筆者がオーダーを出しているストラクチャが競合オーダーの対象範囲外なのであれば、筆者のオーダーに対応した売却が発生するのも納得できます。

もし前述の確認方法の説明の際にオーダー発行位置とジャンプ数から確認するという説明をすると、今話した仕様の説明も併せてする必要が出てきます。ただでさえ若干分かりにくい手順に加えてさらに分かりにくい例外の説明をしても(NPCステーションとストラクチャの違いが理解できているかも分からない)初心者の人には理解してもらえないでしょうし、それよりもっと直感的で確実な判別方法が用意されているのでそちらだけ説明すれば十分、というのがこの辺の話を省略した理由です。

いつからこういう仕様なのか、なぜこういう仕様になっているのかは分かりません。おそらくオーダー発行者が入港できないストラクチャで売却する嫌がらせをできないようにするためだと推測していますが、特に確認はしていません。それにしても、ハイセクやローセクならともかく、ヌルセクで領有権を確立してる人たちにとってこの仕様は微妙に邪魔なんじゃないかと思うのですが、関係者の方々がどう思っているのか気になります(もしかしたらどこかの設定で範囲内に入るように設定できるのかも知れませんけど)。

このパターンのオーダーの注意点としては、「購入オーダーで範囲指定をしても、範囲内にあるストラクチャは対象外になる(ことがある)から注意しましょう」ということですね。まぁ、実際に該当する対抗(できていない)オーダーを出されていながら気づかずに値付け合戦をしていた筆者も、かなりマヌケではありますけどね。

ちなみに、本記事には本仕様を知らなければ不自然に思うはずの部分がもう1箇所あります。既に気付いて納得された方もいるかと思いますが、そうでない方はもう一度探しながら読み返していただくと、ちょっとした暇つぶしになるかも知れません。なお、見つけられなくても実害はないのでご安心下さい。



さて、ダメなオーダーの出し方に関して色々書いてみましたが、いかがだったでしょうか。マーケットにオーダーを出す際に引っかかりやすいポイントは結構多いということがお分かり頂けたかと思います。念のため書いておきますが、以上のパターンは全て筆者が実際に見ているパターンです。

なお、今回の記事は、すでに(日本語の)攻略wikiなどに載っている部分については最小限の説明に留め、詳細は自習して下さいというスタンスをとっています。一方、仕様面の知識で不公平が発生するのは好ましくないと思っていますので、筆者の知る限り攻略wikiなどに載っていない仕様などについてはできるだけ盛り込むように努力しました。

他人のアラを探して晒したような内容になってしまいましたが、本記事が皆様のよりよいマーケット活動の一助になれば幸いです。





2021年1月26日火曜日

イヴ破戒録生産職  第一話「それは沼の入り口」

(※脳内でカイ●風に読んでいくと、雰囲気がでるらしいよ)


 ―――資金繰りが、辛い。



気付けば手元には、わずか3mしか残っていない。



安い装備のフリゲートが1隻、買えるか買えないかという心許ない金額だ。



おかしい、数日前まで手元には1B近い資金があったはず。



それがどうしてこんなことになってしまったのだ・・・。







金策の一環として生産業をに手を出した。




最初は、薄利多売なうえ輸送の手間も多い商品を作るために働き蟻のように運び、作り、また運び、売ることで満足感を得ていた。


時給にして100kISKくらいだろう。


最初は、生産なんてそんなものだろうと思っていた。


キャラクターを複数用意して、生産ラインを拡充する事で薄利多売でも利益が出るようにする。

自作のExcelシートと睨めっこして、マーケットの原料にギリギリの値段で買い注文を入れる。

皆、そのようにしてなんとか利益を出しているのだろう。

そうに違いない



世の中はそういう風にできている。


確かに、NewEdenを生きてきた先達のブログには、1ヶ月で数十Bill稼いだだの、短期の売買で数百m稼いだだのという話がごろごろ転がっている。


ハッ、そんなものは夢物語だ。


数年前の情報網が未発達なインターネットならいざ知らず、今の情報化社会でそんな儲けを叩き出せるわけがない。


そういう話はどうせ、外聞を気にして数字を盛ってる嘘吐き野郎が書いた創作だ。


だいたい、現実世界でも、“本当に旨い話”なぞ、ついぞ見たことがな・・・・・・ん


なんだこのアイテムは。


BPだけで数百m、素材を買うと100m単位でISKが消し飛ぶ・・・。


飛ぶ、が、売れれば、売れれば利益100mだ。


このアイテムを1つ作って売るだけで100mが手に入るッ・・・!


「世の中に旨い話などない」と考えていたさっきまでの自分はどこへ行ったのか。



「自分ならうまくやれる」



そういった根拠のない考えが自分の脳を支配した。


リスクを思索する間もなく、マウスを握った手から、カチッ、カチッと音がして、気付いた時には3枚の設計図が自分のアイテムハンガーに入っていた。


やってしまった。もう後戻りはできない。


良い。大丈夫。売れれば良い。投資。これはそう、投資なのだ。


自分にそう言い聞かせて。素材の購入ボタンも、押した。



もはや全財産に等しい、総額1B近い商品を戦々恐々としながらJitaまで運び、最安値で売り注文を入れた。


大丈夫だ。このアイテムは売れ行きも悪くない。今は人が少ないが、アメリカかヨーロッパのタイムゾーンで売れているはずだ。




しかし、数日経っても売れない商品を前に、自分は頭を抱えていた。。


原因は明らかだ。いつもいつも、自分より安い売り注文を出している輩がいるのだ。


輩に対抗すべく、安くない手数料を払って最安値に更新する事を繰り返しているうちに手元の資金が削られていった。


手元に残っているのは僅か3m。


認めよう。自分は失敗した。

今回自分がやった事は、金策ではなく、ただの賭博。投資ではなく投機だったのだ。


もう1日だけ置いて、駄目だったら引き下がろう。


そう思った矢先の事だった。次々と売れていく商品。手元に入ってくる、大量のISK。

どこかの富豪がまとめて買っていったのだろうか?富豪に感謝しなければいけない。


そうして手元に約1.2Bの資金ができた。


もう同じ轍は踏むまい。

そう考えた頭に反して、マウスを持った手は自然と高額なBPを探し―――


2021年1月14日木曜日

出張!ONCBN従軍記 #11 たまには外食も良いもの

戦場がデルヴに移ってからというもの、多くの艦隊は迎撃、あるいはリージョン内のストラクチャやエントーシス処理によって出撃していた。出かけてもクエリアスだ。多くの艦隊はそれでも刺激的なものではあったが、これも不要不急の外出は自粛するご時世か・・・とため息をつくときもある。

そんな中、ふとした予感を覚えて飛び込んだ艦隊がある。ステルスボマー&キキモラ艦隊。しかもフォーカスボイドボム・・・つまり対キャピタルのキャパシタ滅殺用ボムをご所望だ。小型艦ならではの高速さと、トルピード&エントロピックディスインテグレーターの高火力にボム、この編成は主力艦をシバきに行く時の装備である。またどこかでスターゲートをのんびり飛んでいるタイタンでも捕まったのか?にしては、急いでいる風ではない。

のんびりと出撃。ワームホールを潜ってたどり着いた先はオアサ・リージョン。ここはFRTことFraternity.の領土だ。FRTは、正直辛い。なぜ辛いかといえば、主力艦を襲ったときのレスポンスが桁違いに速いからである。だが久々の遠征だ。昔はこういう艦隊よく立ってたよな・・・と「なるようになれよ」精神で飛ぶ。フリートワープがかかったとき、チラっと「大規模鉱床」の文字が見えた。

ロークアルだ。

ランディングすると先行したワープ妨害型駆逐艦が仕込みを終えていた。ロークアルは3隻。完全にバブルに浸かっており、サイノシュラル妨害器も展開済み。これは、もしかしていけるんじゃないのか?


ロークアルは普通の採掘艦と比べるのもおこがましいほど強力な艦だ。主力艦級のシールドブースター、それも救出が来るまでの短期決戦に特化したキャピタル補助シールドブースターはよく耐える耐える。しかもスマートボムなどをバンバン炊いてこちらを牽制してくる。しかしそれでも、100隻からのステルスボマーとキキモラが攻撃を始めればまったく耐えられない。ヤバい落ちる、というところでロークアルの専用装備「パルス発動型ネクサス非脆弱化コア」通称PANICモジュールが起動する。これは一定時間ロークアルとその周辺にいる採掘艦を無敵にする必殺の、そして1回限りのモジュールだ。効果時間は最大で6分、救援にかける一発勝負の手。しかしそれはこちらも織り込み済みである。そもそもこれを使わせられないということはロークアルにタンクしきられて落とせない、ということであり、できる限り早期にこれを使わせるのがロークアルを落とす詰めの1手である。ステルスボマー&キキモラ艦隊はゆっくりと、しかし確実に1隻ずつロークアルにPANICを使わせていった。ここまでは非常に順調だ。すでにローカルには先行偵察と思しき要撃型フリゲートの姿もあり、人数も確実に増えている。サイノシュラル阻害器のおかげで即座のドロップこそ防げているものの、次の瞬間ローカル人数が激増してもおかしくない緊張の時間だ。FRTにしては、むしろ遅すぎるほどの遅さ。超人的なプレイヤーは皆デルヴに出張ってしまっているのか!?

3隻目のロークアルにPANICを使わせたあたりで1隻目のPANICが切れる。艦隊は悠々とそこに戻り、1隻目のロークアルを落としにかかった。その時だ。ついに奴らがやってきた。サイノシュラルフィールドを搭載しているレイピアがサイノ展開可能ポイントを探り当てたのかクロークアウトしてサイノシュラルフィールドを展開、FRTの艦隊がジャンプアウトしてきた。


正直微妙な残りHPだったが、やってきたのが大型艦載機母艦を中心とした艦隊だったことが幸いだった。戦闘機では大味すぎて、小型艦編成のこちらに有効な打撃は与えられないだろうな!しかも飛んでくるまでは時間がある。艦隊司令官は攻撃の続行を指示し、ジャンプアウトした空母群が戦闘機を大量に展開する頃に、1隻目のロークアルを撃沈せしめた。

https://zkillboard.com/kill/89903378/

だが、残念ながら2隻目は手が出なかった。遅れて展開された少数編成のムニン艦隊がすさまじい勢いで場を制圧しつつあったからだ。こちらはバブルをバラまき、飛んでくる戦闘機を削りながら後退し、十分距離を取ったところで離脱した。不運にも何隻かは食われたが、艦隊の大多数は意気揚々と拠点へと帰還したのだ。

実際最初のロークアルを削っているときにドロップされてもおかしくはなかったが、こちらの遠征もあまりなかったことだ。ちょっと油断があったのかもしれない。

さらについでに補足すれば、実はロークアル3隻のうち1隻は日本語名だった・・・。日本人か、あるいは日本人から船を買ったか。ククク、見ているかもなァ。これがGoonだ。次は油断せずに掘ってくれ!!

2021年1月10日日曜日

出張!ONCBN従軍記 #10 飛んで、飛んで、エリーズ

 新年早々のキープスター最終タイマーの攻撃失敗、これはPAPIの戦略に大きな影を落としている。どのような原因、どのような戦術戦略のミスがあったにしろ、結果的に彼らのタイタンを始めとする多くの主力艦がM2-XFE星系に取り残されているのだ。キープスター級シタデルを攻めている最中の出来事だ。つまり現場はキープスターの真下であり、Imperiumはそこに大量のバブルを撒いて24時間そこをキャンプしている。たまに出を間違った主力艦がポツンとログインし、艦隊によって瞬殺されているわけだ。正直、閉じ込められたキャラには同情を禁じ得ないのである。

しかしImperiumの戦場は何もM2-XFEだけではない。勢いが付いたのか、多くの艦隊が動き、あちこちで戦っている。その中でわりとホットな戦場になるのは、相手のステージング星系となっている最前線、つまりはGoonswarm Federationの本拠地である1DQ-Aの隣(文字通り、スターゲートによって隣接している)にあるT5ZI-S星系だ。ここはPAPI側のキープスター級シタデルが建造され、さらにはソティヨなどの補助的なストラクチャも設置され、前哨地の域を超えて完全に基地として機能している。その間にあるスターゲートは両側で常にゲートキャンプされ、両軍はスターゲートの両側で睨み合っている。そして今回のお題になる艦隊は、そんな相手のゲートキャンプに少人数で突っ込み、ぼんやりしている奴に喝を入れてくる艦隊だ。




ガレンテの要撃型フリゲート、エリーズ。バブル無効などの効果を持つものの1隻の戦闘能力は大したことがない。本来は偵察やタックラーなどに使用する船だが、それも20隻、30隻と集まれば立派な凶器になる。艦隊は大抵、その機動力を活かして出撃後に即スターゲートを通過し、近場にいた運の無い船をタコ殴りにするところから始まる。もちろん敵の艦隊と殴り合うことは不可能なのでその後即座に離脱する。星系内の座標を転々としつつ、コンバットプローブで標的の艦船を特定し、再度襲撃をかけるという形だ。現場の状況や艦船の配置を偵察と連携して一瞬で判断し、襲撃を成功させる・・・艦隊司令官の熟練の技が光る。

艦隊に参加するメンバーも呑気に艦隊司令官にくっついて飛んでいるだけでは居られない。要撃型フリゲートの移動はテンポがはやく、なおかつ精密さが求められる。クローク解除のタイミングをミスるだけで死ぬこともある。ワープアウト後は対象をターゲットしてワープ妨害とレールガンを起動、止まったままだと危険なので動き、距離が離れていればマイクロワープドライブを炊いて距離を詰めたりする。駆逐艦などが相手だと一瞬で相手が溶けたりするので食いっぱぐれないようにこれらの操作を素早く行う必要がある。オービットしていた場合は対象が撃破されると艦船があらぬ方向にぶっ飛びがちなのでそれを抑え、艦隊としてまとまることも重要だ。

さらには敵の迎撃艦への対応もある。相手もヌルセクの強豪アライアンス、中でも積極的にゲートキャンプをしているような猛者だ。当然、急な襲撃にも対応してくるし、回数を重ねるごとに様々な対抗策をとってくる。レギオンやトルネードによる狙撃、タイミングを合わせたボム。巡洋戦艦の艦隊が出て来たこともある。高速艦は捕まっても僚艦の方向に走っていくし、紙装甲のフリゲートにはTech 1の駆逐艦がいい距離にやってくるだけでもすさまじい脅威となる。そんな中で、一瞬で判断しなくてはならない。ワープアウトした後の目標と、周囲の迎撃艦の数や配置、こちらをターゲットして攻撃してくるかどうか。ターゲットされたとして「どのくらいまで耐えられるのか」。艦隊としてはある程度の損害は遊ぶための経費として割り切っており、個々の艦船の安全までは配慮しない。なので突っ込んだまま落ちてもよいのだが、ロスなど出さないにこしたことはないのである。ただし、可能な限り標的に損害を与え、撃墜する必要もある。ランディングした位置が悪くて駆逐艦に攻撃を受けるも、標的がその反対側に居たので艦隊に接近する形で振り切ったこともある。ボムは1発だけならギリギリ(フルHP→船体の半分くらい)耐えるので、飛んでくるボムを見ながら対象を撃ち続け、他の艦船からターゲットされないように目を光らせていたこともある。場合によっては1発撃ちながら即離脱することもある。もちろん逆に突っ込みすぎて死んだり、移動のためにマイクロワープドライブを動かしていたことでワープインが遅れ、攻撃に耐えられなかったこともある。

標的を撃墜した後、50km先(要撃型フリゲートならすぐの距離だ)にいる次の標的を狙うのか、それとも離脱するのか、その判断もある。もちろん艦隊司令官の判断になるわけだが、もし「やる」のであれば速やかに突っ込んで捕まえたい。周囲の敵艦の位置、逃げの可能性があるならマイクロワープドライブを炊いて大丈夫なのか、相手から撃たれる可能性、それらを判断しながら突っ込み、あるいは突っ込まない。

そんなやりとりを何度か繰り返し、食えるものを食ったら艦隊は満足して拠点に帰る。本拠地の隣がホットスポットだ。都会のコンビニよりも便利である。

本来であればどんな船でも遮蔽していなければ、遠くからワープしてくれば見える。要撃型フリゲートとはいえワープアウトするまでは丸見えであり、それを見て回避するのは本来容易いのだが・・・それでもこの方法で多くの船が落ちる。コンフェッサー、レギオン、サイノバル、ヴェドマック、バガボンド。小さいものではシュラッシャーやコーモラントから、大きいものではラトルスネーク、プラクシスまで。よくもまあ持ち込んだものだ。

ゲートキャンプは敵が来るまではわりと暇であり、動画でも見てるのかもしれない・・・30%くらいはNetflixが死因といっても過言でないだろう。逃げる相手も多いが、逃げない人は次までに何が悪かったか考えておいてほしいものである。

でないとまた負けますよ。ほないただきます。