2021年6月8日火曜日

EVE Gate共同研究複合施設(EVE Gate Joint Research Complex)

 (原文:https://evetravel.wordpress.com/2021/05/16/eve-gate-joint-research-complex/)


惑星ニューエデンIの上に掛かる、共同研究複合施設の全体。
ワームホールの残骸「EVE Gate」が遠くできらめいている。


たまには、初心にかえるのも悪くないだろう。

 

ここに来ると、いつもそのことを思う。私は再び、星系の方のニューエデン(New Eden)を訪れていた。伝説のEVE Gateに最も近い場所だ。ニューエデンは崩壊したジャンプゲートの遺跡まで3光年も離れているが、誰にとってもEVE Gateといえば、最も密接なのはこの星系だ。崩壊したワームホールの姿はアマー・プライム(Amarr Prime)からも肉眼で拝めるし、クラスタのどこでも望遠鏡を使えば観察できる。だが、古代のスターゲート遺跡が放つ壮大な光のショーは、ニューエデン(と少し見栄えは悪いが、ひとつ離れたPromised Landという星系)を訪れた人しか拝めない。ワームホールからはエネルギーがループとなって渦巻き、止まることなくねじれ続けている。反対側に何があるか見定めようとしても、ワームホールの中央は白色矮星よりも眩しく輝いていた。

 

研究施設と周辺設備の見やすい写真がこちら。

驚くにはあたらないが、EVE Gateは長らく科学者の関心を惹きつけてきた。今のところ研究者の間では、EVE Gateを建設したのは我々の遠い祖先であり、人類はニューエデンから他の星々へと拡散したという説が広く支持されている。古代遺跡と同じくらい古く、程度の軽い損傷が見られるスターゲートが、ニューエデンから各地へと放射状に広がっていることも学説を支持していた(もちろん、人類がさまざまな星で誕生した説もなくはないが、少なくとも7つの異なる世界で同じ進化を遂げた生物が独立して出現する確率なんてものは、限りなく不可能に近い)。とりわけ、シスターズ・オブ・イブ(Sisters of EVE)は非常に長いことゲートの存在に魅了されている。その理由は科学的関心もあるが、宗教的な動機も混ざっている。彼らはゲートを天からの贈り物だと考え、秘密を解き明かすために昔からゲートの近くに研究施設を保有していた。崩壊したワームホールがつくる磁気嵐の濁流近くに建設された研究施設としては、長らく唯一の存在だった。

 

EVE Gateの姿は常に変化している。

だが、最近シスターズ・オブ・イブはコルアゾール家(House Kor-Azor)と協力して、ニューエデンのより利便性に優れた場所に第二の研究施設を開設した。コルアゾール家はジェネシス(Genesis)リージョンの一部を統治する、アマ―(Amarr)国の家柄だ。シスターズ・オブ・イブと同様、アマーもまたゲートに対して複雑な事情を抱いていた。アマーの首都からはあからさまにゲートが見えることもあり、アマー経典(Amarr scripture)にはゲートの存在がいくらか大げさな姿で描かれている。だがもちろん、アマーはゲートに対して科学的な関心も寄せている。恐らくこうした相反する感情から、アマーはゲートの研究に本腰を入れるのを避けていたのだろう。だが新しいコルアゾール家の後継者エルシリア(Ersilia)は、ついにゲートの研究を本格的に進めることを決めた。シスターズ・オブ・イブとの共同で研究を行う機会は、むざむざ諦めきれなかったわけだ。

 

現在、共同研究センターは本格稼働しており、その場所は広く知られるところだ。Auraは新しいシスターズ・オブ・イブのステーションに対して、次のようにコメントしている。

 


このステーションは、ニューエデンでシスターズ・オブ・イブが研究を行う際の中心的ハブの機能を果たしています。

 

シスターズ・オブ・イブは、EVE Gateというワームホールの残骸を科学的研究の重要課題としてだけでなく、宗教的信仰の対象と捉えています。彼らの信仰によると、EVE Gateは神からの賜物であり、ゲートを献身的に研究し、秘密を解き明かすことは神の意志に沿う行いだと考えています。また、神はEVE Gateの反対側へ退いており、天の領域から神に従う者を導き守護すると信じています。

 

シスターズ・オブ・イブは、あくまで自分たちの活動は科学的な研究であると注意深く強調しており、共有施設では自らの宗教的信条について議論を避けています。こうした態度は、共同研究を行うコルアゾール家の当主を当惑させる事態を避け、アマー帝国内の敵対者から「違法な布教活動を行っている」との非難を受けないためです。

 

また、共同研究施設のコルアゾール側を調べると、Auraは次のように話した。

 


このステーションは、ニューエデンでコルアゾール家が研究を行う際の中心的ハブの機能を果たしています。

 

古くから、コルアゾール家は領地の外や国外勢力との政治・貿易・科学的な交流を通じて、アマー帝国内での基盤を固め、影響力を拡大することに熱心でした。正当後継者のエルシリア・コルアゾールは、家督を継いで以来この方針を再び強く推進させており、コルアゾール家は外部団体との連携強化に成功しています。

 

コルアゾール家は、ニューエデンシステムを含むジェネシスリージョンの一部を領地に抱えています。領地に科学的な研究価値の高いEVE Gateがあることから、コルアゾール家はシスターズ・オブ・イブと協力するに至りました。両者は肩を並べているものの、コルアゾール家はシスターズ・オブ・イブの活動を注意深く監視しているようです。サイトに駐在するアマー帝国内務省(Ministry of Internal Order)の侍従は独自の監視体制を敷いており、あらゆる活動に目を光らせていることを忘れないでください。

 

EVE Gate自体に対して、Auraは次のようにコメントしている。

 


ニューエデンのシステムには、何物も通り抜けできないEVE Gateが存在しています。数千年前、人類の祖先はゲートを通じてEVEの新世界に足を踏み入れました。しかし、ゲートは遠い昔に崩壊。その影響により、当時ニューエデンシステムにあったすべての惑星は破壊され、脆弱な居住施設はなぎ倒され、人類は絶滅の危機に陥ったほどです。現在もなお、ゲートに近付く愚行を犯せば、巨大な遺跡を取り囲む磁気嵐によってバラバラに引き裂かれる末路をたどるでしょう。

 

近くの白色矮星よりも圧倒的に強くゲートは輝いている。

共同研究基地の主要部分は2つのステーションから構成され、ニューエデンにたったひとつ存在する惑星を周回している。コルアゾール側のステーションは、アマー帝国の標準的な建築様式を設計に取り入れている。このデザインを見ると、私はいつも宇宙を滑空する帆を連想するものだ。だが、主要ドッキングポートには球根状の何かがぎこちなく配置されていて、空駆けるイメージを少し台無しにしていた。シスターズ・オブ・イブ側のステーションは、テーラ(Thera)で彼らのステーションを見たことがある人にとっては馴染み深い外観だ。ガレンテ(Gallente)建築による3つのリングを持つステーションは、シスターズ・オブ・イブを象徴する白と赤の塗装で彩られている。2つのステーションは周囲に数多くの計測機器を抱え、どんな研究を行っているか想像もつかないが、ワームホールの残骸が放出するテラバイト単位の膨大なデータを絶えず収集していると思われる。

 

愛車の「Professor Science」は漕ぎ出した。

研究所の外観をよく観察しようとしても、すぐ横でEVE Gateが圧倒的な存在感を放っており、つい目を奪われてしまう。ワームホールの残骸は絶え間なく姿を変え、私は初めて見たときと同じ気持ちで目の前の光景に魅了されていた。ワームホールの残骸がこれほど明るく、3光年先からでも眩しく感じる光を放っていることは、時空の裂け目からどれほど膨大な力が溢れているか物語っていた。だが、私たちの心を最も強く惹きつけるのは、ゲートの先に(恐らく)人類の祖先が生まれ育った古郷があるということだ。今もなお、ワープドライブを使わず自力でゲートに近付こうとした船が、真新しい残骸を意味するマーカーの形で点在している。私がパイロットになった頃にはすでにあった、探検家の通過儀礼だ。

 

たしかに、たまには初心にかえるのも悪くない。ただ、残骸になる以外にも方法はある。






(翻訳:渋丸)

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