2020年1月24日金曜日

単発記事:渋丸流かんたんポートレート術それはプリクラ

□はじめに

EVE onlineにはポートレート撮影という機能があります。簡単に言えばツイッターのアイコンのようなものです。ゲーム内でチャットをすればこの画像がアイコンとして登場し、第一印象を決める重要なキーとなります。であるならば、第一印象は良いに越したことはありませんよね。ポートレートはなるべく素敵にしておきたいというのが誰しもの願い。誰だってそうしたい、私だってそうしたい。ですがこれがもしツイッターであれば神絵師の神イラストを乗っけておけば簡単にクリアできるだろうに、EVEのポートレートはそれを許しません。ポートレートに撮影できるのは全て、EVE onlineに存在するもののみ。しかも、あなたの所有物のみ。なのにカメラに向かってピースのポーズは未実装。無限に自由なようで無限に不自由。あー、やきもきする。ポートレートを編集しているとき、誰しもそう感じたりしないでしょうか。

今回ご紹介するのは、そんな「無限に自由で無限に不自由」なEVE onlineのポートレートを、簡単・手軽でそれでいて自分でも納得のいく仕上げにする方法をご紹介します。平日の夕方過ぎに挟まるお掃除の裏技コーナーで
「ガンコなお風呂の水アカは、実はキッチンにあるものを使えば一瞬でキレイになるんです!」といったトーンの話がこれから始まるんだと思ってください。

□なぜポートレートの極意はプリクラにあるのか?

話は少しそれますが、これを読んでいるあなたはプリクラを撮ったことがありますか? 私はほとんどありません。実は正直苦手です。プリクラが苦手です。なぜならプリクラの撮影は常に時間との勝負です。短い時間でいくつもシャッターを切られ、どんどん撮影が進んでいきます。途切れないカウントダウン、明滅するフラッシュ、ほとんどパニックに陥りながらもポーズをとってようやく撮影が終わってお絵かきコーナーに進むと、仕上がってくるプリクラに写る自分はいつも同じポーズ、同じ顔、ちょっと角度が変わっただけで変化はなし。嗚呼、あんなに祈ったのに今度も奇跡は起こらなかった……そんな苦い思い出しかありません。

プリクラコーナーには必ず、プリクラシートを仲間で分け合えるようにとハサミを設置してある共用コーナーがあります。自分もそこでハサミを借りて、プリクラを人数分に分けようと思ったときでした。最後のハサミが目の前で他の子の手に。アンラッキー。仕方なく順番待ちしてぼんやりとその子のプリクラを眺めていると、
「これすごくいい!」「次は三人でコマネチやろうよ!」「やだよー、他のポーズにしようって!」「ほらあのノート見せてー」「何かいいのあったはずだよ!」
一人がカバンから取り出したノートの中には、えんぴつで書いた棒人形が四角い囲いの中で様々なポーズをとっていました。プリクラのネタ帳です。彼女たちはあらかじめ、どういうポーズをとろうかということを、棒人形という形でメモしていたのです。なるほどこれなら何もアイディアが浮かばないときにも、ぱっと開いたページでメモを見てさっと決めてしまうことができる。

今回ご紹介するポートレートの裏技というのは他でもありません。プリクラのネタ帳。これです。

「ポトレを簡単に見栄えよく、それでいて自分でも納得のいくものに仕上げたい」
と考えるならば、ポトレを編集する第一ステップでポートレート編集画面を開いてはいけません。まずはそれを閉じてください。ポトレを編集しようと思い立ってすぐ編集画面を開くのは、プリクラでポーズについて全くのノープランで飛び込んでいく私と同じ状態です。

何故ならポートレートは、プリクラから撮影の時間制限を取り払ったものだと考えればだいたい似たようなものです。固定された被写体、限られたポーズパターン、動く範囲の決まったカメラアングル。思わぬところに不自由さがあります。その一方で、EVEのポートレートにはプリクラにはない別次元の不自由さが加わります。素材が無限に自由すぎるんです。メイク、ライティング、背景パターン、購入次第で様々なアパレルが目白押し……そこに追い打ちをかけるように、キャラクターの骨格や顔立ちを整形し直すことができるアイテムまでもが存在し……一度ポートレートをいじってみた人なら誰しも、そのバリエーションの広さに絶望したはずです。それら全てを全部こだわって調整しようとしたら、大変なことになる……。途方に暮れて、そっとポトレ編集画面を閉じたことが誰しもあるはず。

だからこそ、今回ご紹介したいのはこれなんです。まずはポトレ編集画面を閉じて、ポトレのメモ帳を作ることを第一ステップにする。これなんです。

□ポトレのメモ帳の作り方~実践編~


ここからは具体的なメモ帳の作り方について説明します。どういうことをメモしておくと役立つのか、どういうところに気を付けたいのかという話になります。もちろん、ここにはない要素を加えたり、逆に不要だと思えば省略することも適宜おこなってください。最終的には自分でメモを見たときに、ポトレを編集するために必要なネタが十分そろったと納得できるところがゴールです。

0、テーマを決めよう(※最重要)

ここには最初、何でもいいのでざっくりと方向性を殴り書きしておきましょう。
明るい雰囲気にしたい、クールに決めたい、かっこいいポトレにしたい。何でもいいです。

書き終わったら、次の項目に進んでください。

そうです、ざっくりとテーマを決めたら、次の項目に進んでください。各項目をメモしているうちに「ここだけは譲れない!」というポイントが見つかったら、忘れずにここにメモしておいてください。あるいは「どうしよう……」と迷ったときは、この項目にまとめたメモを読み返して基本方針を思い出してください。
ポトレのテーマは、最初のうちざっくりと方針だけをつくっておいて、各項目のメモを充実させていくうちに次第にテーマも明確にさせていくくらいでいいです。

私の場合、テーマを考えるとき、キャラクターの顔立ちの中で、一番気に入っているパーツや長所をここにメモしておきます。この長所が隠れてしまわないようにするためです。

例えばこのキャラクターは鼻ぺちゃだけど、小さなあごが童顔でかわいいと思ったら、そうメモしておきます。これをメモしておけば、次の項目でポーズを決めるとき、「じゃあ、顔からあごにかけてのラインがきれいに出るアングルを探してみよう」という考えにつながります。
例えばこのキャラクターは老け顔だけど、そこが渋くてかっこいいポトレにしたいと思ったら、そうメモしておきます。「それならハードボイルドものの映画みたいに、重厚な色の背景や陰影の強いライティングを使ってみようかな」、という考えが浮かぶことにつながります。間違ってもピンクの花柄の背景や花魁のような化粧をぶちこむ可能性はなくなります。

「譲れないポイント」「ここ重要」と思ったら、ここの項目に書き残しておいてください。


1、ポーズ(構図)を決めよう


ポーズを決めてください。棒人形で構いませんので、実際に四角の中にポーズの候補を挙げてください。ノーアイディアなら他の方のポトレを参考にしてみて「いいなこれ」と思ったポーズをメモしてください。

様々なポーズを見ているうちに「このポーズ気に入った!採用!」とひとつに決まることはそうそうありません。大抵は数あるポーズの中からどれにしようか選択することになります。

悩んだら項目0に自分が書いたメモを読み返してください。そして項目0のテーマに一番合致するポーズに決めましょう。

2、使用するアパレル・欲しいアイテムを決めよう
キャラクターが着用する服・アイテムを決めてください。いくつかの候補を箇条書きにして挙げてみてください。
項目1でポーズの候補がいくつかメモされているならば、「その範囲に写らないアパレル・アイテム」は購入を見送ることができます。市場に出回る色とりどりの素敵なアパレルを、気に入ったもの全て買おうとしたら破産してしまいます。

アパレル市場を見ているうちに「この服がちゃんと見えるポトレにしたい」と思ったら項目1を修正しましょう。そして項目0に「このアパレルがポイント」であることを書き加えておきましょう。

3、メイクの方向をざっくり決めよう(なんとなくでいい)


メイクの方針を決めてください。
悩んだら項目0に立ち返ってください。

4、背景・ライティングをまあこんな感じにしたいと決めよう(ぼんやりでいい)


背景・ライティングの方針を決めてください。
悩んだら項目0に立ち返ってください。



……以上です。

□おわりに

ここまで真面目にメモ帳の作り方を説明してきましたが(最後らへんはネタが尽きたんじゃありません、同じことの繰り返しになるから説明を省略しただけです、省略)、ですが実際はここまで完璧にメモを作成しておく必要はありません。あくまで「あなたがグッときたポイント」「ここは外せないと思ったチャームポイント」「どういう方向にしたかったという初心」といったものを書き残しておいてください。その重要なポイントさえ書き残してあって、何度でも読み返して思い出せる形に残しておけば、自分の納得のいくポトレに通じる道筋はそこにあります。

この記事が全編を通して、解説が具体的なようで抽象的で、ざっくりとしているようで細かいところを気にするといった、非常におかしな総体になっている理由は他でもありません。私が解説を試みようとしているのは、「あなた」が納得するポトレを作成する方法をあなたが見つける方法を解説しようとしたからです。ここに解説された方法論は、全く無視してもらっても構いません。聞いたり聞かなかったりしてもいいです。自分でアレンジを加えたり削ったり自由にしてください。ですがここに書かれた方法を完璧に踏襲したところで、その結果に出来たポートレートを自分で気に入らないならば、そんなものは絶対に使わないでください。もしそういう結果を招いてしまったとしたら、私の説明が間違っているか、不足しているのが原因です。

余談になりますが、プリクラで使うポーズのメモ帳をつくっていた三人組は、ノートを囲みながらあーでもないこーでもないと、次に撮るプリクラで決めるポーズの相談に忙しいあまり、ついさっき出来たばかりのプリクラを切り分けることをすっかり忘れていたようで、その後ろでハサミの順番を待つ私が途方に暮れていることにはしばらく気が付きませんでした。
もし最高のポトレが完成して、その出来栄えに自分でも大いに納得するものが仕上がったとしても、書き残しておいたメモは捨てないでください。そして新しくポトレを撮影し直すときのために、ポトレのネタをこれからもいっぱい書き加えておいてください。そうすることで、読み返すだけでもわくわくするような、遊びのタネが詰まったメモ帳に育っていくはずです。あの小さな四角の中でさえも、様々なポーズや表情で遊べることを、プリクラ大好き三人組は楽しんでいました。そしてその中心には、えんぴつで書かれた棒人間が踊るメモ帳がありました。

2020年1月5日日曜日

翻訳記事:Drifter複合施設(Barbican, Conflux, Redoubt, Sentinel, Vidette)

※注意
できるだけ原文のレイアウトを忠実に再現しようとしましたが、言語の問題で難しい箇所がいくつかあるため、画像の位置と一部文章が一致してないことをご了承ください。


(原文:https://evetravel.wordpress.com/2015/06/19/drifter-complexes-barbican-conflux-redoubt-sentinel-vidette/)


筆者より:今回の記事を執筆するにあたって、Makato Priano氏とItsukame-Zainou Hyperspatial Inzuiries Ltd.[IKAME]の協力を得て、ConfluxとVidetteサイトに突入する二度の作戦に同伴することが叶った。作戦に参加された様々な方へ、この場をお借りして特別の謝意を表したい。彼らの支援なしには、ConfluxとVidette複合施設の調査は不可能であった。そして調査では、長い待ち時間と緊張状態を強いられるシーンがあったが、彼らと共にいることで私は何とか正気を保つことができた。



我々は、いかに自分が無知であるかを知り始めたばかりに過ぎない」ということを示す重要な例が、Driftersだ(そして私は思うに、「無知の知」は、自分が無知であることを知らないよりはマシだ)。彼らをストーリーに例えるならば、まさに「予測不能のどんでん返し」そのものだ。DriftersはEVEの全プレイヤーを驚愕させたのみならず、New Edenの歴史を研究している者にとっても想定外の存在だった。たしかに、我々の理解はNew Edenのそれぞれの集団に対して広く空白を残してはいるが、少なくとも「New Edenの歴史に誰が登場するのか」という主要な登場人物は理解していると思われていた。だがその思い込みは、間違いであることが判明した。Driftersは明らかにJoveと何らかの関わりがある一方で、Driftersは自らの主権を持つ独立した組織である。Jove ObservatoriesからデータをサルベージするためにSleeper Circadian Seekersと並んでいるDriftersの艦隊が目撃されていることからも、彼らをJoveの一部であると考えることは難しい。だけど「明らかにJoveのテクノロジーとDrifterの装備は同じ系統の技術じゃないか」と言い出して、ここでその手の議論を始めることはやめてほしい。



だがDriftersを覆っていた神秘のヴェールは、一枚ずつ脱がれようとしている。私は以前にもここで議論したが、DriftersがNew Edenを徘徊するようになったのは、Jove Observatoriesとともに未知のワームホールが出現し始めたのと同時期だった。Driftersはこの新たなワームホールを通って移動していることが目撃されているが、それと同時に、これらのホールはDrifter以外の船舶が通れないように「ロック」がかけられていた(このように“通行者を選択可能”といった特殊な性質のワームホールは、過去にSansha海賊団が初期のNew Eden侵攻の際に生成したワームホールの例しか確認されていない。この事から何か重要な推測が導かれそうだが、それはこの記事の範疇を少しばかり超えている)なので私たちは、Driftersの行動がほとんど観察できないことや、この手のワームホールから得られる情報が限られることから、「足るを知る」状態に満足していた。



その沈黙が破られたのは、つい数週間ほど前だった。前触れや合図は一切なく、これらワームホールが広く一般の船舶にとっても通行可能になったのだ。なぜ突然、我々もこのワームホールが通行可能になったのかは今のところ判明していない。Drifters本人が意図的に通行可能にしたのではないかという見方もあるが、彼らはワームホールに近付く船に問答無用で攻撃している。自分から通行の窓を開いたとは考えにくい。あるいは可能性として、彼らの装備や船の一部が故障を起こしたせいかもしれない。私個人の考えとしては、「Carolineの星」が誕生するきっかけとなった爆発に端を発する、Jovianやそれに関連する技術の劣化が進行しているせいなのではないかと睨んでいる。もちろん、この説を立証するための証拠は何も持ち合わせていない。だがそれは他の仮説についても似たり寄ったりだ。原因が何であれ、こうしてカプセラたちは突如としてDriftersの本拠地へアクセスすることが可能になった。中にはかつてDr. Tukossが「侵略者がやってくる」と警告したときに指した場所であり、そして彼のものと思われる遺体が発見された場所でもあるDriftersの根城が含まれる。




今のところ、これらのステージングは5つの新しいシステムに存在し、中にはそれぞれ異なる特徴的な複合施設が位置している(カプセラの方は必ずしもここを訪れるべきだとは思わない)。Auraはこれらの複合施設からの通信情報を大まかに翻訳してくれた:Barbican複合施設はJ110145に位置する、Conflux複合施設はJ200727に位置する、Redoubt複合施設はJ174618に位置する、Sentinel複合施設はJ055520に位置する、Vidette複合施設はJ164710に位置する。特筆しておきたいのは、これらの施設の名前は一部を除いて全て防御要塞を連想させるものだということだ




(訳注:barbican「外堡。要塞の出入り口に位置する防御施設」、redoubt「要塞」、sentinel「歩哨、見張り」、vidette「騎馬哨兵、転じて小型哨戒艇」)。Confluxは「合流」を意味するが、これは戦力の集合地点を指すものと思われる。これらの名前を個別に見るだけなら、「どれも恐らくはDriftersの本拠地ではない」という主張が導かれるに過ぎないだろう。だが情報をつなぎ合わせることで見えてきたのは、我々はついにDriftersの重要な軍事基地へ足を踏み入れることが可能になったということだ。恐らくここでDriftersの戦力が結集され、船には燃料が供給され、監視の目を光らせる場所へと武装船が派遣されてゆくのだ。ここで特筆しておきたいのは、この施設の周辺ではDriftersの姿が多数発見されるにも関わらず、建造物を解析してみると、その起源はほとんどがSleeperのものであり、Drifterのものではなかった。この事はこれまで考えられてきた以上に、SleeperとDrifterという二つの文明が非常に密接であることを示している。なぜならDrifterは、これらの施設から製造される船に乗って活動しているからだ。今回の記事では、五つの複合施設はその大部分がSleeperの技術に起源を持つことを念頭に入れながらも、混乱を避けるためにあくまで「Drifterの複合施設」として取り扱う。より一般的なSleeperの複合施設はAnoikisでいくつも見られる。




ご想像の通り、私はカプセラにもこの複合施設へ行くことが可能になったと耳にしてからというもの、情報の裏が取れ次第すぐにその施設に飛び込もうと興味津々であった。特に、現地で見られるはずの建造物の画像を目にしてからは爆発寸前だった。大変幸いなことに、New Edenの探索界隈で少し名前が知られていることが良い出会いをつくってくれた:この新しいシステムの発見から二週間と経たずして、私はDrifter複合施設を調査する探検隊に加わらないかという打診を受けたのだ。この探検隊はItsukame-Zainou Hyperspatial Inzuiries Ltd.[IKAME]と、そのCEOであるMakoto Priano氏の支援のもと結成され、Drifterの複合施設のうち、ConfluxとVidette複合施設のふたつを探索するのが目的だった。普段ならもちろん、(専門分野を持つ人間が多くそうするように)私は単独で探索するのを流儀としている。自分以外に頼れる人がいないことと引き換えに得られる自由や、自分の探索したいだけいくらでも(あるいはほどほどに)探索できるというのは、なかなか手放し難い醍醐味だ。だが、事前に何時間かこれらの複合施設に潜り込んでみてはっきりしたことがある。もしほんの少しでもこのエリアを深くまで潜りたいと願うならば、志を同じくする仲間の手が絶対に必要だ。そういった事情があったので、私は先週末、総勢10~15人のフリートに参加して二つの複合施設へと突入を試みた。



話を進める前に、「この記事で紹介する場所へ自分も行ってみたい!」という人達へいくつか注意事項を:ひとつ、このサイトの探索はソロでは攻略不能です。理由は後述しますが、二人以下の場合、最深部に到達することはいかなる複合施設でも物理的に不可能です。先へ進むためにはほとんどの場合、複数のdeadspace pocketへ同時ないしほぼ同時にハッキングを仕掛ける必要があります。さらに、予想通りかもしれませんが、これらのdeadspace pocketではほぼ必ずSleeperの大艦隊が出現します。絶望的な規模ではありませんが、大規模です。それから様々なdeadspaceを往来するDrifterへの対策もお忘れなく。Drifterの哨戒機は、約30分ごとに場所を変えます。相当の戦力をこちらに準備し(そして一~二隻の犠牲を許容する)余裕がなければ、クロークして姿を隠し、相手が過ぎ去るのを待つ必要があります。どんなサイトを探索する際にも言えることですが、何らかのクローク手段は戦闘が“いつ”(そして“どこ”で)勃発するかというタイミングをこちらが握るためにも絶対に必要です。まず間違いなく、心臓が弱い方には行くことをおすすめできませんが、私個人の意見としては、危険を冒す価値は十分にあります。



これが最後の前置きになりますが(本当にすいません、今回前置きが長いですね)これらの複合施設の基本構造についてお話します。先ほど触れた通り、これらの施設は単独では攻略ができません。なぜなら複合施設の最深部の区画(一般的にHiveと呼ばれる場所)に到達するためには、多くの場合フリートを二部隊に分けて、平行する二つの道順に対応する必要があります。片方の道順が前進するためには、もう片方の道順で見つかるいくつものデータセンターをハッキングする必要があります。つまり別行動をとる二部隊は、戦闘能力とハッキング手段を各自で準備しておかなくてはなりません。それぞれの複合施設のマップ情報や、ゲートの位置や出現する敵の脅威度についての個別の情報(これはXindi Kraid氏の多大な貢献により作成されました)はここから入手できます。今回の調査では五つの複合施設のうち二つしか探索する機会がありませんでしたが、これらの地図を比較すると、いくつかの構造的な違いを除けば概ね共通するところが多く、複合施設ごとに記事を分割する必要はないと判断しました(ですが今日の記事はあまりに長いので、もしかするとパートを分割して投稿した方が良かったかもしれませんね)。



これら“すべて”を頭に入れて、いよいよ本題に話を移しましょう。ConfluxとVidetteの両者に存在するdeadspace(単にBeaconとして知られている)は、見たところ同じ構造をしている:両者にはひとつだけacceleration gateが存在し、ゲートはいくつかのSleeper構造物によって囲まれている。そしてまたしても、加速を抜けた先ではDriftersに遭遇する可能性があります。エリア突入時にbeaconによってクロークを解除されないためにも、このときいくつかテクニカルな操舵をする必要があります。Acceleration gateの先にあるのは、プレイヤーの間でLobbyまたはSplitと呼ばれるエリアです:ここで道順は二つに分岐します。全ての部屋は入口を通っているように、Splitには必要に応じて複合施設のスタート地点に戻れる“空間の切れ目“があります。別れた道順が再び合流するのは最深部の手前のエリアであり、それまで分断されたフリートは決して互いの顔を見ることはありません。しかし、分隊が前進するためには”見えない味方“の助けが互いに不可欠になります。



私たちがSplitを抜けると、そこにはSleeper建築の模範のような壮麗な建造物が次から次へと出迎えてくれた。眩いばかりの粒子加速器が整然と並び、飛び地には圧倒的な数のSleeper建造物、そして自分の横を過ぎ去る建造物のどれひとつ取っても、Auraも私もその目的を想像するより他なく、神秘的としか言いようのない光景が広がっていた。中には印象的な光が空間に広がっている部屋があり、その光は「Children of Light」が発生するときに見られる現象と非常によく似ていた。新しい部屋にはさらに新しい発見があり、どこまで行っても驚きの連続だった。Sleeperは間違いなく、機能と同じだけ様式の美を重んじる文明なのだろう。非常に興味深いことに、ある部屋でSleepersはリングをいくつも製造し、それらを重ねることで巨大な円筒を建造している姿が確認された。どうやらこれは、最深部でよく発見される大型のMonolithと同型の建築物を囲むためのものだろう。こういった神秘的な構造物の建造にSleepersが関わる姿が確認されたのは初めてのことではないが、あの構造物がSleeperの施設で建造される姿を直接見るのは私にとっても非常に稀なことだった。



その目的が判然としないSleeperの建造物が見られるエリアはここだけではなかった。いくつかの部屋では、見たところ天然のアステロイドをただ陳列しているだけの場所もあった。私のセンサーでは感知できない構造物がアステロイドに付属していたのか、あるいは単純にSleeperの趣味にかなった蒐集品として陳列されていたのか……実のところ全く想像がつかない。それでも、高くそびえる巨大な岩山が数々のSleeperの設備を従えている様には、思わず目が釘付けになった。ある部屋で見つけたアステロイドの中には、まるでそれ自体がSleeper様式の構造に満ちているようにも見えるものがあったが、私のセンサーは他の構造物を見るときと同じ返事しかせず、そこに隠された秘密の頭なり尻尾なりを捕まえることはできなかった。そんなこんな、我々の一行は巡回のDriftersが目の前からいなくなるのを待つ間、そのエリアを探索する時間が有り余るほど与えられていたのだ。



また上に挙げたようなSleeperの蒐集品と見られるアステロイドでさえも、そこに興味深い発見があった。例えば、これらのエリアはDrifterないしSleeperの本拠地であるにも関わらず、Driftersの戦闘機やCircadian Seekersがその周囲を徘徊しては、驚くことにそのエリアの建造物を手あたり次第にスキャンしていたのだ。彼らがNew Edenにいるならば、こうした行動にも納得がいく。恐らく情報を集めているのだろうと。だがなぜ彼らは、自分たちが作り出した建造物を繰り返しスキャンしているのか……これは今の私には手に余る謎だ。もしスキャンすることに、情報収集とは別の副次的な機能があるのであれば話は別だが……。そこで見かけたCircadian Seekersでさえも、ともするとこういった不可解なスキャンを繰り返していた。Seekersは、元をたどればSleeper自身であることを考えると、これはさらに奇妙な行動だ。




 さらに驚くべきことに、これらの施設では複合施設を通してダメージが発生している様子が確認された。最もよく見られたのは、ダメージのためにSleeperの飛び地の一部が破壊された光景だ。遠く離れていても、飛び地を攻撃する眩い砲火がはっきりと見えた。しかし、一体何がこの構造物を攻撃しているのかは表示されていなかった。普通であれば、カプセラの持ついかなる武器もSleeperの構造物には通用しない。先に複合施設を調査していたカプセラたちがこのダメージを引き起こしたと考えるのは非常に難しい。あるいはこれは、DrifterないしSleeperたちによる内部の軋轢の現れとも考えられる。それともJoveによるある種の報復措置かもしれない。というのも、この手のダメージはSleeper複合施設のまさに中心部の聖域でさえ確認されている。静謐であるべきはずの場所でさえ、瓦礫が漂い美しい光景に泥を塗っているのだ。




出てくる敵をひたすら掃討し、閉じているゲートをひたすらハッキングしていると、最終的に分隊はAntechamberのエリアで合流した。そのエリアの外辺部には二つのSleeperの飛び地が完全な形であった。中央には、再びSleeperの奇妙な建造物が見たところ普通のアステロイドにくっついた姿で鎮座していた。今度のアステロイドは、見たところNew Edenの各所で見られるJove observatoriesと同程度の大きさの大岩だった。さらに重要なことに、巨大な岩陰に隠される形で守られている施設が最後に存在していた。ロックのかかっていないacceleration gateだ。大変ありがたい配慮により最後のゲートはワープイン地点から非常に離れていたので、ここまでの長い道のりを走馬灯のように振り返るには十分な時間があった(あるいはあなたの冒険が私たちのVidetteを辿る旅と同じ道をたどるなら、acceleration gateを起動してワープに突入する距離を稼ぐ間にDrifterの集中砲火を浴びて体力をガリガリ削られる恐ろしい体験をするでしょうが、もちろんそれは全く些細なことだ)



最後に、この複合施設の心臓部であるエリアに到着した。ワープが抜けて速度が安定した瞬間に私の目に飛び込んできた光景は、これまでの全ての努力に報いるものだった。AuraがHiveと呼ぶこの中央の空間は、言葉足らずを恐れずに言えばDrifterの中央ステーションとして文字通り占拠されていた。だが目の前のコロシアム型の構造物に対して、この言い回しではあまりに小さすぎるだろう。ざっと見積もってもこの建造物は全長200キロメートルを超え、我々が知るどんな巨大なタイタンを横に並べてもオモチャのように見えるスケール感だ。ステーションはいくつもの回転するリングで構成されていて、内側のへりを見るとリングがゆっくりと回っている様子が観察できる。施設の外部構造に目を移すと、概して灰色の切り立った壁がいくつもの構造物を伴っており、それらはどれも数キロメートルの高さを誇っている。複合施設そのものの巨大さに目を奪われるのはもちろんのことだが、外側のリングにも数えきれないほどの細部であふれていて、私は思わず我を忘れてそれらを観察した。数えきれないほどの隔離施設や、裂け目、アンテナ、展望室、停泊所、その他様々な細部。言わずもがな、外辺から突き出ている巨大な突起状の構造物が、まるでリングを押し出す輪留めのような働きをしているように見えるだなんて、時間を忘れて見入ってしまった。



Auraの解析では、この施設に対して次のように話している:
荘厳と謳われた過去のいかなる飛び地でさえ、これを前にしては霞んで見える。それほどHiveの巨大さは想像の域を超えた代物であり、その壮大さは見る者に恐怖をさえ抱かせる次元に達している。切り立った壁は、過酷な宇宙の虚空に向かって臆すことなく立ちはだかり、その細部は、Sleeperという種族がもつ技術の卓越さを暗黙のうちに物語っている。冷たく鋭利に突き出た構造物は宇宙そのものを切り裂かんと、周囲の現実を狂わせるようだ。一体、この巨大すぎる複合施設が抱く目的とは何なのか……我々に出来るのは、その片鱗を想像し震えることのみ。


 船の常駐AIがやけに詩的なことを言っているのは置いておいて、彼女が言わんとすることには同意できる。注目に値するのは、宇宙やワープ技術に関して言及があったことだ。たしかにHiveから突き出るいくつかのアンテナは、Driftersが相対論的亜光速推進エンジンを使用する際に見られる効果を模しているように見える。もちろんこの事実からすぐに考えられるのは、この複合施設が単に大きさが“タイタン級”であるだけでなく、移動可能であるという意味でもまた“タイタン級”であるという、想像するだけでゾッとするような可能性だ。実際、フリートに参加した人たちからは、Hiveが五つある複合施設にそれぞれ配置されていることから、もしかすると我々はとりわけ巨大な星間ゲートを見ているのではないかという推測が飛び出した。今のところ、これらの施設は何かの製造工場であるように見えるということ以上のことは、全くの謎に包まれている。DriftersやSleepersがこの地域一帯を警備するために相当な戦力を割いているが、その目的は分からないままだ。



最終エリアの大部分はHiveに占拠されている一方で、このエリアで見るべきものはHiveのみにとどまらない。私はあの巨大施設からようやく目を引き離すと、辺りを見回すことにした。言わずもがな、そのエリアは様々なSleeperの施設や構造物が散りばめられていたが、中にはいくつか特筆に値する例外があった。まず第一に、ここがSleeperやDrifterの複合施設のまさに心臓部であるというのに、そこにはカプセラ以外によって引き起こされたダメージが発生しているのが確認できた。Hiveにほど近いSleeperの飛び地に今一度注目すると、たしかに外側のハルに重大なダメージが発生しているのが確認され、建造物の一部が引き剥がされていた。複合施設の心臓部でさえこのようなダメージを発生させる原因とは一体何かと考えたとき、そこに今一度、文明同士の戦争という可能性が浮かび上がってきた。あるいはより奇妙な考えだが、我々がまだ遭遇したことのない未知なる勢力が存在するのではと思わずにいられない。




これまでのところ、このダメージの発生源についての答えになるかもしれないが、HiveではJovianの遺体が至る所で散見された。これは二つの観点から興味深い事実である。第一に、もちろんこのような遺体が転がる原因となる戦闘がここでは確認できないのだ。Jovianの侵入を示す痕跡はどこにも見られない。第二に、ここで遺体が散見されることが何故重要かというと、Driftersはこれまで星間飛行適合型の生体に強い関心を示してきているからだ。この事はDriftersが手に入れた生体を元にApolloやArtemisの新しいコピーを再生産しては、我々の親愛なるDriftersの戦闘艇に乗るパイロットとしているのではないかということを強く示唆している。だが何故Driftersは、見たところ完璧な状態の遺体を彼らの拠点の心臓部に放置して、カプセラの遺体を回収したときのように直ちに再生産に利用しないのだろうか? あるいは遺伝学的にJove傾向の生体では、何か不都合でもあるのだろうか?



Hiveの中央は文字通り数十ものSleeperの構造物に囲まれていて、そこは(複合施設に突入するこれまでの旅路の間で)最も厳しい防御で堅められたセキュリティシステムが敷かれていた。そしてそのセキュリティを突破した先に鎮座しているのが、この複合施設に突入する旅の終着地点だった。そこに位置する小さなビーコンは、これまで未確認だったDrifterの第三勢力、Hikanta Tyrannosによって守られていた。第一、第二の勢力であるApolloやArtemisのように、彼らも標準的なDrifterの戦闘艇に乗っていた。調査の成果を生きて持ち帰りたいならば、倒さずには通れない相手だ。残念ながら彼らは非常に強力なdoomsday weaponを装備しているので、ここで必ず誰かが犠牲になる。彼らはメインのシールドが落ちると必ずdoomsday weaponを起動させ、直撃を食らった者が生き残る望みはほとんどない。



その場にいるHikantaとSleeperドローンを掃討し終えると、ようやく我々は前進して複合施設の中心部のVaultに到着した。十分に接近したとき、パイロットはそのVaultに、その複合施設に対応したインデックスを設置する必要がある(言い換えるとConflux複合施設の円天井にはConfluxインデックスが必要だ)。残念ながら、これらのインデックスは別の複合施設に出現するHikanta Tyrannosの残骸からしか回収できない(例えばBarbican複合施設のHikantaはConfluxインデックスをドロップする)。正しく対応したインデックスをVaultに収めると、Vaultは10のエレメントを解放する。ここから手に入るエレメントは、どの複合施設に由来するエレメントかで異なる(上と同じように、Conflux複合施設ではConfluxエレメントが手に入る)だが五つの複合施設で手に入るエレメントは概して同じように見える。



だがそれはAuraの行く手を阻むものではなかった。彼女の謎めいた解析は次のように続く:
このオブジェクトの持つあまりの奇妙さ、非現実的さは見る者の頭を混乱に導く。その現実感覚の歪曲は信号の受信を阻み、解読を妨げる。にもかかわらず、その暗闇からある強力なモチーフが、繰り返し発信されていた。シグナルは次のように繰り返す。
Conflux










かつてJove observatoriesから発見されたAntikythera elementsが、最終的にはentosis linksに使えることが分かり、やがて広く使われる技術へと普及した。だが今のところ、今回発見されたエレメントが何のために使われ、どういう応用がきくかということはまだ明らかになっていない。実際、単純にこれらのエレメントを五つ全ての複合施設から回収して一ヶ所に集めれば、何かしらの発見があるのではないかと推測されていたが、突破口となるような発見はこれまでのところ報告されていない。もちろん、憶測は憶測に過ぎず、噂は浮気なものだ。だが私の個人的な考えとしては、これら五つのエレメントを全て一ヶ所に集めて組み合わせることで、これが最後の扉の鍵となって第六のDrifter/Sleeperの星系が発見されることに繋がり、ひょっとするとそこが彼らの真の本拠地であったりしないものかと思い描いていた。だがそれは私の頭の中の出来事だ。



非常に骨の折れる十二時間労働が終わり、私はようやくDrifterの領域から出て帰路についた。Conflux複合施設はほとんど問題なく攻略された一方で、Vidette複合施設への突入はより困難な道のりになり、フリートのほとんどの船がDrifterの砲火により撃墜された(その中には私の最愛の船、Scientiaも含まれる)。このように、片方の複合施設では容易に生き延びることができた我々が、もう片方ではほぼ全滅の憂き目に遭っていることからも、この施設を調査する上での生存確率と調査を完了する上でのリスクというものが伝わるだろう。それはそうとして、私は今回のフリートに付いていくことができて楽しかった。今回の調査での収穫は、現地で見たあの圧巻の光景を楽しむことのみならず(また仮に、あの光景の他に全く収穫がなかったとしても、私としてはあの景色を見られただけでも十分に満足しただろう)、今回の記事で紹介したように、これら複合施設ではDriftersとSleepersの関係性を考察する上での重要な鍵がいくつも発見され、その一方でもちろん、これまで以上に多くの謎や疑問が残された(これらの疑問は、私たちが長い長い長い帰り道につく待ち時間の間、私の頭を渦巻いていたものだという事を書き添えておく)。



人が言うように、待つことは最も難しい作業だ。神のみぞ知ることだとしても、私は分け前に見合うだけの時間、ひたすら待ち続けたと。この作戦のひとつに参加できるよう、自分のスケジュールが空く日をひたすら待ち続けた。複合施設に突入した後も、Driftersがうろついているために足止めを食らう間、彼らが居なくなるのをひたすら待ち続けた。そして今でさえ、私は待ち続けている。いつかこれらの疑問が晴れて、真に信頼に足る答えがもたされる日を。待つことは最も難しい仕事だが、忍耐は美徳だ。簡単にもたらされる喜びは、得てして簡単に飽きられてしまい、何ら将来の展望も次への発展ももたらさないものだ。SleepersとDriftersの正体というものも、長らく明らかにされることが待ち望まれてきた。一説によれば、何千年も昔から。そしていよいよ、我々が待ち望んでいた動きというものが起きようとしているように思われる。今はただ、New Edenに住む多くの人と同じように、私もこの施設を見上げてある物思いに沈む。一体このような途方もない建造物を構築する力をもつ文明とは、何者なのだろうか。今はただ、建物を見上げ……待っている。